【第2章】ChatGPTの基本の"キ"
ChatGPTの画面説明
それでは実際にChatGPTの画面を見てみましょう。
現在(2023年7月時点)、ChatGPTを開くと上のような画面になっているかと思います。
画面の大部分を占めるエリアでは、AIとの会話が表示されます。
画面下部には文字を入力するフォームがあり、ここにプロンプト(AIへの指令文)を入力します。
画面左側には、過去のチャット履歴が表示されています。
一つの履歴を選択するとそのチャットルームが開かれ、続きから会話を進めることも可能です。
左下にはあなたのユーザー名が表示されています。
ここを選択すると有料版であるChatGPT Plusへの登録や、各機能のON/OFFを切り替えることができます。
画面表示について理解できたところで、実際にChatGPTを使用する際の2つのポイントを見ていきましょう。
ChatGPTの使い方ポイント
1つのチャットルーム内では連続的に会話を続ける
1つ目のポイントは、チャットルーム内では連続的に会話を続けることです。
1つのチャットルーム内に1人の専属AIがいるとイメージしてください。
このAIはあなたと会話を続けることで、どんどんあなたの意図を汲み取って精度の高い回答をしてくれるようになります。
なぜなら、チャットルーム内のAIはユーザーとのそれまでの会話を記憶し、その会話をもとに回答を生成するからです。
例えば、あなたがスパイスカレーを作るためにChatGPTを使ってスパイスの学習をしたとします。
ある程度スパイスの知識を共有した後にカレーの作り方をChatGPTに聞いたら、それまでのスパイスに関する会話をもとに、カレーの作り方を教えてくれます。
AIには、しばしば人格や文脈という言葉が使われます。
あなたとの会話の文脈を通して、そのチャットルーム内だけで通じる人格を形成していきましょう。
各チャットルームでは情報が共有できない
ChatGPTを使い続けていくと左側にチャット履歴が溜まっていきますが、これらのチャットルーム間で情報の共有はされません。
1つ目のチャットルームにいるAIと、2つ目のチャットルームにいるAIは情報を共有していないので回答の軸が異なります。
例えば「空が青い理由」について尋ねたチャットルームがあるとしましょう。
このチャットルームでChatGPTは質問に対して
・光の散乱
・大気中の粒子
・大気の厚さ
という軸で回答したとします。
また、別のチャットルームで「夕焼けが赤い理由」について尋ねるとします。
するとこちらでは
・波長の長さ
・水蒸気の量
という「空が青い理由」と異なる軸で回答する可能性があるのです。
回答する軸が異なることで、それぞれの違いを比較できないという問題が発生します。
さらに、回答する軸以外にも「出力形式」が異なる場合もあります。例えば一方は文章で説明され、もう一方は箇条書きで説明するといった違いです。
あなたから見たら同じChatGPTかもしれませんが、それぞれのチャットルームでは別々の人格が形成されているのです。
ChatGPTの意外な落とし穴3点
ChatGPTを使用する前に確認しておきたいことと、知っておきたいことを3つ紹介します。これから紹介する3点はChatGPTを活用するために最低限必要な知識ですので、確実に覚えておきましょう。
Chromeの日本語翻訳は解除
ブラウザの1つであるChromeには、ページを丸ごと自動翻訳してくれるという機能があります。
この翻訳機能で日本語翻訳をオンにしているとChatGPTがおかしな挙動をすることがあるため、Chromeの日本語翻訳は解除しましょう。
プロンプトを改行する時は「Shift+Enter」
ChatGPTに慣れてくると、長文のプロンプトを入力するシーンが多くなります。
この時、普段パソコンを使う感覚でエンターキーを押して改行しようとすると、プロンプトが送信されてしまいます。
誤って送信を繰り返してしまうと、生産性の低下につながりかねません。
改行する時はShift+Enterを押す癖をつけましょう。
ChatGPTの出力は途中で止まったら「続き」
ChatGPTが長文を出力すると、途中で出力が止まってしまうことがあります。
これは、ユーザーとChatGPTが一度にやりとりできる文字数(token」が決まっているからです。
この場合は「続き」と指示を出すことで、途中で止まった箇所から出力を再開してくれます。
また、現在は「Continue Generating」というボタンが実装されており、このボタンを押すと自動で続きを出力してくれます。
これは、ボタンを押すことでシステム内部で自動的にChatGPTに対して「Continue(続き)」というプロンプトを送る仕組みになっているからです。
GPT-3.5とGPT-4の違い
ChatGPTのセミナーで必ず聞かれるのが「ChatGPT PLUSに課金して、GPT-4にすべきですか?」という質問です。
私が実際にGPT-3.5とGPT-4を触って感じた次の2点から、悩んでいればすぐに課金してGPT-4を利用することをおすすめします。
違い1: 知識量
よく言われる例は、アメリカの司法試験をGPT-3.5とGPT-4に受けさせたところ、GPT-3.5は下位10%の結果だったのに対してGPT-4は上位10%の成績だった事例です。
そのため、広く深い知識が必要な内容について尋ねる時や、精度の高い回答が必要な時はGPT-4の方が向いています。
違い2: 文脈の読み取り力
もう1点は、GPT-4の方が文脈を読み取る能力が高いことです。文脈を読み取る能力が高いと、具体的に次の2つの観点で差を感じられます。
・内容を正しく理解し意図通りに動いてくれる
プロンプトの中で前提や条件を指定した場合、どうしてもプロンプトは長文になりがちです。しかしGPT-4は、そのような長文のプロンプトを正しく読み取って処理してくれます。
また、後述する「変数」や「繰り返し」といった指示も正しく処理してくれます。
・一貫性のある回答
GPT-3.5で長く会話を続けていると、過去の会話とマッチしない回答をする場合があります。
一方でGPT-4は、過去の会話と一貫性のある回答をしてくれます。
例えば、GPT-4は「今までの会話を要約して」といった指示を出すと正しい要約を出力することができます。
通常、月20ドルでプロフェッショナルな人材を雇うなんて考えられません。そのため、個人的にはGPT-4に今すぐ登録して、月額以上の結果を得ることをおすすめしています。
ブラウジングとプラグイン
ChatGPT Plusに課金すると「ブラウジング」と「プラグイン」という機能が使えるようになります(2023年6/30現在)。
ブラウジング
ChatGPTは2021年9月までの情報しか持っていません。
そのため「明日の天気は何?」「今の内閣総理大臣の名前を教えて」といった指示に回答することができません。
そこで役に立つのが「ブラウジング」という機能。
ブラウジング機能をオンにすると、ChatGPTがbingという検索エンジンで最新の情報を調べてから回答してくれます。
保持する情報が古いというChatGPTの弱点を、ブラウジング機能により克服することができました。
プラグイン
「プラグイン」とは「ChatGPT上で動く他社アプリ」のことを言います。
例えば、食べログを考えてみましょう。
食べログで飲食店を探す際は、Webブラウザから食べログにアクセスして日時や人数、好みといった条件を指定して、条件とマッチするお店を探します。
しかしChatGPTで食べログのプラグインを使用すると、ChatGPTに対して「◯日にX人で△△を食べたいんだけどおすすめのお店を5つ教えて」と指示するだけで、ChatGPTが食べログから条件に合うお店を提案してくれます。
プラグインは誰でも自由に開発することができ、その数はどんどん増えています。
プロンプトって何?
ここからは、実際にChatGPTを始めとするAIの活用方法を学んでいきます。まずは、AIの活用に必要不可欠な「プロンプト」というキーワードを理解しましょう。
プロンプトとはAIに送る指令文のことです。例えば、ChatGPTに対して「◯◯について教えて」や「◯◯というテーマで文章を書いて」といった指令文を指します。
画像生成AIである「Midjourney(ミッドジャーニー)」に投げる呪文もプロンプトと呼びます。
つまり、プロンプトとはChatGPTに限らずAIに対して送る指令文のことを指します。
プロンプトの心構え
AIに対してプロンプトを投げる際には、以下の3つのポイントを意識しましょう。
・プロンプトは質問ではなく指令である
・プロンプトはできるだけ具体的な内容にする
・AIに仕事を外注するという視点を持つ
この3つの中で最も重要なのは、1つ目の「質問ではなく指令である」という意識を持つことです。
プロンプトは質問ではなく指令であるという意識は、どのようにChatGPTからの答えに影響するのでしょうか。
例えば、あなたがChatGPTに対して「空はなぜ青いの?」と質問をするとします。
もちろん、ChatGPTはその理由を詳細に教えてくれるでしょう。
ここで「空はなぜ青いの?」という質問を指令へ変換してみましょう。
すると「空が青い理由についてGoogleで検索し、複数のサイトから信頼性のある内容をまとめ、私に分かりやすく説明してください」という指令に変換することができます。
指令という意識を持つだけで、目的達成のための具体的な処理や最終的なアウトプットの形式まで指示することができます。
これは2つ目と3つ目のポイントにつながります。
このことから、プロンプトは質問ではなく指令であるという意識を持つことの重要性が理解できます。
本記事はマガジン『ITエンジニアが教える!ChatGPTの教科書』にて連載しています。
ぜひ下記URLからフォロー(無料)をしてください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?