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[ 定番コミック ] 「見えないものを表現する」(大友克洋 「童夢 (OTOMO THE COMPLETE WORKS 8) 」講談社)

「童夢」は大友克幸の作品( 1980年から1981年)。

団地で起きる連続不審死事件。その事件はある人物のいたずらから起きたのだったが,それに気づく大人は誰もいなかった。過ぎたいたずらを止めようとした人物は?

団地は繰り返しの多い構造になっていますが,その団地が丁寧に描き込まれています。

超能力者たちが,能力を競うシーンがありますが,目にみえない超能力という力を可視化する表現は,まさに圧巻!

おもわず目を覆いたくなるシーンもあり,絵であり,フィクションであるにもかかわらず,あたかも目の前で本当に起きているかのような感覚を受けてしまいます。

小林秀雄の本にこんな言葉があります。

美しい自然を眺めてまるで絵の様だと言う、美しい絵を見てまるで本当の様だと言う。

小林秀雄「私の人生観」
  • 小林 秀雄 (著)「私の人生観」 (角川文庫) [Amazon]

ああ,なんて上手いことをいうんだろうとはじめて読んだときに思いましたが,まさにこの言葉は「童夢」にもぴったり。漫画を見て,本当のことのような感覚が起きるのだったら,その漫画には確かな命があるのだろうと思います。しかも時代を超えた。

これは読むしかないと思います。

  • 大友 克洋 (著)「童夢 (OTOMO THE COMPLETE WORKS 8) 」(講談社)[Amazon]

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