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[ 日本書紀を読んでみる ] (5) 黄泉の国 下
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概要 宇治谷孟「日本書紀」(講談社学術文庫)を読みとおすことを目的にしています。すこしずつ読んだ内容を,簡潔にまとめ,読者と共有していきます。間違いがあれば,コメント欄で教えてください。
目的
一緒に,宇治谷孟「日本書紀」(講談社学術文庫)を読みとおしましょう。
黄泉の国
イザナギは後悔して言った。
「とても汚いところにいた。体の汚れたところを洗い流そう」
イザナギは九州は日向にある川が落ちるところの,橘の檍原に行きました。そこで禊払いをしました。体の汚れたところを洗い流す際,イザナギは中の瀬で洗い流しました。なぜ中の瀬だったかといえば,上の瀬だと流れが大変に速いし,下の瀬だと流れが大変に遅いからです。このときに生まれた神様が八十枉津日神(やそまがつひのかみ)。その汚れを直すために生まれたのが,神直日神(かんなおひのかみ),大直日神(おおなおひのみ)。
イザナギは川底に潜って自身の身体をすすぎました。それによって生まれた神の名を底津少童命(そこつわたつみのみこと)といいます。そして,底筒男命(そこつつおのみこと)も生まれました。潮の中に潜ってみました。このとき,中津少童命(なかつわたつみのみこと),中筒男命(なかつつおのみこと)が生まれました。イザナギは潮の上に浮かびあがりました。表津少童命(うわつつのおのみこと)と表筒男命(うわつつのおのみこと)が生まれました。こうして九柱の神様が生まれたのです。もう一度,九柱すべてあげておきましょう。
八十枉津日神(やそまがつひのかみ)
神直日神(かんなおひのかみ)
大直日神(おおなおひのみ)
底筒男命(そこつつおのみこと)
中筒男命(なかつつおのみこと)
表筒男命(うわつつのおのみこと)
上の神は住吉大神(すみのえのおおかみ)
底津少童命(そこつわたつみのみこと)
中津少童命(なかつわたつみのみこと)
表津少童命(うわつつのおのみこと)
上の神は阿曇連(あずみのむらじら)がお祀りする神
イザナギが左の目を洗うと,天照大神(あまてらすおおみかみ)が,右の目を洗うと,月読尊(つくよみのみこと)が,鼻を洗うと,素戔嗚尊(すさのおのみこと)が生まれました。全部で三柱の神が生まれました。イザナギは天照大神に高天原,月読尊には青海原の潮流を,素戔嗚尊には天下を治めるように言いました。
このとき,素戔嗚は髭も生えもう十分歳をとっていたが,天下を治めることができなくて,いつも泣いていました。イザナギは尋ねました。
「どうしてお前はいつも泣いているのか」
素戔嗚尊が答えて言いました。
「私は母の後を追って根の国に行きたいのです。それで泣いているのです」
イザナギはこの答えを不満に思い,こう言いました。
「お前の望み通りにしなさい」
イザナギは素戔嗚尊を追いやってしまいました。
宇治谷 孟 (翻訳)「日本書紀(上)全現代語訳」(講談社学術文庫) [Amazon]
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