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最後のスーパーヒーロー

僕はヒーローになりたかった。

でも、その夢は5歳にして、すでに諦めることになった。

周りのみんなはそれぞれ、ヒーロー足り得る能力を身に宿していったが、僕の能力はヒーロー足り得なかった。

むしろ悪そのものでもあった。

僕の能力は呪いでもあった。

瞬間移動する能力。

自分が想像できる場所であれば、どこにでも一瞬で移動することが出来るのである。

それだけであったら、良かったのだけれど。

人に瞬間移動したのを見られると、僕の周囲は僕共々爆発するのである。

初めてその能力に目覚めた時には、最初何が起きたのかわからなかった。

両親の前に瞬間移動をした時、世界が急に壊れたのである。

僕は両親と共に爆発したのである。

なんとか、生き延びることはできたけれど、僕はそこから能力を封印した。

あんな思いはもう絶対にしたくない。

その後は無能力者を装い、生活をしていた。

幼馴染の彼女は僕とは違い、立派な能力で世界を救っている。

いつもテレビでその映像を見ていて、それが好きであった。

しかし、先日現れた神によって、突如世界は危機に陥ったのだ。

その神は、突然現れたかと思うと街や国を次々と破壊していった。

その神の目的は人間や文明の破壊と再構築である。

特殊な能力を発現した人間の世界を壊して、一から作り直すといっていた。

ヒーローたちは身を挺して神に立ち向かったのだか、神の前にはなす術がなかった。

僕はその光景をテレビで見ていた。

そのテレビには幼馴染も映っていた。

いつもであれば、わくわくしながら見ていたテレビ中継だが、今日は違った。

神に立ち向かう彼女はとても弱気であった。

いつもの様に自信に満ちた顔ではなかったのだ。

僕はいてもたっても、いられなかったのだ。

神に吹き飛ばされた彼女はどうやら気を失ってしまったらしい。

動かない。

気が付くと僕は、テレビの向こう側にいた。

封印したはずなのに。

僕の能力は「瞬間移動自爆」

彼女に最後の別れを心の中でして、神の元に移動する。

神共々、爆発をしたが気絶するわけにはいかない。

もう一度、遠くに遠くに移動するんだ。

「知っているかい?太陽はいつも爆発しているんだよ」

次の瞬間、地球からずいぶん遠くで、一つの大きな爆発が起きた。

爆発の光は地球からでも見られるほどの大きく綺麗な光であった。

こうして、地球は救われたのだ。









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