[ 災害の前兆 ] 「川の石が音を立てて流れるときには気をつけろ」
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谷川 彰英 (著)「地名に隠された「南海津波」」 (講談社+α新書) [Amazon]
島根県出雲市奥宇賀町布勢上地区には,「川の石が音を立てて流れるときには気をつけろ」という伝承があるそうです。
以下の池谷浩さんの論文に詳しく説明されています。一読をお勧めします。
1997年7月12日,布勢上地区の上流で土石流が発生,布勢上地区でも大きな被害が発生します。
しかし,誰一人亡くなることはありませんでした。そのキーマンはこの地区の自治会長の方でした。
7月12日の早朝,川の石が流れる音で会長が目覚めます。会長は,昔からの伝承「川の石が音を立てて流れるときには気をつけろ」を思い出します。
会長はただちに近隣の世帯に避難をすすめます。自主避難が済んだ30分後,土石流が発生しました。土石流により家屋には大きな被害が出てしまいましたが,人的な被害をさけることができました。
それぞれの地域には,災害前におきる予兆,例えば,井戸の水位が下がるであるとか,災害直後にすべきこと,例えば,「カアカア」と言いながら川の様子を見にいけといった伝承が残されています。過去,災害にであったひとたちの,あのときこうしておけばよかった,こんなことに気づけばよかったという思いが伝承になっているのでしょう。
昔のひとが味わった苦しみをふたたび私たちが繰り返すことのないよう,災害伝承に関心をもつことはとても重要なことであると思います。
注意
災害伝承はその地域特有のものです。ある災害伝承が日本のどの地域でもあてはまるものではありません。
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