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日誌「ルートヴィヒ美術館展」 #491

前回からのつづき


雨の乃木坂に到着した。とはいえ、駅から国立新美術館までは繋がっているのでギリギリ濡れない感じなのがありがたい。国立西洋美術館(西美)を出た後だったので、すでに16時過ぎ。美術館はしごの先は開催中の『ルートヴィヒ美術館展』だ。『自然と人のダイアローグ』とはまた違い、わりと近代の絵画、彫刻、写真などが並ぶ展示になっている。

ピカソの作品を生で見たのはこれが初めてだったかもしれない。これがキュビズムというのか、『マンドリン、果物鉢、大理石の腕』は静物画なのだろうけれどなんか違う。ただ、子供の頃に感じた「おれでも書けるんじゃね(失礼)」という発想は湧かなかった。やはり並ではない。また、3枚ほど皿に絵を書いた作品があったが、ピカソとは思えない繊細さだった(失礼)。

個人的に興味深かったのは、古い写真コレクション。カメラが一般的に普及し始めた時代の作品なのか、風景画や静物画を意識したような画角や題材で撮影されているように見えた。今や絵画は絵画、写真は写真として分離している気もするが「当時は絵画の延長上に写真があったのかな」などと邪推する。様々な表情が読み取れる写真でのポートレートは、まさに肖像画(同じ意味)。

ルートヴィヒ美術館のあるドイツは二度の世界大戦や東西の分断・統一を経験しており、その時代を生きて様々な表現が失われないようにと熱心に芸術をコレクションし、守ってきた人たちがいたお陰でこうして鑑賞できている。西美の展示と比較すれば多くの人に受け入れられる作品群ではないかもしれないが、この混沌とした時代に見て良かったと思えた。

カーチャ・ノヴィツコヴァ / 近似(ハシビロコウ)