【読書】『老子』 金谷 治 著 講談社学術文庫 1997年
『老子』をちゃんと読んでみようと思った。漢文は荷が重いので、読み下し文と現代語訳で読む。以前から持っていた本書で読むことにした。
著者が解説で本書について書いている。解説の冒頭は以下のとおり。
『老子』は、『論語』と並ぶ中国の代表的な古典である。孔子の『論語』が『孟子』とともに、儒教のはじまりの姿を伝えるのと同じように、『老子』は『荘子』とともに、老荘とか道家とよばれる一家を形作っている。そして、中国の長い歴史を通じて、孔孟の儒教が表向きの正統的な思想であったのに対して、老荘の思想はその裏面を支えるものとしてあった。
僕はこの裏面というのに惹かれる。全く日本人的であるのだが、柔が剛を制す、小が大を倒す、という柔道、相撲のひいきなのである。大きくて強ければ強いのは当たり前で、これをいかにしてひっくり返すのか。そのためには策を問わないという、まるで戦国時代のような感性なのだ。
日本人的と書いたが、この策を問わない、というのは日本人的でないかもしれないと感じる人が多いと思うが、戦国時代の織田信長、豊臣秀吉、特に徳川家康が不憫な幼少時代から将軍となり、徳川家として265年にも渡る江戸時代をの礎を築く際には、策を問わなかったはずであり、日本人的な感性なはずだと信じている。
お前は武将かと問われれば、いやいや足軽です、と答えるけど。
これも裏面の道。