XAM [ムダな会議撲滅]
私は会議が嫌いだ。
厳密に言うと「アジェンダが事前に共有されない会議」が嫌いだ。
会議に入るまで何を議題にして、どこが着地点かが想定されていない会議ほどムダな時間を過ごすものはない。
事前に議題と目的が明確なら、それぞれが自分の意見等をまとめておき、すぐに議論に入れるのに。
私は長文メッセージが嫌いだ。
厳密に言うと「要点がひと目でつかめない」長文メッセージが嫌いだ。
判断が必要なのか、単なる報告なのか、検討すべき事項なのか、が明確でない文章を全部読んだ上でそこから汲み取れというのは思いやりがないと思ってしまう。
私は器が小さいのか。
世の皆様の心が広いのか。
XAM
私は自分の会社を運営するのとは別に、アメリカ系外資中小企業にてグループ数社の財務経理責任者および1社の副社長として就労している。
数多くの会社を経験した私が、この企業が提供するフレームワークにおいて「これはもっと周知すべき」と感じたことがある。
それが、XAMである。
この企業においては、メールを送る際や会議招集の際、XAMを明確にすることがルールとなっている。絶対規律となっている。
X:事前に会議やメールの目的を定め、A : (会議前・メールを読む前の)参加者/対象者の状況を整理し、M:どうやってその目的を達成するかを提示する。
例えば、あるグループ企業が新規案件を受注したが、材料や外注費の前払いにより大幅にキャッシュフローがショートする可能性がある。そこで、X [各社のキャッシュフローから融通できる金額や期日を話し合う]ために、A [複数のグループ会社の財務経理責任者]を対象としてM [各社がグループ貸付できる金額と条件を話し合い決定する]会議を持つ、という通知が来る。
我々は、会議までに自社のキャッシュフローを精査し、1-3案程度を持ち寄る。
言葉にすれば普通のことだが、議題と目的が明確だと参加者も事前準備ができ、時間内に目的を達成し会議を終了できることができることが多い。
会議ルール
これとは別に、ベンチャー企業在籍時、時間の浪費にたまりかねて下記ルールを設定、施行した。会議の開催時には自分だけでなく会社ルールとして、常に以下のようなルールを関係者に周知するようになった。
大前提
意味ある会議とは目的を達成する会議であり、その目的を明確にする
会議の種類
何か行動を決めるための意思決定
提案、意見出しするための議論
コミュニケーションを取るための共有・確認
進め方、ルール
事前にタイムテーブルと資料を関係者へ配布
参加者は事前に資料に目を通してから会議に臨む
発言、意見のない者は参加しない
定刻開始(遅刻者は待たない)
開始時にタイムテーブルを再周知
発言ルールを決定(都度?あとで時間を取る?挙手?など)
発言者は内容を簡潔にまとめる
内容がズレるが議論が必要な事柄は当日中に別途会議設定
議事録を当日中に共有
ルール設定に至った経緯
緊急の場合を除き、定例会議や予め開催が決まっているにも関わらず、開始して初めて会議の目的や資料の読み合わせを行う。これほど参加者の時間をムダにし、意味のない時間はない。
参加者にしても、会議が始まってから考えを巡らせたり、状況を把握したりすることになる。事前に自分の考えをまとめる時間があれば、会議自体の質も高くなるはずなのに、誰もそれをしない。
結果、予定時間は過ぎても結論は出ず、時間延長する割にゴールにたどり着かない。一度も発言しない者もいる。
「発言すれば責任を負わされる」「反対すれば詰められる」「何か言えば会議が長くなる」そんな雰囲気の中、誰もが「早く終わらないかな。自分の仕事溜まっているんだけどな。」と考えながら、無為に時間を浪費する。
いい歳したおとなの集まりが。
会議をすることが目的になっている。自分が子供の頃の学級会だって、もっと建設的な議論があった気がする。
自分がある程度の権限を持つようになり、上記のルールを導入した。
権威主義クソ喰らえ、とは思うが、何を発言するかではなく誰が発言するかでしか判断をしない輩は一定する存在する。悲しいことだが。
このルールの設定以降、劇的とは言えないがある程度の効率化をすることはできた。少なくとも最初の10分間の読み合わせはなくなり、タイムシートを意識し、目的を認識したうえでの議論からスタートができるようにはなった。
※ただし自分が常に一番の”社長"さんはルールを無視して言いたいことを言いたいタイミングで話して脱線、私が戻すというのが常であったが。
無駄な会議は参加者の時間を奪う
「日本企業の生産性が低い」だの「生産性向上」だのが叫ばれて久しいが、依然として無駄な会議(やチャットでやれ、というようなメール)はなかなか減らない印象を持つ。
※単に私がその程度の企業としか付き合えない人間だからだ、という批判は甘んじて受ける。
企業はそれぞれの得意分野のスペシャリストが揃った集団である、という前提に基づけば、無駄な会議の進め方をすればそれだけスペシャリストが力を発揮する機会損失につながる。
もちろん特に議題を定めず、案や意見を出し合うブレインストーミングは必要である。
しかし、ブレインストーミングと雑談は別物であることを意識せず、長い時間会議したから「良い会議」ではないということを、特に経営陣やマネージャークラスは認識すべきではないだろうか。
私は会議だけでなく、業務や戦略においても常にXAMを明確にした言動を心がけたい。もう44歳。寄り道する時間はもうない。
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