[ 読了 ] この世は美しい(梅原猛「梅原猛の授業 仏教」朝日文庫)
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梅原猛が中学生を対象に仏教の授業をしました。その授業が整理されまとめられています。
仏教はご存知のとおりインドで生まれました。遠い遠い国で生まれた仏教を,なぜわたしたちのご先祖は受け入れ,発展させていったのでしょう。
仏教にはいけないことが定められています。殺してはいけないとか,盗んではいけないとか,お酒を飲んではいけないとか,音楽を聞いてはいけないとか。それはキリスト教でもイスラム教でもそうです。ただ,他の宗教とちがうところが仏教にあるのではと思っています。
釈迦は晩年,弟子に,「この世界は美しい」と言ったといいます。
なぜ美しのか。おそらくそれが,身の回りのものやひと,自然もすべて,実のところ,自分というものが様々な表現をして現れているだけで,元は一つだということなんじゃないかと思います。梅原がいう,「個人の中に全生物の歴史が詰まっている」というのは,その美しさの別の表現なのではと思うわけです。
葉が風にまう。それもわたしのひとつのあり方。つぼみが開く。それもわたしの一つのあり方。そして,そこかしこで起きている悲しい事件もわたしの一つのあり方だし,もちろん,様々な美しい出来事ものわたしの一つのあり方。
こういう多くの他が,実は一つのものの表現のちがいであること。こういう世界の解釈は,人間の幸せを考えるとき,たぶん正しい。
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