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【雑感】数値化vs数字で表せないもの
昨今、テクノロジーや科学の発展により、スポーツ界において、数値化が当たり前になってきています。
野球界では、ラプソードやトラックマン、フォークアイなど、あらゆるデータがリアルタイムに近い形でフィードバックされ、選手のみならず、観客ら一般の人に至るまでデータに触れる機会が増えています。
また、ラグビー界では、GPS計測により、走行距離や移動速度、加速した回数など1試合あたりのデータが出され、それを練習やトレーニングの内容に反映していく流れが当たり前となっており、特に我々のようなトレーニングコーチやトレーナーがそのようなデータを扱えるようになることが求められています。
このような傾向は、バスケットボールやバレーボール、サッカーやアメフトなどあらゆるスポーツで同様で、今後ますますデータ活用が加速していくものと思われます。
つまり、ひと昔前まで、見えなかったものを見えるようにする(=見える化)ことが、物事を分かりやすくし、ビジネス的には成果を可視化することになり、説得力を持たせる要素の一つとなっています。
さて、そのような現在の潮流の中で、野球界の最近のトレンドに目を向けると、投手の球速アップ、そしてラプソードによる球質の分析というものが注目されるようになり、またトレーニングとの親和性が高いことからも、ピッチングコーチではなく、トレーニングコーチやトレーナーがその領域の指導をするようになっています。
最近、読了した以下の書籍もその潮流の一つだと思っています。
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データ分析を基に、緻密にトレーニングを構築していくアプローチは、ストレングス工房のノウハウに欠ける部分であり、学ぶ点が多くありました。
一方、同時期に、以下のYouTube動画も視聴しました。
動画の中で菊池投手は、昨今のMLBの傾向について触れており、全てのものがデータ化され分析される中で、数字では表せないものでいかに勝負していくかというフェーズに入っているとの話をしていました。
例えば、球の出どころを見にくくしたり、同じ変化球でも変化量を変えたり、角度を変えたりなど。
投手であれば、球速が上がれば上がるほど、バッターを打ち取る確率が高まるとのこと。
しかし、そうじゃない投手がバッターを抑えるシーンはいくらでも目にすることがあります。
結局、どちらが良いのか、正解はないのですが、分かりやすい数字を追い求める方に傾き過ぎているように感じ、個人的には違和感を感じています。
科学やテクノロジーを否定するつもりも、それに抗うつもりもありませんが、数字で表せないものにも目を向け、正当に正確に評価ができるようにしていくことも大切ではないでしょうか。
今日は徹頭徹尾、雑感です。
また見解などがまとまってきたら、改めて投稿します。
JPFストレングス工房
鬼頭 祐介