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[ 日本書紀を読んでみる ] (2) 淡路島の意外な名前の由来。

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概要 宇治谷孟「日本書紀」(講談社学術文庫)を読みとおすことを目的にしています。すこしずつ読んだ内容を,簡潔にまとめ,読者と共有していきます。間違いがあれば,コメント欄で教えてください。

目的

一緒に,宇治谷孟「日本書紀」(講談社学術文庫)を読みとおしましょう。今日は第一夜,ページは 18ページから22ページです。

巻第一 神代 上 国生み

天の浮橋のうえに伊奘諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)とが立っていた。橋の上から下を見て,「この下には国があるにちがいない」と,矛で下をさぐってみた。青海原をみつけた。矛からしたたる海水が固まってひとつの島になった。この島を磤馭慮島(おのころしま)という。

イザナギとイザナミは天の浮橋からオノコロ島に降り立った。ふたりはここで国を生むことにした。

一番最初に生んだ島はあまりよい出来ではなかった。恥ずかしい出来の島ということで,吾恥島(あはじしま)と言う名前になった。今でいう淡路島のことだ。その後,次から次へと島を生んだ。生んだ島を以下に箇条書きにしておこう。

  1. 日本豊秋津島(おおやまととよあきつしま)

  2. 伊予の二名洲(いよのふたなのしま)

  3. 筑紫洲(つくしのしま)

  4. 億岐洲(おきのしま)と佐度洲(さどのしま)

  5. 越洲(こしのしま)

  6. 大島(おおしま)

  7. 吉備子洲(きびこのしま)

今の言葉で言えば,以下のようになる。

  1. 本州

  2. 四国

  3. 九州

  4. 隠岐島,佐渡島

  5. 北陸道

  6. 諏訪の大島

  7. 岡山の児島半島(今は本州と地続きであるが,当時は島であった)

対馬島や壱岐島なども小島もこのとき,潮の泡が固まって島となったものである。

思うこと

淡路島というのは,阿波国に続く路ということで,淡路島というのかと思っていましたが,「失敗しちゃった。ああ恥ずかしい」ということで淡路島というのはおどろきですね。

面足尊と惶根尊までの神様は人間のかたちはしていない,自然の法則のようなものだと思われるが,イザナギとイザナミはどんな姿をしていたのだろう。橋の上にたっていたり,島に降り立ったりという記述があるので,これまでの神様とはちがい身体をもっているようだ。ふたりは橋の下にはきっと国があると語り合っているので,目があり,耳があり,口があるようだ。矛で海中をかき回したりしているので,手もあったようだ。どうも人間にちかい姿のようだ。

イザナギとイザナミのふたりが国を生んだというが,もちろん文字通り,島を生んだということではない。天の浮橋のうえで,ふたりが言った言葉を思い出してみよう。ふたりはこう言っていた。

「この下には国があるにちがいない」

そう,国はイザナギとイザナミが生み出したものではなくて,すでにあった。それらの国土をひとつひとつみつけて,国づくりをはじめたのがイザナギとイザナミと考えるべきだろう。国づくりをする際の苦しみを出産に例えていると考えるのが適当だろう。

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