220925 10代前半
S君との死闘から
数週間たった頃から
同級生の数人が
不適な笑みを浮かべながら
エヌエイチケーカクなる
呪文の様な言葉を使い始めた
日本放送協会は確かに近所だが
何か新しい番組でも始まるのかしら
意味は解らなかったが
あ!もしかしたら流行語ナのかも
とも想っていた
新語を遣う友達がドンドン増えて
流石に知らんと会話が成立しないかも
とS君に訊いたんだ
彼は笑顔で
前に話していた計画が発動する
君は今まで通りでオッケーさ
とウインクされた
どうやら
M君を玉座から引きずり落ろす計画
の事だったらしい
ミンナが本懐を遂げるなら
喜ばしいのかも知れないなぁ
そんな事を考えながら
周りの計画賛同者の顔を見て
僕には彼等が新たな
イジメッコに見えてきた
S君という絶対強者を背景に
自分達は背中に乗るだけ
という構図が僕には
どうにも格好良く見えなかったんだ
S君を捕まえて感じてる事を話したんだ
僕、美しくないような気がするって
聴き終えたS君は敵意の無い
子犬を視るような顔をして
ソレからギュッと顔が強くなって
僕に語りかけた
いま同調シてる奴らは
更に強い人が来たら
スンナリ流される
皆で手を組んで力の強い奴を倒す
勝ち取った平等は尊いんだ
その手助けは僕がヤる
彼はそう言い切ったんだ
僕は美しいと感じた
その通りにナったら最高だね!
でも僕は参加したくない
S君は、またホンワカした顔で
うんうんと頷いて
コッチに来ない方がイイ
そう言って僕の肩を抱いた
コレから起きる事が
僕には見えなかったけろ
誰も困らずに済んだらイイなぁ
などと甘っちょろい事を考えていた
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