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[ 読了 ] 寂しさの効用(中森 明夫「寂しさの力」 新潮新書)

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  • 中森 明夫 (著)「寂しさの力」 (新潮新書) [Amazon]

ウォルト・ディズニーも,スティーブ・ジョブズも,美空ひばりも,山口百恵も,みんな,寂しかった。その寂しさを埋めるかのように,必死に生きたひとびと。そうして,誰も到達できないようなものを作品を歌を記憶を残したひとびと。寂しさには,そういう効用があることを教えてくれる本。

たしかに,小説家の多くが,小さい頃,悲惨な家庭環境で育っている。昔ということもあっただろうか,勉強などままならない環境で働きながら独力で勉強した小説家の率はかなり多いように思う。チャールズ・ディケンズ,ハンス・クリスチャン・アンデルセン,室生犀星,夏目漱石,林芙美子などなど。

ひとが休んでいるとき,ひとが遊んでいるとき,ひとが寝ているときに,どうしてずっと作品に向かい続けることができたのか。もしかしたら,それらはみんな小さいころの寂しさを埋める行為なのかもしれない。

親に恵まれて,ふつうに生きることができていたら,それはとてもすばらしいことだし,無茶苦茶な親だったり,親さえいなかったり,友達とかそういうものが,よくわからなかったり,それは不幸なような気もするが,そういう寂しさにも,効用があります。苦しみや悲しみにも意味があります。

もしかしたら,そういうの,本当のことかなとふとおもってしまう本です。

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