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高血圧のいろいろ

当院に来院されている患者様の中には
血圧が高い方が結構多く、内科で降圧剤を処方されている方もいる。

高血圧は放っておくと様々な循環器系の病気のリスクが高まるためまずは内科受診が必要である。

よく問診をして話しを聞いていると、
1日で血圧の変動が大きい人がいる。

●血圧には変動リズムがある

実は血圧は1日の中で一定ではなく変動リズムがある。

通常、朝、寝起きから日中高いレベルが維持され、夜にかけて下がっていき、就寝時にさらに下がっていく。

血圧は人間の体内リズム(時計電子)コントロールされこのような動きになっており
その結果、人間は日中に快適に身体活動ができ夜は安らかに眠れる。

時計遺伝子は
副腎や腎臓、また血管にもあり
血管の収縮や拍動をコントロールしている。

つまり血圧の動きを見れば
生物時計の調子が分かる。

それでは…
少々高血圧でも元気な方とリスクが高い方は
いったい何が違うのか?

●高血圧の3つの型


高血圧には3つのタイプがある。

①ディッパー型高血圧

朝の寝起きから日中が高く、夜に低下する『血圧変動リズム』がきちんと保たれているディッパー型高血圧。これはまだ良性である。ディップ夫とは『沈む』という意味で『夜に血圧がきちんと低くなっている』ことを示している。

②ノン・ディッパー型高血圧

日中のみならず夜も血圧が同様に高い人は悪性とされ、これはやや危険である。

このケースは
心臓や腎臓が弱り体内から十分な塩分や水分を排泄できていないことがある。

また自律神経系が失調し
交感神経系が常に高ぶりすぎていることが多い。

糖尿病で神経障害があるケースや
うつ傾向の人
または
肥満により無呼吸症候群に陥っているケースもある。

③ライザー型高血圧

日中も高いが、夜に更に高くなる人は、かなり危険。『rise(ライズ)』とは『上昇』を表している。


このように高血圧1つとってもパターンがあるため、自分の1日の血圧の動きやリズムを知ることが健康管理の重要な指標となる。

●夜の血圧上昇の意外な落とし穴

血圧上昇の意外な落とし穴…それは『夜のドカ食い』だ。

忙しく働いている人で夜遅くに帰宅し
夕食を深夜頃に取る社会人の方は多いと思う。

がんばった1日のご褒美として、味付けの濃い、カロリー豊富なおいしいものをドカ食いして就寝するケースがあると思うが、これが注意だ。

血糖値の上昇を調べた研究がある。
18時に夕食をとったケースと22時取ったケースでは、
22時に夕食を取った方が血糖の上昇は大きく、脂肪細胞における脂肪の分解や燃焼が進まなかった。
さらに夕方には下がるはずのコルチゾールの分泌が一向に低下しないことだ。

その結果、糖代謝は落ち、炎症を起こしやすい内臓脂肪が溜まりやすくなるが、

更にはコルチゾールは血圧を上昇させる働きがあるため…夜にも血圧が高いまま就寝することになる。

こういった生活を長年していると、夜になっても血圧が下がらない『悪い高血圧』に陥る可能性があると私は考えている。

●血圧を安定させるために

①自分の血圧のリズムを知ること

②降圧剤を服用する

リスクがある場合は内科受診をし
降圧剤を服用してコントロールすること

③精神的ストレスを解消する

心のストレスを溜め込みすぎず
ストレス解消の趣味や時間帯を設ける

④しっかりと睡眠をとる

睡眠不足は疲労の蓄積し
自律神経も乱れやすく
結果、血圧も安定しにくい。

⑤夜遅い食事は軽めに

夕食が遅くなる場合は軽めにし
朝起きてしっかり朝食をとる

それが難しい場合は
完璧を目指さずに、深夜に思わずドカ食いしてしまった次の日は、夜遅い食事になった際、軽めに済ますなど…して身体をいたわること。

⑥運動する

有酸素運動や筋力トレーニングなどで筋肉をしっかり使う。
また血管や心臓自体も平滑筋、心筋という『筋肉』であり、運動によって動脈の流れを促進し循環器系や血管網は鍛えることができる。

日頃運動の習慣を持つ人は
コルチゾールの分泌量が過度になりすぎず
結果、血圧も安定しやすいことがわかっている。

⑦塩分過多に気をつける

精製された食塩や化学調味料を大量に使ったりするよりは、味噌・醤油・天然の海塩や岩塩など、自然の塩や発酵食品の中の塩味を大切にしよう。

また出汁をうまく使うことで
塩味の不足を旨味に変えることができる。

●血圧をコントロールし末永く元気な人生を

血圧とは本来『血液を送り出す力』だ。

血流状態が良い方は元気であり、細胞も生き生きとしており組織も見た目も若々しい。

血圧のリズムを知り、うまくコントロール管理しながら、末長い身体活動を行っていただきたいと心から願う。

参考文献)

・いい肥満、悪い肥満 
伊藤裕 著   祥伝社新書

・運動脳 
アンデシュハンセン 著
サンマーク出版


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