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[ 神社 ] 竜宮城の姫を祀る神社(玉比咩神社:岡山県玉野市)

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玉比咩神社(たまひめじんじゃ)

住所

〒706-0012 玉野市玉5-1-17

駐車場

神社入り口横に50台ほど自動車がとめられる駐車場があります。

祭神

豐玉姫命。

連絡先

感想

玉比咩神社のご祭神は,豊玉姫(とよたまひめ)です。玉比咩は,たまひめと読みます。とよたまひめについてはこんな話が残っています。

火折尊(ほのおりのみこと)はお兄さんから借りた釣り針を無くしてしまいました。ほのおりのみことはお兄さんから釣り針を探してくるように言われました。ほのおりのみことは海の底まで探しに行くことになりました。海のなかには龍宮がありました。

龍宮には美しい女性がいました。豊玉姫(とよたまひめ)といいます。ほのおりのみことと,とよたまひめは互いにひかれあい,3年間一緒に暮らしました。

しかし,そのうち,ほのおりのみことは陸に帰ってしまいます。とよたまひめのお腹の中には二人の赤ちゃんがいました。とよたまひめは,二人の子どもであるから,赤ちゃんを生むときには陸に上がって生むと言います。

とよたまひめは,ほのおりのみことに頼みます。出産の様子は決して見ないでください。しかし,ほのおりのみことは誘惑に耐えきれず覗き見てしまいます。そこには一匹の海獣の姿がありました。本当の姿をみられた,とよたまひまは恥じて生まれた子どもを置いたまま,海底へと帰ってしまいます。

決して見ないと約束したのに見てしまうという話はそこここにあります。例えば,木下順二の「夕鶴」もそうです。この夕鶴については,松谷みよ子さんが非常に興味深い出来事を書かれています。ここに引用してみましょう。

木下順二氏の『夕鶴』が佐渡の「鶴女房」から取材していることは広く知られているが,ある工場で『夕鶴』を上演したとき,観客である女工さんたちが総立ちになったのは,夫であるよひょうが機場をのぞこうとしたところだという。「のぞくな,のぞいてはいけない」と,口々に叫んだという。(p.123)

松谷みよ子「民話の世界」
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夫婦であっても,決して超えてはいけない境界線があって,それをお互い守ることが,相手を尊重しているという状態なのでしょう。よひょうが機場をのぞこうとしたこと,ほのおりのみことが,とよたまひめの出産の様子をのぞこうとしたこと,これらは守られるべき一線を超えてしまった,決して許されない女性に対する仕打ちだったのでしょう。

かんがえてみれば,決して私の姿を見ないでくださいといったイザナミの約束をやぶったのはイザナギでした。日本列島ではじめて約束を破ったのはイザナギだと思いますが,約束を単に破っただけではなく,互いの間にある境界線を超え,相手が守りたかったものを台無しにしてしまう行為でもありました。日本列島では,いつもそれが男性から女性にされる行為であるということの意味を考える必要はあるでしょう。

入り口

入り口には,見たこともない大きな岩があります。巨大な磐座です。周りは水で覆われていますが,その1箇所からは,かなり大きい音を立ててゴボゴボと水が湧き出ています。この巨大な岩は,古代より「立石」と呼ばれ,霊石として扱われていたといいます。昔々は,この霊石のあたりまで海岸がひろがっており,満潮時にはこの霊岩は波に洗われていたというから驚きです。

神社の境内に「立石神社」がありました。この霊石を祀る神社なのかどうかはちょっとわかりません。

写真1. 磐座

それにしても,なんて大きな岩でしょう。古代のひとは,この霊石に神様が降りてくるような儀式をしていたのでしょうか。やはり,大きな岩を見上げて,両手をあげてとしていると,岩の向こうの山に・・・ え! 山の中腹あたりには,またもや大きな岩石があり,神社らしきものが見えます。磐座がいっぱいです

拝殿

拝殿には菊の紋章がついています。どうして菊の紋章がついているのかなと考えると,やはり,ご祭神のとよたまひめが天皇の祖先だからかな。とよたまひめは神武天皇の父方のお婆さん,母方のおばさんです。一度,系図を書いてみないと,どうなっているのかよくわかりません。

図1. 神武天皇と豊玉姫の関係

この場合は,とよたまひめの遺伝子は神武天皇にどれくらい引き継がれるでしょう。答えは $${\frac{1}{4}}$$ だといいます。祖母かつ叔母であっても,引き継がれる遺伝子の割合は祖母の場合の $${\frac{1}{4}}$$ と同じといいます。

神武天皇の母は玉依姫(たまよりひめ)です。たまよりひめは,とよたまひめと一緒に龍宮から陸に上がってきています。

写真2. 拝殿

臥龍稲荷神社奥宮

拝殿,神殿の向こうの山を見上げれば,大きな磐座が。その磐座には,臥龍稲荷神社奥宮が。奥宮に向かうまでの山道はきれいに舗装されています。陶製のきつねが神社を守っています。一見して,きつねとわかりませんでした。

写真3. きつね

神社から見下ろす風景や風もそれはそれは気持ちのよいものですよ。

写真4. 奥宮

写真でみるとはるか遠くにあるように見えますが,鳥居をくぐってものの3分ほどで到着します。

参拝を終えて

祭神のとよたまひめにも会えてすばらしい経験でした。

そして,霊石にも驚きました。まさかこんな大きな磐座があったなんて。言い伝えでは,ある夜のこと,この磐座から火の玉が3つ飛び出して,ひとつは裏山の臥龍稲荷神社奥宮に,もうひとつは西大寺観音様に,残る一つは牛窓に飛んで行ったといいます。そこからどんな物語が始まるのか,それは物語のラストシーンだったのか,想像力をかき立てられますね。

note で訪れる玉比咩神社

  • miho@玉野市地域おこし協力隊さんの記事 [note]

  • FY☆la chance sourit☆さん [note]

関心を持たれた方へ

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神武天皇って誰?そういう場合は日本書紀を読んでみる。

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とよたまひめの話は,記紀にも載っていますが,それを漫画にした,近藤 ようこ (著)「恋スル古事記」(角川書店)[Amazon] はとても爽やかでとても悲しい物語になっています。

  • 近藤 ようこ (著)「恋スル古事記」(角川書店)[Amazon]

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