MCバトルの大会をマトリクス図で表してみた
フリースタイルダンジョン、高校生ラップ選手権、戦極MCバトル、UMB…。
近年、MCバトルの大会は加速度的に増えてきています。
しかし、MCバトルを見始めた初心者にとっては、どの大会がどんな特色を持っているのか、イマイチよく分からないのではないでしょうか。
今回はそんな初心者のために、各大会の性質がすぐに分かるマトリクス図を作成しました。
マトリクス図
縦軸がオーバーグラウンド/アンダーグラウンド。
(メディアへの露出度、プロモーションの方法、等)
横軸が大規模/小規模。
(キャパシティ、出場者数、賞金、等)
略語解説
FSD…フリースタイルダンジョン
HSD…ハイスクールダンジョン
高ラ…高校生ラップ選手権
解説
もう終わってしまいましたが、テレビ放送されていたフリースタイルダンジョンを最もオーバーグラウンドとしました。
「ボディタッチ有り」というルールで開催されているTHE罵倒を最もアンダーグラウンドとしました。
全国各県で予選が開催されているUMBを最も大規模としました。
AbemaTVで放送されているものの、出場者が高校生に限られるハイスクールダンジョンを最も小規模としました。
また、表には載せていませんが、個人で主催されるような地方の小箱のMCバトルの大会は図の左下(小規模かつアンダーグラウンド)に位置しているイメージです
考察
ココからは個人的なMCバトル考察。
オーバーグラウンドで小規模な大会(例:FSD、HSD)は韻を踏むことが重要で、アンダーグラウンドで大規模な大会(例:KOK)は韻を踏むことが重要ではないと考えています。
オーバーグラウンドの大会はライト層にも受けるよう、とにかく「分かりやすさ」が求められます。
フローで音楽センスを見せ付けたり、状況に沿った的確なアンサーを繰り出すよりも、分かりやすく韻を踏むことでライト層は沸いてくれます。
逆に、アンダーグラウンドの大会ではコア層が多いため、ライムよりもアンサーやフロー、そしてアティチュード(態度)が評価される傾向にあります。
(ライミングに優れる若手がベテランに蹴散らされるKOKなんか、まさに、ですよね。)
また、大規模な大会であれば本戦で4~6連勝(予選を含めると約10連勝)しなければ優勝出来ない上、ターン数が3~4本あるため、同じような韻の踏み方を繰り返すと観客に飽きられてしまいます。
観客を飽きさせないためにはライムだけでなく、その状況に適したアンサーやビートに対するアプローチ(フロー)が重要になります。
(フロー巧者の句潤、PONY、黄猿、BASE、D.D.Sらはフリースタイルダンジョンではアッサリ負けましたが、他の大規模な大会では活躍していますよね。)
更に、大規模な大会は出場者がストーリーを作ることが出来ます。
「この大会に掛ける思い」「予選で倒した奴らの分も背負って」「ようやく立てた大ステージ」「賞金を掴んで現状を変える」「勝って歴史に名を残す」「自分がシーンを変える」…といった、大会の背景や出場者が持つ文脈を語り、その大会だからこそ成立するストーリーを観客に訴えかけることが出来るのです。
当然、ストーリーを作るには観客の心を掴むアンサー力が必要です。
(韻を踏まずにお互いの主張をぶつけ合ったUMB2016の決勝なんて、あの大会だからこそ成立したベストバウトですよね。)
「あれ?観客が韻で沸いてない?」と思ったときは、その大会がどういう性質を持っているのかを考えてみると面白いかもしれません。