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プロ選手として本当に大切なこと

激闘の末に千葉ジェッツの初優勝で幕を閉じた先日のBリーグファイナルによって皆さんの記憶は上書きされつつあるかもしれませんが、コロナ禍のはじまり、シーズン途中で中止となった昨年のBリーグ「2019-20シーズン」の記憶もまだ新しいのではないでしょうか。他のエンタメ業界と同じく今もなおその影響下にあるBリーグですが、その中でも一つの希望となったエピソードを今日は語ります。

Bリーグの市場規模はここ数年右肩上がりの成長を続けており、コロナによる大打撃を一時受けつつも、長期目線で見ればやはり成長産業であることには変わりはなく、攻めの姿勢に転じているクラブも複数あります。一方で、長期で耐えられるほどの経営体力が無い場合、コロナ特例で3シーズン降格無しということも相まって、一時的に戦力よりも財政の健全化を優先するクラブもあります。プロバスケットボール選手もこれにより転機を迎えました。

簡単に分けるならば、予算を引き上げたクラブ(←少数派)、予算を大きく絞ったクラブ、予算をピンポイントで使うクラブがあるでしょう。ピンポイントで使うの意味は、スタメン+αくらいの少数の高年俸選手に投資し、残りは低年俸の若手選手や無償の学生特別指定選手などを活用してうまく全体予算は抑えつつ、戦力は効率的に整えるといった感じで、多くのクラブはこの考え方のはずです。

この全体像を踏まえた上でプロバスケ選手市場を見ると、所得格差が生まれている、と個人的には感じています。ただこれに関してはだからどうということはなく客観的に見てそうだろうなってだけで、本論から逸れるのでまた別の機会に。

一つ言及したかったのは、予算削減の為に特別指定選手制度が使われているケースがあるのではないか、という点です。約1年前にツイートをしておりますので、それにぶら下がっている投稿も合わせて読んで頂けると言いたいことが伝わるのではないかと思います。

さて、大変長い前置きになってしまいましたが、「2019-20シーズン」の後、宮越康槙選手もまた特別指定+ルーキーシーズンを経てプレーするクラブが無くなりました。同じ境遇の選手は多いけれども身近な存在である彼のサポートをすることが自分の最低限の役割だと思い、本人とも協議した上で応援することになりました。それがこちらの「宮越康槙選手 Bリーグ復帰応援プロジェクト」になります。

その後の1年間、Bリーグに復帰する為に彼はとても努力しました。これは僕の個人的な考え方なのですが、単に金銭的な支援をするのは選手の為にならないと思っていたので、きちんと仕事を用意してその対価として報酬を支払う契約を結びました。復帰に向けて日々の練習や試合等を優先出来るように仕事はなるべく融通が効くようにしましたが、それでも仕事に対しての向き合い方や考え方などはきちんと指導しました。

そして、その態度や私生活も含めてやや厳しめに叱ることもありました。応援してくれる人がいることを忘れるな、自分だけの力でここにいるわけじゃないぞ、、、そんなたまに口うるさい先輩オーナーにイラっとしたこともあるでしょう。

ただ、彼に理解して欲しかったことは、プロバスケ選手はバスケが上手いだけではプレーし続けることが出来ないこと、コート上での成績や活躍だけが評価の基準ではないということ。いくらでも代わりの若い選手がのし上がってくるこの世界でどういう選手がクラブから求められるのか。まさにそれを肌で感じ、成長出来た1年だったはずです。なにせ実際に契約を失ったわけですから、自分ごとにならない訳が無いのです。そういう意味では同年代の若い選手たちよりも多くのことを経験出来たでしょうし、プロ選手として本当に大切なメンタリティは何かということも伝えてきたつもりです。

彼から正式に契約を結ぶことが出来ましたという一報を聞いた時は、心から嬉しかったです。応援プロジェクトを通じてご支援頂きました皆様、本当にありがとうございました。皆様のサポートがBリーグ復帰に向けて大きな原動力になりました。TOKYO DIME、HACHINOHE DIMEとしても支援が実り、スタッフ一同自分ごとのように喜んでおります。

実績を十分に残せていない若手選手が1年のブランクを開けながらプロに復帰することは想像以上に難しいことです。Bリーグおよびバスケ業界の過渡期におけるその成長痛とも言える歪み、それに苦しむ若手選手たちの一つの希望に宮越選手はなったと言えるでしょうし、選手を支える側のアプローチとしても一つの成功事例になったと感じています。

なお、たまたま契約した先が僕の前所属クラブのアースフレンズ東京Zで、彼の活躍や努力をDIMEを通じて見てくださっていたのかもしれませんが、僕は一度も事前に売り込んだりお願いしたことはありませんのであしからず。(これ本当です。)

しかしながら、プロの世界は厳しいです。彼が今後もBリーグでプレーし続けられるかどうかは保証されていませんし、それこそ実力次第です。引き続きファンの皆さんの温かいサポートを宜しくお願いいたします。

ヤスキ、頑張れよ!

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