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読書】『世界金玉考』 西川清史 著 左右社 2022年
さて、このタイトルのことだけど、ルビをふると「せかいきんたまこう」。そう、男性であれば2つ持つアレである。本書はキンタマについて書かれた「本邦初の「金玉本」」である。男性と書いたけど、本書を読むと分かるが「性分化疾患」という「赤ちゃんの性器による性判別が困難な事例はだいたい2000人に1人の割合で起きる」ということで、「人間の性というのは男か女かという截然としたものではなく、分化の段階によって様々な状態が存在するものであるらしい。」
何となくそうではないかと思っていたことが「人間の基本仕様は女性」であることだ。人間は「胎児」になる前の「胎芽」の段階の生殖器は「誰がみても女の子」の状態だそうだ。これが男性がもつ遺伝子であるY遺伝子から命令が出ると男になるように「改変」される。詳しくは本書でも引用されている福岡伸一著『できそこないの男たち』を読めば分かる、とのこと。
筆者は「雑誌編集者だった時代」があり、本書を読み始めると、引用が多く、リズム的に少し読みにくい部分があるけど、慣れると広範囲の内容をまとめること、読ませることについての上手さが光る。そして、何より著者が70歳で出版した本であること。文章には若さが感じられる(雑誌調だから?)が、今回の本も原田マハさんと同じように人生の先輩の書いた本であった。そういえば、途中に読み飛ばせない熟語があって、少し?と思うことはあったけど。
本書は、読書会である方が紹介した2024年に読んだ本のベストセレクションに入っていた。読書会恐るべしなのだ。