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[ 不思議な話 ] 吉備真備が夜な夜な安倍晴明に会いに行き、その姿を見たものは死んでしまう。現代に残る陰陽道。

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吉備真備

最近,吉備真備のお墓にまいりました。

写真1. 吉備真備の像

真備の墓にはきれいな花がたむけてあって,きれいに清掃されていました。1,300年以上たった今も未だ真備は地域のひとから尊敬の念を集めているようです。一体,真備はどんな人物だったのでしょう。

吉備真備は奈良時代の学者です。学者出身で,右大臣にまで上り詰めました。左大臣というのが,現在でいう内閣総理大臣で,右大臣というのが,その内閣総理大臣を補佐する役目のひとです。今でいうと,官房長官といってもいいでしょうか。学者出身でこの右大臣まで上り詰めたひとは吉備真備をふくめて歴史上二人しかいないそうです。もうひとりは菅原道真だそうです。

吉備真備と陰陽道

吉備真備は二度も中国に留学をしました。さまざまな知識や技術を日本にもってかえってきたそうです。そのうちのひとつに陰陽道に関する秘術もふくまれていたとかいなかったとか・・・

そのせいでしょうか,吉備真備については不思議な話が今も残っています。吉備真備の墓といわれる場所は複数あります。そのひとつが奈良教育大学の構内にあります。吉備真備の墓なので吉備塚と名前がついています。塚というのは墓という意味ですね。その墓に関しては,こんなうわさがあるそうです。

少し前に、吉備塚の木を校長先生が切ろうとしたら、次の日、首を吊って死んでいた。(p.10)

岡本大典「吉備真備と陰陽道-吉備塚伝承を中心に-」

この吉備塚には、触ると祟りがあるとか、吉備真備が夜な夜な安倍晴明に会いに行き、その姿を見たものは死んでしまうといった様々な恐怖に満ちた伝承が、地域の人々たちによって語られている。(p.11)

岡本大典「吉備真備と陰陽道-吉備塚伝承を中心に-」

触ると祟りがあるというのはよく聞く話ですね。しかし,死んだ後も死者が,また死んだはずのひとを訪ね歩くというのは,あまり聞かない話です。そして,それを見てしまうと死んでしまうという。しかし,見た人は死んでしまうというのに,一体誰が吉備真備が安倍晴明を夜な夜な訪ねていることを伝えたのでしょう。

今も続く吉備真備への尊敬

いえいえ,決して,そんな話は作り事だとバカにしているわけではありません。亡くなって 1,000 年以上が過ぎた今でさえ,その名前が人々の口にのぼるほど,吉備真備は生前ひとびとに大きな印象を与えたひとだったのでしょう。地方にあって,しかも学者であったのに,当時の政府のナンバーツーにまでなったひとです。並大抵の努力ではなかったでしょうし,信じられない苦労もまたされたことでしょう。

もしかしたら,本当に,吉備真備と安倍晴明はまだ夜毎なにか話をし続けているのかもしれません。1000年以上一体何をはなしているのやら。一度,奈良教育大学の吉備塚を訪ねてみたいものです。

より詳しく知りたい方へ

現在の陰陽師へのインタビュー。インタビューウイズバンパイヤみたいですね。

  • 飯塚まり・佐藤豪・中川吉晴 (2019). 播磨陰陽師のインタビューノート: 個人、社会、地球環境までを含めたウェルビーイング考察の参考として トランスパーソナル心理学 / 精神医学, 18(1), 1-10. [Jstage]

夢枕獏の小説が原作のコミックです。

  • 岡野玲子 (著)「陰陽師 1」 (ジェッツコミックス) [Amazon]

陰陽師の実際について学べます。

  • 繁田 信一 (著)「陰陽師: 安倍晴明と蘆屋道満 」(中公新書) [Amazon]

  • 国立歴史民俗博物館 (編集)「陰陽師とは何者か: うらない、まじない、こよみをつくる」( 小さ子社 )[Amazon]

  • 戸矢 学 (著)「陰陽道とは何か―日本史を呪縛する神秘の原理 」(PHP新書)[Amazon]

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