[ 神社 ] 猿を祀る猿神社(岡山県津山市)
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猿神社
住所
〒708-0815 岡山県津山市一宮
駐車場
神社の鳥居に向かって,右奥,道の右手に駐車場があります。
祭神など
猿田彦命。
感想
どこからどう見ても猿ですね。多くの神社では,狛犬が拝殿を守っています。たまには猪が守っていたりします。しかし,猿とは!
この神社は中山神社。岡山県津山市にあります。今昔物語に「生贄を喰らう猿」という物語がありますが,その物語の舞台が今は中山神社のたつ土地だったよう。
今は昔のことですが,この地域では一年に一度,猿に若い娘を捧げるという習わしがあったそうです。捧げて猿がどうするかといえば,猿がひとの娘を調味料をつけて食べてしまうと言います。
この習わしを耳にした旅の男が,今年,生贄に捧げられる娘の代わりに自分がなろうと言い出します。男は娘の代わりに長櫃に入ります。宮司たちが長櫃を猿のもとへと運びます。猿が長櫃を開けると,犬が飛び出し,猿たちを噛み殺します。男はリーダーの猿を殺そうとしますが,まさにそのとき,宮司に「猿を殺してはいけない」という神託が降ります。
男は猿を殺すことはしませんでした。その後,この習わしはなくなり,男は助けた娘と一緒になり,末長く仲良く暮らしたということです。めでたし,めでたしというお話です。
この猿を祀っているのか,中山神社の奥には猿神社があります。猿神社の祠は大きな磐座に置かれています。
論文によると,縄文時代には日常的ではないにしろ,猿を食用としていたようです。シカやイノシシを主に私たちは食べていたようですが,数は少ないながら,猿の骨も遺跡から見つかっています。
西本豊弘 (1995) 縄文人と弥生人の動物観 [Jstage]
弥生時代になると,朝鮮半島から異なる民族が日本に渡ってきて,私たちが食べる動物も変わってきたといいます。例えば,弥生時代には犬が食用になっているそうです。
その後,675年には天武天皇が牛・馬・犬・猿・鷄を食べてはいけないという令を出しています。禁止令がでるということは,このころまでは,猿はひとに食べられていたということでしょう。
今のわたしたちの感覚でいうと,わたしたちの体型にちかい猿を殺して食べるというのは,なんとも薄気味悪い気もします。しかし,こうした感覚は以前の日本にはなく,歴史のどこかの段階でそのような感覚が生じて今に至るのでしょう。
私たちの過去の記憶は今昔物語では猿が人間を食べるはなしになっていますが,事実は逆で,ひとが猿を食べていて,いつしか,それに罪悪感を抱くようになる。罪悪感を言語化するとき,なぜか,主と客が転倒する。自分が加害者なのに被害者のような顔をする。こういう転倒は歴史認識のところでは,よく現れるようにも思います。こういった猿食に対する歴史的変遷と,私たちのもつ奇妙な防衛反応によって上のようなおはなしが作られたのではないかなと想像します。
関心を持たれた方へ
阿部好臣(2018). 『竹取物語』 源流考=縄文への眼差し, 物語研究, 18, 14-28. [Jstage]
note の記事。猿神社に関する記事。楽しそうな旅の様子が綴られています。
note の記事。猿神社に関する記事。美しい写真と祭神について詳細に説明されています。
wabi・sabiさん 岡山県『美作國一ノ宮 中山神社』[note]
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この神社のご祭神,誰かしら?そういう場合は日本書紀を読んでみる。
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