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[ 日本書紀を読んでみる ] (4) 黄泉の国 上

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概要 宇治谷孟「日本書紀」(講談社学術文庫)を読みとおすことを目的にしています。すこしずつ読んだ内容を,簡潔にまとめ,読者と共有していきます。間違いがあれば,コメント欄で教えてください。

目的

一緒に,宇治谷孟「日本書紀」(講談社学術文庫)を読みとおしましょう。

黄泉の国

イザナギノミコトはイザナミノミコトを追いかけて,黄泉の国に行きました。イザナミノミコトは言いました。「来るのが遅い。もうこの国の食べ物を食べてしまいました。もう私は寝ます。私の寝顔は見ないでください」。

イザナギノミコトは,つま櫛をとりだして,一番端の太い歯をとって,火をつけて,妻の寝顔を見ました。すると,妻の顔は膿んでおり,蛆虫もわいていました。驚いたイザナギノミコトはすぐに逃げ出します。

「なぜ寝顔を見ないという約束を破ったのですか」 追手として,鬼女八人,泉津日狭女(よもつひさめ)を送ります。鬼女八人というが,「八」というのは昔は「たくさん」という意味もあるから,きっと無数の鬼女たちが,よもつひさめを筆頭にイザナギノミコトを追いかけてきたのでしょう。想像にするに恐ろしい光景です。

追いかけてくる女たちに,イザナギノミコトは髪に巻いていた藁草の飾りを放り投げました。地に落ちた藁草はブドウに変わりました。女たちは拾って食べはじめます。しかし,食べ終わるとすぐに追いかけてきます。

追いかけてくる女たちに,イザナギノミコトは懐にあったつま櫛を投げます。地に落ちたつま櫛は筍に変わりました。女たちは筍を掘り出して食べました。しかし,食べ終わるとまた追いかけてきました。見ると,イザナミノミコトも迫ってきています。

黄泉の国の平坂に着こうかというとき,川があります。よもつひさめたちはこの川をわたるのに難儀しています。そのうち,イザナギノミコトは泉津平塚に着き,千引きの磐で,道を塞いでしまいます。そして,妻,イザナミノミコトに,縁切りの呪言を唱えました。

イザナミノミコトが言いました。「私はあなたを愛してはいます。しかし,そう言うのなら,私はあなたの国の民を一日に1000人殺していきます」

イザナギノミコトが言いました。「私もあなたを愛してはいます。しかし,そう言うのなら,私は一日に1500人新しい命を誕生させよう」

そうして,「ここから入ってきてはいけない」と杖をなげました。これを岐神(ふなとのかみ)といいます。着けていた帯も放りました。これを長道磐神(ながちわのかみ)といいます。次に着ていた着物も放ります。これを煩神(わずらいのかみ)といいます。サルマタも捨てます。開噛神(あきくいのかみ)といいます。靴も放ります。これを道敷神(ちしきのかみ)といいます。

泉津平坂は実在する場所ではありません。息がまさに絶えそうなその時のことをさしています。黄泉の国の出入り口を塞いでいる磐石は,冥界の入り口にいる大神のことを言います。この神を道返大神(みちかえしのおおかみ)といいます。

黄泉比良坂の伝承地

日本書紀では泉津平坂は実在しないと書かれていますが,古事記では「出雲国之伊賦夜坂也」にあるとされています。

ChiefHira - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10358058による
  • 宇治谷 孟 (翻訳)「日本書紀(上)全現代語訳」(講談社学術文庫) [Amazon]

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