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プロジェクトあるある(100)
本日のプロジェクトあるある:
「プロジェクト振り返り」の実施をもってプロマネの仕事は終結することを多くの人は知らない
プロジェクト振り返り(Lessons and Learned)とは、プロジェクトで得た教訓や学びをまとめて、関係者に周知することを言います。
プロジェクトでは、実に多くの課題に見舞われます。それらは、ああしておけばよかった、というものが多いです。逆に、工夫したことでうまくいったこともあります。
これらプロジェクトで得た教訓や学びは、プロジェクトの中だけで埋もれさせるのではなく、お客様であったり社内に共有することで、組織の共有財産となっていくのです。
振り返りでは、プロジェクトの概要、経緯、スケジュール予実、コスト予実、学びなどを報告します。
中には、KPT(Keep/Problem/Try)法という振り返りを効率的に行うメソッドもあります。
学びの中には、プロジェクトを通じて浮き彫りになった多くの教訓が含まれます。それはお客様の体制面、プロセス面などといったところにまで及ぶ場合もあります。
プロマネの立場としては、この Lessons and Learned を実施して、ようやくプロジェクトは本当の終了となります。
ただですね、この振り返りをやらないプロジェクトが実に多いのです。また、プロマネの中にも、振り返りそのものをやる気がないという人がいます。
おそらく、これはお客様側・プロマネ双方のプロジェクトというものに対する理解不足があるのだろうと思います。
プロジェクトが終わったらそれで終わりという認識の方が多いのです。
プロジェクトの規模に関わらず、最低限KPT法などを使って振り返りをやることはあらゆるものの改善につながります。
なので振り返りは絶対にやらなければなりません。
ここで、最近私が実施したプロジェクト振り返りについて少しお話したいと思います。
長期間にわたって実施したあるプロジェクトが、昨年末終了しました。
このプロジェクトでは、実に多くの課題が浮き彫りとなりました。
それは、本当に多岐にわたるものでした。
お客様には「プロジェクト振り返りを実施する」という発想がありませんでしたし、依頼もありませんでした。
ただこのままだと実に多くの課題がまた埋もれてしまうと感じ、自主的に振り返り資料を作成し、時間を作ってもらって発表の時間をアレンジしてもらいました。
すべてを発表している時間はないので、それらの課題全体に共通する問題を、かなりストレートな表現を使ってお伝えしました。
その中で私が最も伝えたかったことが、
「プロジェクトに対する思いとそれに対する熱量がお客様の中で少なかったこと」
でした。
おひとりおひとりは一生懸命自分のやることをこなされていて、このままではよくない、という問題意識もお持ちです。
ただ、なんというか、一丸でやり上げていこうという熱が低いのです。
どこか他人事というか。
人も、お金も、運も、発する熱量の多い人に集まってきます。
私もある程度引っ張っていくべく努力しましたが、外部から熱を供給しているだけでは限界があるのです。お客様内部で熱が上がらないと。
今回、あまり物怖じしない私も部外者がこんなえらそうなことを言ってもいいのか、と悩みました。
ただ、こんなストレートなメッセージは、組織内の人はたぶん言えないだろうなと思いました。なんせ組織批判ともとれる発言を公で行うと、評価や査定に影響するかも、とどうしても思ってしまいますからね。
外部のコンサル会社のコンサルのような方でも、ここまでストレートには伝えられないでしょう。なぜなら、彼らも組織の人だからです。下手な発言で自分の組織に迷惑をかけられないと思うでしょう。
だから、私のような、バックに組織がない個人事業主のような存在こそ発言しやすいのです。
発表前、執行役員の方に相談したら、
「ストレートな言葉じゃないと伝わらない。全然OK」
とコメント頂いたことで腹を決めました。さすがのご決断です。
そして時間をいただいて振り返りを発表。
最後に執行役員の方から
「この資料はわが社の資産になる」
と評価いただきました。
その後、少なからずいろんな方から感想をいただきました。それなりに響くものはあったようです。
しかし、問題を資料化しただけでは意味ありません。この素材を元に、プラスに変えていってもらわねばなりません。
そうしないと、次のプロジェクトで同じ状況になったら、間違いなく今回の繰り返しになるからです。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト前、プロジェクト中の仕事が注目されがちですが、プロジェクト終了後の振り返りこそ、失敗や教訓を次につなげるとても大事な仕事だと私は思っています。
*****
長きにわたって書いてきました「プロジェクトあるある」シリーズも、なんと100回を迎えることができました。
今回のちょうどよい区切りをもって、このシリーズはおしまいにしたいと思います。
(あるあるネタは、まだまだたくさんあるんですけどね^^)
このシリーズを読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!
高濱幸喜拝
#日々感謝 m(_ _)m