[祭神を知る]壊してしまったものから受けている恩恵。保食神。
ハイヌウェレ型神話
ハイヌウェレ型神話とは,食べ物がなぜ生まれたという神話のひとつのタイプ。殺された神の死体から食べ物が生まれたというはなしで,世界各地にあるという。日本書紀にある保食神(うけもちのかみ)も同型。
保食神
日本の保食神はご馳走を用意して月夜見尊をもてなしますが,口から出した食べ物など食べられるかと保食神は月夜見尊に殺されてしまいます。詳細については以下の記事にまとめましたのでご覧ください。
[ 日本書紀を読んでみる ] (6) 保食神 [note]
壊してしまったものから受けている恩恵
神話は神話であって事実ではない。けれども,ハイヌウェレ型神話が世界各地にあるというのは興味深い。わたしたち人間の食べ物に対する基本的な思いがこの神話からみてとれるのではないか。
私たちが生きるには食べ物がいる。その食べ物はわたしたちの祖先が昔神様を殺して手に入れたものだ。私たち人間は,大切なものを壊し,それによって得たもので今生きている。生きていること,生き続けていること,今なにかを食べること,その背景になんらかの罪悪感をもって私たちの祖先は生きていたのでは。なにかを食べるとはなにか生きているものを殺すこと,壊すこと。そのひとつひとつに罪悪感をもっており,それを神話という言葉に表すことで,その罪悪感にかたちをあたえて,その罪悪感とつきあおうとしているのではないか。
[ サイトマップを見る ]