【コラム#1】東京都知事選挙2024を雑に語る
はじめに
暑い日差しが降り注ぐ日もあれば、とんでもない量の雨に打たれる日もある。そんな不安定な天候の中、各候補者が街頭演説を各地で繰り広げている。
注意事項
この記事の内容は特定の組織や団体の見解を代表するものではありません。筆者個人の意見や考えに基づいて記述されており、他の組織、団体、または関係者の意向や方針とは無関係です。
政治に関心を持ったきっかけ
大学3年になるまで全く政治に関心のなかった私は、今はなぜか色々な候補者の政策を拝見し、街頭演説にも足を運んでいる。
関心を持ったきっかけは「れいわ新選組」だった。
当日SNSなどのインターネットをフル活用して選挙活動をしていたのは同党くらいだったと思う。
上級国民(いわゆる富裕層に位置する方々)ではなく、中間層以下を向いた方針は、社会をまだ知らない私にとって身近に感じ、党の方針が解像度高く伝わって来たのを今でも覚えている。
消費税を廃止し、中小零細企業や日本国民の土台となる一般人に向いた財政政策・資金調達のスキームは新鮮だった。「積極財政」だとか、「MMT(現代貨幣理論)」について知り、勉強をしたのもそのくらいの時期だっただろう。
そういった一つの支持政党ができたと同時に、政治というのは経済、社会インフラ、私生活、仕事等々、様々な要素が複雑に関係している結果、「正しい政党や政治家」が必ず当選するとは限らない難しさを感じたのも同じ時期だ。
そんなこんなあり、政治という分野に近づくこともあれば、仕事の関係もあり離れる時期もあった。それを経ての今回の東京都知事選挙2024に至る。
不自由は無いが将来的なリスクのある日本
正直、私自身日本人の中ではそれなりに給与を貰い、これ以上無い整えられた環境で仕事に向き合うことが出来、休日も不自由ない生活を送れていると思っている。恐らくそういった暮らしをしている人にとっての東京はある意味自由を十分に享受する素晴らしい場所である。
一方で、グローバル諸国の一つである日本という目線でマクロ的に見た場合、不安定があることは否めない。国力が今後どういった方向に進んでいくのかを考えた際には課題が見えてくる。それは先端技術への投資であったり、若い世代への投資、投資に対する競争力の強化による高齢者世代への費用捻出等である。
このような国際レベル出みた際に、少子高齢化が加速する中、将来を見据え政策を立て、リーダーシップを持って意思決定を行えるリーダーとそれを支えるメンバーを選定できる都知事が必要になってくる。
所謂日本の明暗を分ける要素のひとつが今回の東京都知事選挙2024だろう。
東京都知事選挙とは
詳細は以下リンクを参照いただきたい。
日本の首都・東京では日本全体の人口の10%が住む。財政についても延べ16兆円規模の資金がある大きな都市であり、日本経済の心臓部とも言える。
ゆえに東京には地方の様々な地域から人が集まり仕事や環境、日々の経済活動を通じ日本経済の下支えを担う。地方交付税交付金についても同様で、東京を起点に日本という国が成り立っているのだ。
そういった面で東京都知事選挙の結果とその後の都政運営は東京から地方へと遅効的に波及していくものだと言える。
東京都知事選挙の日程は下記の通りである。
6/20 告示。候補者確定。
6/21〜7/6 期日前投票
7/7 投票日。新しい都知事が決まる。
知事の主な仕事として、
予算をどこに使うか決めて、執行すること
条例案を策定して議会に提出する
この2つである。その他にも公共施設の設置や廃止、産業と雇用の促進、政府との折衝、災害時や緊急時の対応などもある。
「国政」と「都政」の違いについては、都政は大統領制に似ている。総理大臣は国民が選んだ国会議員によって、国会議員の中から選ばれる(間接民主制)が、都知事は都民から直接選ばれる(直接民主制)。
予算配分や執行など自治体の経営に深く関与し、法律(条令)の提出も行うことから非常に強い権限・裁量を持つと言える。
予算規模16兆円。都の職員約17万人という規模の大きさも驚くべきものだ。
これは政治に興味を持てば持つほど、大きな影響力があることが分かってくる。
主な候補者の紹介
①小池百合子氏
『東京大改革3.0』の公約を掲げ、セーフティ・ダイバーシティ・スマートシティの主に3つの論点を提示。
①セーフティ
災害に備えた住宅インフラや、避難設備の拡充など安全に焦点を当てた論点。
②ダイバーシティ
保育の無償化や待機児童問題に対する各種支援制度の設計・運用に関する論点。
③スマートシティ
物価変動対策や脱炭素、観光や芸術への支援があげられる。
特にスマートシティ施策としてあげられているスタートアップ支援や、行政手続きの100%デジタル化による見える化というのは小池氏に限らず共通の政策アジェンダに据えられるものだろう。
② 蓮舫氏
7つの公約を掲げ、現職の小池氏の7つのゼロを意識したものと思われる。いくつかは達成となっているが多くは課題の残る小池に対して真っ向からぶつかって行くような姿勢は評価したい。
①現役世代の手取りを増やす―― 本物の少子化対策
②あなたの安心大作戦――頼れる保育・教育・介護・医療へ
③もっと多様で生きやすく――あなたの人生の選択を大切にする
④本物の行財政改革――徹底見直しで、ガラス張りの都政に
⑤本物の東京大改革――古い政治から、新しい政治へ
⑥東京全体をもっと良くする――未来への責任/住みよい多摩へ
⑦良い政策は発展させる――行政の継続性も大切に
公約に基づく様々な条例の見直しや、「本物の行財政改革」は聞こえがよく、まさに事業仕分けの印象が強い蓮舫氏の色が反映された内容だろう。
③ 安野貴博氏
エンジニア・起業家・作家の3つの顔を持つ候補者。東京の未来のビジョンを描くことにフォーカスした同氏は、暮らし・経済・政治の3つを軸に5本柱の公約を掲げる。
①新産業で所得倍増計画
②とことん安心の医療・防災
③世界一の子育て・教育環境
④行政をもっと簡単、透明に
⑤高度な民意反映
AI関連産業を初めとするテックリードの側面と、オフラインなどアナログを土台とした環境整備を織り込んだバランスの良いスマートな論点であると感じる。
同氏の主張は決してAIによる代替を主張するようなディスラプター的なものではなく、日本の課題やギャップをどうテクノロジーで埋めていくのか、そしてその先にある世界をリードする大都市東京とは何かを建設的に見据えたものだ。
④ 石丸伸二氏
バンカー兼アナリストという、とりわけ経済に精通した同氏は今回の都知事選でも特に注目されている候補者の一人であると言える。「東京を動かそう」というスローガンのもと、政治再建・都市開発・産業創出の3つの軸で都政改革を見据える。
①政治再建
都政を見える化・分かる化し、ICTによる民意を集約し、行政サービスを含めた政治再建を図る。
②都市開発
災害対策や、経済と環境の両立を意識したエコ、多摩格差の是正など現実的な解を提示する。
③産業創出
最も成長性のある若者世代への投資や、インバウンド対応、地方との連携などセクターや政治的なストラクチャーを意識させる施策が並ぶ。
私も同氏に非常に注目している。
特に金融に関わる者として、彼のキャリアを活かしたメディア戦略から政治戦略等ありとあらゆる主張を支えるファクトの提示は論理的であり、納得させられる。
おわりに
今回は、東京都知事選挙2024をテーマに簡単に語った。次回の記事で取り上げたいと考えているが、候補者の中でも安野たかひろ氏の取り組みについて言及したい。
彼はGitHubを活用したマニフェストの公開、政策への批判をissueという個別のチケットのようなもの(提案内容や該当箇所、参考文献等を記載する)を切り、分野別に国民の声を整理し、短期での改善・修正活動をしている。他にもYouTubeライブ配信にAIアバターを使い、受付けた質問に随時回答していく取り組みや、これを電話機能でも実装している。
これこそ政治のオープン化であり、民意を集める取り組みに他ならない。そしてそこにはデジタルが活用され、次世代の政治システムを国民に広く提示していると言えよう。
間違いなく日本の政治は変化している。
そして我々都民にはそれを選択する権利がある。
ぜひ東京にお住まいの人には、日々の限られた時間の中で1分でも何か政治について検索する、身近な人と会話するなど主体的に情報を取りに行くことをしてみて欲しい。投票所に足を運んで欲しい。
この記事が少しでも読者の参考になれば幸いである。
参考資料
以下に、候補者の政策や考えを整理した資料を掲載します。
都政に対する基本的な考え方
政策分野の注力度・配分
課題解決のための重要施策①
課題解決のための重要施策②
マニフェストのできばえチェック
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