2022年の振り返りと2023年にやること
2022年は、5つの新規サービスリリース、1つの海外子会社の設立、取締役会の設置、執行役員制度の開始など、様々な動きがあった1年だと振り返っています。この記事では2022年に経験したことや学習したことの中で、今後の人生にも役立ちそうなものを列挙していきます。
2022年の振り返り
2022年は、ほとんど新しい本を読むことがありませんでした。他者とのコミュニケーションを介して新しい概念を獲得したり、新しいスキルを習得したりするということがほとんどでした。
2020年は本をたくさん読んでいたので、本でよく情報を取得するという方は2020年末に書いた記事をご覧ください。
自己の「外側」と「内側」にある情報の整理
2022年は、自分の外側にある情報を分析するよりも自分の内面と向き合い、分析する機会の方が多くありました。これまでは自分の外側にある課題や情報を分析し、理解に努めてきましたが、そのほとんどがアナロジーで解決可能です。同時に、解決していない要因についても理解しやすくなるため、解決されていない状態を受け入れることも容易になりました。自分がこれまで経験した失敗やこれから経験する失敗は人類の失敗の歴史をよく観察すると古今東西で誰かが経験しており、歴史を学び続けることでほぼすべての失敗は想定できるものに落とし込めます。
一方、愛や禅などの自分の内面を観察して受容する行為は、メタ的な視点が常に伴うものであるということと、非常に流動的である点で対応が難しくもおもしろいと感じています。歴史は過去に起きたものであり、解釈の違いはあれど大きくは変わらない一方で、自己の内面と向き合うと秒単位で状態が変わり続けるため、全く異なる対処法が必要になります。
これまでの人生では自分の外側にある情報を取得し、その情報を理解することに多くの時間を費やしていました。それが世界のほぼすべてだと思っていましたが、自分の内側にある情報を観察し、理解を深めていくことは自分の外側の情報に対する審美眼を鍛えるための効果的なトレーニングにもなることがわかったのは2022年の大きな収穫でした。自分と他者に対して等しく持つ愛の認知とその理解は人生を通じて続けたいと思っています。
高校生のころから内省するための日記をつける習慣があり、内省することは以前から好きなことのひとつですが、今までよりもさらに自分の内側の情報と向き合う時間を増やすことで、自分の内側と外側、それぞれに対するアウトプットの質を高められるような気がしています。
自分の外側に注意を取られがちですが、自分の内面に絶えず向き合うことによって大きな収穫が得られると実感した1年でした。
「グローバル」という曖昧な言葉
ヨーロッパに拠点を移し「グローバル」概念は定義が非常に難しく、こだわる必要が一切ないものというであるというのも2022年の大きな収穫でした。当たり前の話ですが、電気やガスが生活インフラとしてあり、家があり、自動車が走っており、平日の昼間に母親がベビーカーを引いている光景があり、どこの国でも人の行動はなにも変わらないことを痛感させられています。もちろん世界のすべての国が生活インフラが整備されているわけではありませんので、公共事業と民間事業の挾間にあるような生活インフラを整える取り組みには興味を持つようになりました。
また、日本でイメージしていた「グローバル」というのは主にアメリカ、中国、EUの経済のみを指しており、それらの国で生活をしている人々の解像度が非常に低いまま議論が進めてしまっていたのは反省点です。そして、日本はほとんどの国の生活インフラと比較して高い水準を保っています。
日本しか知らず、いくつかの国の様子を見る前は「グローバル」という言葉に取り憑かれていましたが、漠然としたその単語には具体性が含まれていません。「グローバル」という言葉に取り憑かれるよりも、それぞれの国や地域の人々が食料を確保し、しっかり眠ることができ、安心できる環境を確保するためにテクノロジーやビジネスが利用されるべきだと考えています。
今使っている電気やガスのインフラの歴史を考えると、今後エネルギーに関連するイノベーションは人々の生活を大きく変える可能性があると感じています。ブロックチェーンのような税務・規制・ビジネス・技術あらゆる知識が必要になる事業領域での経験を元に、地球の20-50%以上の人の生活を便利にするような領域での事業を、人生のどこかでやりたいと考えるようになりました。
あいまいな言葉はあいまいなままにせず、自分の目で見て確かめるというのがどの粒度まで行っても大切であると感じました。
2023年にやること
既に、2023年中に8つのサービスのリリースを検討しており、そのうち6つはリリースに向けて動いています。1つを成功させるためには9回くらいは失敗しないといけないので、1勝9敗の精神で引き続きとにかく数を打つことを続けます。
ブロックチェーン領域での新規事業参入期限はあと2年
2017年から「10年は張る」と決めてブロックチェーン領域での取り組みを始めてきましたが、当初見積もっていた以上に規制の整備、業界のエコシステムの回転が非常に速いと感じています。
ブロックチェーン領域でのピース(論争を生みやすいので細かくは言及しません)が各レイヤーで揃いつつある中で、グローバルな規模で国籍関係なく勝負できる環境はそう長く続かないと考えています。
プレイヤーとして私がブロックチェーン領域で新規に事業を立ち上げるのは、あと2年くらいが限界だと考えています。その後は、ファンドやそれまでに公開したサービスを成長・拡大に専念しようと考えています。(グループ会社や私が関わる会社で新規に事業を立ち上げるなどはあると思います)
あと2年の時間しかないからこそ、やれることはすべて2年以内に展開したいと考えています。
10年後の社会を見据えた事業への取り組み
ブロックチェーン領域で事業をしていると「社会のなにを良くするのかがわかりにくい」と言われることが多いです。データの管理方法に関する技術であるため、それ単体がいかに社会を変えるかという話をすると長くなってしまうのですが、もっとわかりやすく社会を良くする領域というのもあると考えています。
当然、ブロックチェーンだけが人々の生活を変えうるものではないため、その他の影響が大きい領域での挑戦も始めたいと考えています。
人を育てる、チームをつくる
これまでも個人単位のアウトプットよりも組織単位でのアウトプットに注力していましたが、2023年はさらに人を育てるということと、チームをつくるということに集中したいと考えています。
これまでもチームをつくるのが大切、ということを言っていたのですが、この文脈における「チーム」というのは0→1が誰かの手によってされたあとに、あくまでそれぞれが役割をこなせば改善されていくような仕組み(組織のシステム)に留まるものでした。
しかし、これだけでは新規の事業に関することは創業者依存になってしまい、なんらかの要因による創業者の離脱によって新規事業創出がボトルネックになります。(そしてイノベーションのジレンマに陥ります)
0→1、1→10、10→100それぞれの段階に適した起業家、事業家、経営者が生まれる仕組み(エコシステム)を作っていかなければ、組織として強いとは言えないと考えています。そして、日本という国で日本人によって構成される企業において、組織に力を入れないというのは考えにくいため、この仕組みづくりに関しては引き続き答えを探りたいと考えています。
それぞれの役割を果たすことに特化した人材の育成に限らず、不確実性を愛し、不確実性の中からなにか手がかりを見つけ、自らだけでなく局面をすべて変えられるような人材を育成・採用できるような仕組みを2023年にはつくり始めたいと考えています。
健康に気を使う
気を遣っていたつもりではありますが、痛風になったり過労による体調不良になった2022年だったため、2023年には健康には気をつけていきたいと考えています。
健康は本当に大事です。適度な運動と栄養バランスの取れた食事と適切な睡眠時間をとり続けることが2023年のひとつの目標です。
さいごに
2022年の行動を振り返ると、4月にヨーロッパへの進出を決めてから終始それに関連した動きが多かった1年でした。国内の事業を進めながらどこの国でも使われるような国境のないプロダクトをつくるのに難しさとおもしろさを感じています。
2023年は、次の成長に向けた準備に専念し、勝利の条件を揃える1年になります。仕事で手の届く範囲も、自分ひとりでやれることをはるかに超えたものになってきています。なにもないときにリスクを取ってくださった周囲の方々に対して、事業を回転させることによって還元していくとともに、更に大きなエコシステムに還元していけるようにがんばります。