[ 読了 ] 「後回しにした問題ってのはな、追いかけてくるんだ」(佐倉準 「湯神くんには友達がいない(1)」 少年サンデーコミックス)
佐倉準 (著)「湯神くんには友達がいない(1)」 (少年サンデーコミックス) [Amazon]
「湯神くんには友達がいない」の湯神くんはとても興味深い。
野球部でエース。県大会の決勝まで進むほどの実力の持ち主。学校も病気で休むこともなく,勉強もしっかりしている。しかも落語が好きで,その好きさ加減がマニアレベルで,とてもよい青年です。
ただ,ちょっとだけ他人にあわせることができない。そのちょっとだけ他人にあわせることができないことをきっかけに物語が進んでいく。湯神くんの他人に合わせないことは世の中を変える力もある。わたしにはそれがまた素晴らしいことのように思う。
他のひとの感想をネットで見て,驚いた。湯神くんをさして,「発達障害だよね」という感想が結構多い。その「発達障害だよね」という言い方が,「発達障害で,残念だね」というニュアンスで受け止めてしまうのは,わたしの認知のゆがみだろうか。
湯神くんの言葉で,そうだよなーと思う言葉が次。
この後回しにした問題っていうのは,自分自身の問題であったり,自分と他人との問題だったりする。誰かとぶつかる。なあなあで,あるいはなかったことにして,やりすごしてみても,やはりその衝突は形を変えて再びやってくる。
湯神くんは問題にきちんと向き合うので,いろんな問題を起こしているように見えてしまうのだろう。わたしたちは問題をなあなあにしているので,静かに穏やかに過ごしているように見える。けれども,後回しにした問題は必ずわたしたちの目の前にいつか現れる。
湯神くん的に生き方は,もしかしたら,わたしたちの理想的な生き方の一つかもしれない。
佐倉準 (著)「湯神くんには友達がいない(1)」 (少年サンデーコミックス) [Amazon]
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