『おもてなし幻想』を読んで、カスタマーサクセスに活かせること
こんにちは、クラウドサインカスタマーサクセスを担当している高橋です。
先日、『おもてなし幻想』という本を読んでペア読書という方法でメンバーとディスカッションをしました。そのおかげでたくさんの学びを得て、チーム目標を考えるときの指標が明確になったのでnoteにまとめておきたいと思います。
『おもてなし幻想』について
『おもてなし幻想』は顧客満足度と収益の関係がどうなっているか、そして感動サービスが必ずしも収益には結びつかないということを具体的なデータを示して解説している本です。
迅速・丁寧なチャット対応を心がけた1年間で得たもの
クラウドサインではユーザーにチャットサポートを提供していますが、チャットを利用するユーザーの多くが、なんらかの疑問や要望を抱えています。
操作方法がわかりません。
料金はどうなっていますか?
こういう機能はありませんか? など
そして、カスタマーサクセスチームではそのユーザーの疑問や要望を迅速、丁寧に解決することをチームの目標としていました。
なぜ、迅速、丁寧を目標にすることにしたのかは以前noteにまとめましたが、過去のデータを分析して迅速、丁寧な対応に満足しているユーザーが多いことがわかったので、暫定的な目標として回答速度と満足度を指標にすることにしました。
カスタマーサクセスの目標はなかなか定量的に設定するのが難しいのでこの回答速度と満足度は私たちにとってわかりやすい指標となりました。
それから約1年間、返答回答中央値と満足度をKPIとしてチャット対応を行なってきましたが、最近は満足度:90%以上、回答時間中央値:30秒台をキープしており、回答速度と満足度を指標にしたことは今でも間違っていなかったと思っています。
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期間 満足度 回答中央値
2018/05 88% 2分
2018/06 93% 2分
2018/07 90% 2分
2018/08 89% 1分3秒
2018/09 90% 53秒
2018/10 91% 1分2秒
2018/11 89% 41秒
2018/12 90% 36秒
2019/01 90% 31秒
2019/02 94% 31秒
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これによって迅速、丁寧に解決することでユーザーの満足度は向上することがわかりましたが、それだけでユーザーはサービスを使い続けてくれるのか。ユーザーの満足度をより上げるためにはどうしたらいいか。
チャット対応を日々行う中で頭の片隅でずっと考えていました。
本当に解約した企業とチャットの満足度の関連はないのか
『おもてなし幻想』を読んで、実際にクラウドサインを解約した企業のお問い合わせ内容を分析をしましたが、解約した企業のユーザーがお問い合わせで低評価をつけた企業はおらず、満足度と解約はあまり関連性がないことがわかりました。
むしろお問い合わせをせずに解約をしている企業が多く、サービスを十分に活用できていなかったことが解約の原因の多くを占めていることが考えられます。
しかし、たくさんお問い合わせをしてもらえさえすればいいのかというとそう単純ではありませんでした。
顧客が望んでいるのは最高のおもてなしではなく、〇〇すること
誤解をおそれずに言うなら、顧客の期待を超える「おもてなし」は、業績にはほとんど関係がなかったということだ。統計的分析によれば、顧客ロイヤルティを高めるのは、「顧客に手間をかけさせないこと」。それだけが、有意な相関関係を示したという。
(出典元:おもてなし幻想)
実際にチャットにお問い合わせをしている時点でユーザーの工数がかかっています。お問い合わせをするたびに顧客の手間がかかり、本当の満足度はどんどん下がっていきます。
そのため、お問い合わせに対して丁寧に迅速に回答することももちろん大事ですが、そもそもユーザーがお問い合わせをしなくてもサービスを十分に活用できるように改善していくことがもっとも重要なんだとわかりました。
ディスロイヤルティ緩和のカギは顧客努力の低減である。企業は、問題を解決するために顧客に課される作業量を減らし、喜びを与えるサービスではなくより手間のかからないサービスに注力すべきだ。これには、情報の繰り返しや再問い合わせの必要性、チャネル転換、転送、画一的な対応の回避が含まれる
(出典元:おもてなし幻想)
『おもてなし幻想』を読むまでお問い合わせを減らす施策をしていなかったわけではありませんが、今後はユーザーの手間をなるべく減らして快適にサービスを活用してもえるような目標を設定して注力をして行きたいと思います。