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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺」第3話感想


【おことわり】
本文につきましては安蔵の視聴後の見解となっております。その他素晴らしいレビューをなさっている方がたくさんおりますので、そちらをお読みになられた方が良いかもしれません。


平賀源内の序文からなる新しい吉原細見『嗚呼御江戸』が完成し、いよいよ出版の世界に足を踏み入れた蔦屋重三郎でありました

1.ある意味星一徹な親父

吉原の親父衆に新しい吉原細見を献本する地本問屋の鱗形屋
今の「執筆者や関係者に献本するような感じ」のように思えましたね。
蔦屋重三郎によるリサーチの吉原細見は吉原の忘八親父衆に大好評、しかし唯一キレた男が!

そう、親代わりの駿河屋の親父!帰宅するや否や無断で仕事を受けたことに激怒!折檻の雨あられ!息子までとばっちり!


画像はイメージです


画像はあくまでイメージです

そりゃそうですよ、引手茶屋の使用人でしかない重三郎が吉原細見の編集に手を出して、あまつさえ巻末に名前出ちゃったんですから…

この描写、前回も指摘した

「主人公がよかれと思って目上の人の許可も得ず行動し、それがバレて制裁を食らう」

という森下佳子作品の伝統藝なんですよね🤭

2.入銀本(今風に言えばクラウドファンディングを使っての限定本)

吉原細見を刊行したにもかかわらず、福内鬼外こと平賀源内の序文だけ読んで満足して実際に吉原に足を運ぶお客様が増えなかったわけで。

さらに場末の女郎屋では困窮や病気が蔓延…

くじけるような我らが蔦重じゃない!またしても長谷川平蔵をカモにして金を巻き上げ、さらには口八丁手八丁で吉原のスター女郎からも出資をもらい、入銀本の企画をぶちあげた!

さすがに今回は吉原の忘八親父衆にも話を通す、そこはきちんと学習能力のある蔦重ですから。
きちんと企画を吉原の親父衆に話して了解を得たのはよいが、

またしてもガチギレする駿河屋!
駿河屋キック!

と思ったら

克実階段落ち!激昂して絶縁宣言!


イメージだって言ってんじゃん(笑)

すっかりこのドラマのお約束感が(笑)

それでも諦めきれない蔦重、当代きっての人気絵師である北尾重政(マジレッドの中身)に話を付けてきたわけで。
トッキュウ4号がマジレッドに仕事の依頼、ニチアサ民の皆さんニッコリ😁

画像はあくまでイメージだって言ってんだべ

ただ、いくら人気絵師の北尾重政でも120人もの遊女の描き分けなんてできない、温泉むすめや艦これだって何人ものイラストレーターさん使ってんだから🤭

そこで両者鳩首凝議で考え付いたのが「遊女の草花見立て本にしよう!」
草花に見立てれば描き分けもできるし、読者も「この遊女はどんな感じの方かな?」と想像できるわけだ!
よし、やってみよう!

当時、生け花が市井でも流行っていたのに加えて、見立て番付という様々なものを相撲の番付に例えてランキングを付けるのがブームになっていたこともありましたからね。

例として時代は下りますが、「諸国温泉功能鑑」という温泉の効能番付が近世によく発行されてましてね、

嘉永4(1851)年版

トップが草津温泉と有馬温泉、ついで那須と城崎、諏訪と道後、湯河原と山中といったランキングになってるわけで。



松之山棚美さん(松之山温泉の温泉むすめ)

越後松之山の湯もランキング入り、やったぜ。

閑話休題。

彫り師や摺師、さらには身を寄せている場末の女郎屋のお姉さん方も協力し、ついに入銀本『一目千本』完成!

昨年の平安大河では写本による豪華本製作だったのに対し、今年は彫り師や摺師による印刷本と、書物の製作過程の変化も味わうことができましたからね。

そしてその本を湯屋などに置いてもらいみんなから目を通してもらうという「サンプルプロモーション」なわけですよ!

九郎助稲荷の依代である綾瀬はるかさんがそれ言うたらまんま「義母と娘のブルース」やないですか!脚本家も同じ森下佳子センセだし!

で、縁切り食らった駿河屋にも置いてもらおうとするもけんもほろろ…
そこへ助け船を出す忘八親父山路和弘!

認めようとしない駿河屋の親父を説得して和解に持ち込む扇屋の忘八親父!カッコよすぎます!

かくしてようやくあの頑固親父に認めてもらってめでたしめでたし…

といかないのが人でなしドライバーの使い手、森下佳子先生なんです!

3.鬼!悪魔!森下佳子!

男子に恵まれない白河藩松平家への養子話が持ち上がった賢丸。
田安家の当主治察が病弱のため、家督相続の控えとはいえ、あくまで田安家は吉宗系徳川家の血のプール的な役割、しかも家治にも嫡男がいるわけで。
確かに将軍継承までの道もなく、加えて白河藩の家格上昇のために将軍家お血筋の養子が入れば…ということがありますがね。英邁な賢丸をただの血のプールに沈めておくには惜しいという口実で将軍の相続人から追い出したわけですからね
そして白河に追いやられた賢丸、
時を同じくして田安治察が病死。
それを「一橋治済の操り人形の糸が切れた」ことで表現する森下佳子センセ
間違いなく視聴者はこう思ったことでしょう。


人の心とかないんか?

さらには鱗形屋も…
人の心とかないんか?森下佳子!
鬼!悪魔!森下佳子!
ほめことばですよ。

さりげない小ネタ

田沼意次と平賀源内の商談でさりげなく「伊達家が鉱山で一山当てた」とか、大河ファンならニヤッとする小ネタもあり、
インティマシー・コーディネーターさんの御仕事タイムもあり

硬軟取り混ぜたネタもありましたね。

個人的には、新潟町へ行く事になった遊女ですかね。
当時の新潟は北前船寄港地ということもあり、男性人口が比較的多めだったことで、現代の古町芸妓につながる花街が栄えていたわけで。
金刀比羅神社の北前船模型や湊稲荷神社の願掛け高麗犬、日和山といった北前船遺構を学生時代に見てきたワイにはまさに願ったりかなったりな内容でしたね。

おわりに

今回は駿河屋の親父と蔦重という、血はつながらなくても親父と息子という関係に重きを置いた回だったかな、そしてサクセスストーリーと同時に今後の恐ろしい展開に繋げていく回だと思いましたね。

しかし、かつて裏番組でこんなことをしていた泰造がトメグループとは。

※笑う犬は大河ドラマの裏番組でした

また来週をお楽しみに。

#ドラマ感想文
#大河べらぼう
#べらぼう



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