【読書】『禅マインド ビギナーズ・マインド』 鈴木 俊隆 著 藤田 一照 訳 PHP 2022年
『宿無し弘文ースティーブ・ジョブズの禅僧ー』に鈴木俊隆のことが書いてあった。乙川弘文をアメリカに呼び寄せたのは俊隆だった。
序文に書いてあるが、二人の鈴木が禅を西洋に、アメリカにもたらした。
鈴木大拙と鈴木俊隆の二人だ。
大拙は「悟り」に焦点を当て、俊隆は本書を含めて「見性(悟ること)」には触れていない。禅の強調する部分ではない、というのだ。
本書はとても読みやすい。わかりやすい。
悟ることではなく、日常の中で禅をどのように実践するのか。
形であり、姿であり、心持ちである。
1960年代から70年代にかけて「自由」を謳歌していたアメリカで禅を伝えるためには、仏教はこうだ、禅はこうだ、とグイグイと教えるのではなく、アメリカの事情を理解したうえで寄り添う形でのアプローチが良い。
これは、現在の日本の状況でも同じだと思う。
だから読みやすい。
俊隆は形而上のことは考えなくてよい、という。
ここ最近、僕が読んでいる本からするとちょっと物足りなく感じる。
でも、何度か読み直すことで形而上の世界が垣間見えるような気もする。
読みやすく、そして深い本でした。