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maxmsp max8 入門 MSP編11 ダイナミックス




エンベロープの作成と値のランプ化


波形のエンベロープを調べるには値の絶対値を取りその平均を取ります。言い換えれば波形の絶対値を取り波形を滑らかにすればエンベロープを取ることができます。

絶対値はabs~オブジェクトで撮ることができます。波形を滑らかにするオブジェクトは様々あります。
rampsmooth~は線形に波形をランプ化します。
slide~はローパスフィルターのような徐々に滑らかに波形をスライドします。
deltalip~は変化率を制限するオブジェクトです。変化率が制限されると結果的に波形が滑らかになります。


エンベロープフォロワーを利用して、MSPでダイナミクスプロセッサを作成する方法を説明します。波形の振幅エンベロープを制御信号として抽出した後、その信号を用いて全体のゲインを調整するロジックを追加します。これにより、コンプレッサー、リミッター、ゲートなど、時間変化する音声の振幅に基づいた処理が可能になります。

音声信号に広い振幅レンジがある場合(例: ドラムループや表情豊かなボーカル)、そのレンジを圧縮する必要があります。
• コンプレッサーは、エンベロープを追跡し、それをしきい値と比較します。音声信号がしきい値を超えた場合、**圧縮率(Ratio)**に基づいてゲインを減少させます。



コンプレッサーの方程式

g = \frac{(e - t) \times (1 / r) + t}{e} \quad 0 \leq g \leq 1

g : ゲイン
• e : エンベロープ信号
• t : しきい値
• r : 圧縮率

このゲイン値 g は範囲 0 \leq g \leq 1 にクリップされ、元のオーディオ信号に乗算されます。

リミッターは、圧縮率を無限大に設定した場合のコンプレッサーです。しきい値を超える音声はその値を超えないように完全に抑制されます。
• 方程式:
g = \frac{t}{e} \quad 0 \leq g \leq 1


オーディオゲート

• ゲートは、しきい値を下回る音声を減衰させます(ノイズゲートとも呼ばれます)。
(Knee)**設定により、音声がしきい値に近い場合、完全にカットするのではなくスムーズに減衰します。

g = \frac{e - (t \times k)}{t - (t \times k)} \quad 0 \leq g \leq 1


k : (Knee)の割合

ゲートの効果

• kneeを高く設定すると、音が単純にカットされます。
• kneeを低く設定すると、音がスムーズにフェードイン・アウトします。



このチュートリアルでは、**ウェーブシェーピング(Waveshaping)**を使用して入力信号を変形し、オーバードライブアンプにおける歪みをシミュレートする方法を紹介します。アナログオーディオでは、すべてのアンプが信号に何らかの歪みを加えます。デジタル環境では、チューブやトランジスタアンプの非線形特性や自然なアーティファクトを再現することが難しいため、歪み回路を意図的にオーバードライブさせる効果をデジタルで再現するには工夫が必要です。

バンド分割

• 歪み回路の特徴の1つは、周波数依存性と振幅依存性を持つことです。特定の周波数成分を優先的に歪ませる回路を再現するために、音声信号を低音域(Low)、中音域(Mid)、**高音域(High)**の3つに分割します。
• 使用するフィルター:svf~(ステート変数フィルター)
• 低域(Lowpass): 左出力
• 中域(Bandpass): 第3出力
• 高域(Highpass): 第2出力

歪みの適用

1. 低音域の歪み
• Lowのwaveform~オブジェクトに対して、直線を手描きで描き直す。
• 波形にわずかな偏差を加えると、音にノイズが追加されます。
• ジグザグ形状を描くと、ハーモニクスが追加され、チューブアンプ特有の「暖かい」効果が得られます。
2. 中音域の歪み
• Midのwaveform~オブジェクトにゼロクロス付近の歪みを導入すると、トランジスタアンプのような硬い音が得られます。
3. 高音域の歪み
• ランダムなピークを描くことで、デジタル歪みのような効果を生み出します。

リセットとスムージング

• リセット: Resetボタンで、uziオブジェクトを使用してbuffer~に-1から1の値をプログラム的に設定。
• スムージング: Smoothボタンで、現在のbuffer~の各サンプルを前のサンプルと平均化し、カーブを滑らかにします。


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