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【ドラッグストア】 こんなにも違うよ!「登録販売者」と「薬剤師」。

私は、地方のドラッグストアで「登録販売者」として働いております。
「市販薬」の中でも、セルフ購入可能な「第2類・第3類医薬品」の販売に関わる仕事です。

そんな私が仕事中によくお客様から聞かれることは、以下の2つです。(イヤというほど聞かれます…。)

「処方せんの受付窓口はどこですか?」
「ロキソニン(第1類医薬品)ください。」


残念ながら、私の職場ではどちらも対応できないのです。
お客様はきっと、私たちの事を薬剤師だと思って「白衣みたいな制服を着てるくせに、何でできないんだ!?」と思っているでしょう…。

理由を単刀直入に述べると、私たちは「薬剤師ではない」から法律の関係で携われないのです。
それに私の職場は、「登録販売者」のみで営業しているお店なのです。

登録販売者とは:2009年の改正薬事法により新設された「一般用医薬品の販売」に関わる資格。
登録販売者の誕生により、医薬品の「調剤業務」と「販売業務」の分業が可能となり、薬剤師の負担軽減につながった。


《薬剤師さんはどこにでもいる訳ではない!?》

周りを見渡すと、「調剤薬局が併設されている」もしくは「調剤事業は行っていないが、薬剤師が勤務しており第1類医薬品を販売している」ドラッグストアが多いように感じます。
自分の身近なところで言うと、前者の店舗は郊外で見かけますし、私の地元の駅ナカにあるドラッグストアは後者に該当します。

そういう理由もあってか、「ドラッグストアに薬剤師さんが勤務しているのが当たり前だと思った。」とお客様からよく言われます。
ついでに言うと、「薬剤師が勤務していないお店なので…」とお伝えした途端、怒って帰ってしまうお客様もいらっしゃいます。
(来店前に会社のホームページを見て欲しいです。それに、店先に「処方せん」の看板や旗は設置されていませんし…。)

そう言われるのは仕方がないのですが、ここで問題なのが、「薬剤師と登録販売者の違いが世間で知られていないのではないか?」という事です。
10年以上前にできた資格ですが、知名度はまだまだなんですよね…。
それが原因で困ってしまった事は何度もあります。

両者とも「お薬に関わる仕事」をしていますが、できる事が異なりますし、他にもいくつか異なる点があります。
それを何となく知った上でお店に来て頂けたらなぁ…と思います。


《薬剤師と登録販売者の違いとは?》

以下、私の認識している範囲にはなりますが、両者の大まかな違いです。↓

薬剤師】

処方せんの受付をし、医療用医薬品を提供する。飲み合わせのチェックや服薬指導も行う。(調剤薬局が併設された店舗)

●要指導医薬品、第1類医薬品の販売ができる。(リスクの高い市販薬であるため、薬剤師による説明が必須。)

●第2類、第3類医薬品の販売もできる。

「薬科大学(薬学部)」で6年間勉強し、国家試験を受ける必要がある。

「病気や医療用医薬品」に関する知識がしっかりとある。そのため、持病のある方や病院のお薬を服用中の方などの相談に素早く対応できる。

「土・日・祝日」は休みになる事がほとんど。(医療機関と同様。)
GW・お盆休み・年末年始などは、長期休業になる可能性がある。

●制服は、カッターシャツ(+ネクタイ)に「白衣」を羽織るのが一般的。


登録販売者】

●第2類、第3類医薬品の販売ができる。

●お客様の「※セルフメディケーション」のサポートをする。

●専門学校に通う必要はなく、通信教育(テキスト・ネット講座)や書店で問題集を購入して試験勉強をする。
試験勉強の期間は、最短合格者で数ヶ月~半年程度と短期決戦。その後、各都道府県で行われる試験を受ける。

学歴・職歴関係なく、誰でも受験可能。
(ごく稀に、医療系学生のアルバイトさんで資格を持っている場合も。)

資格者の比率が、正社員<パート・アルバイトさん(主婦・フリーター・学生)という店舗が多い。
(主婦やフリーターにオススメの資格と言われる事が多い。誰にでも活躍のチャンスあり。)

●正社員の採用活動では、文系・理系を問わず採用する。
(自分自身も文系学部出身ですが、私の顔見知りの同僚も文系学部出身者が多いです。)

異業種(他の小売業等)からの転職者も多い。

受験勉強と実務は完全に直結しているとは言えない。(接客中に痛感しています。)
資格取得後に、書籍・社内の教育資料・メーカーさんのホームページ・通信教育・講習会等で知識をアップデートする。

●レジ、清掃、入荷物の荷おろしや仕分け(力仕事)、品出し、売場作成、発注、化粧品・日用品の接客等も行う。
そのため、マルチプレイヤーでいなければならない。
(薬剤師と比べると、医薬品に関わる時間は少ない。)

●ドラッグストアは「ほぼ年中無休」で営業&カレンダー通りの働き方ではないので、多くの場合「不定休」になる。
(法律上、登録販売者不在では「違法営業」になってしまう為。)

●制服は白衣ではなく、「前ファスナーor前ボタン」の服。制服の色は企業によって異なる。化粧品接客担当と登録販売者を兼務する場合もある。

※セルフメディケーション:自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること。(世界保健機関による定義。)

共通する部分】

医師ではないので、病気の診察・診断・根本的な治療はできない。
※病名を知りたい・病気を根本的に治療したい場合は、病院へ行くことが望ましいです。

●両者とも、新人の従業員では知識もスキルも不十分である。いきなりベテラン勢と同じ事はできない。


《ここがポイント!決定的な違い》

こうやって見ていくと、色々と違いがありますよね。

中でも決定的な違いは「役割」の部分ではないでしょうか?

薬剤師は、処方せんが必要な「医療用医薬品」から処方せんが不要な「一般用医薬品」まで幅広く取り扱うことができ、「お薬全般」に関わって患者さんの健康をサポートしています。

一方で登録販売者は、「一般用医薬品」の中でも「第2類・第3類医薬品」を取り扱い、お客様の「軽度な不調」の対処のサポートをします。
風邪・胃もたれ・便秘・目の疲れ等の「軽度な不調」の際には適切な情報提供をし、重度の不調・お薬を服用しても症状が改善されない際には「病院への受診」を促すことが登録販売者の役割です。
お医者さんや薬剤師さんほど高度な技能は持っていませんが、お客様(消費者)に近い感覚でお話しできるという強みはあるのではないかと思います。


もう一つの違いは「勉強内容」の違いではないでしょうか?

登録販売者は、「第2類・第3類医薬品」にフォーカスして、それらに入っている有効成分や適正使用に関して勉強しています。
また、「利益を出す事」を強く求められるので、私の職場では会社の資料を使って商品の特長や宣伝文句、販売時のコミュニケーションに加え、化粧品の接客についても勉強しています。

一方で薬剤師は、大学で6年間かけて薬剤師に必要な「薬学の専門知識」を学んでいます。(衛生薬学、薬剤学、病態・治療学、実務実習をはじめとした様々な科目があるようです。)
だからこそ、医療用医薬品から一般用医薬品まで幅広く取り扱える訳ですね。


《まとめ》

これでおおよその登録販売者と薬剤師の違いが伝わったのではないかな…と思います。
接客時にこういう話をして、近くにある「薬剤師が勤務しているお店」を紹介する事も、登録販売者の仕事の一つだと私は思います。

企業側もホームページに、「処方せんの受付や要指導医薬品・第1類医薬品の販売の有無」を分かりやすく示す責任があると思いますが…。

でも、あらかじめ違いを知って納得した上でご来店頂ければ、イライラしないですし、二度手間にならずに済みますよね。
(特に処方せんには期限があるので、期限に間に合わなかったら大変ですし…。)

要指導医薬品・第1類医薬品を売ってくれない事や、処方せんを受け付けてくれない事にイライラしてお帰りになるお客様が少しでも減ってくれると良いな…と思っています。

よかったら、お買い物の際の参考にしてくださいね。
また、これからドラッグストア業界で働くことを考えている方の参考にもなればと思います。


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