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空き家を見学してきました

先日のNHK「いいいじゅー」の反響が続いております。
今年いっぱいの予約はほぼ埋まり、九州のとある市の教育委員会からの視察依頼が来たりもしました。

そんな中、最も事業へのインパクトが大きいのは、地域内での認知度が格段に上がったということです。
畑のご近所さんは、みんなで放送前から情報共有をして、だいぶ前から楽しみにしてくれていたそうです。
ばったり会うと、「見たよー!すごくいいことしてるのね」と声をかけてくれたり、「うちの畑もやってくれっか?」と冗談半分に申し出てくださったりします。

放送から約1週間後、知り合いから
「近所の人が、空き家があるから八郷留学で使ってほしい」旨の連絡がありました。
早速コンタクトを取って、今日はスタッフの百恵ちゃんと見学に行きました。

別荘タイプ、広い庭と畑、ピザ窯も

古民家でこそないけど、庭の広さと、すぐ隣にある畑がちょうど良さそうで、八郷留学関連で上手く活用できるイメージがすぐに湧きました。

綺麗に管理してるんだな〜

少し話が飛びますが、八郷留学を運営するにあたり、さまざまな人の協力に支えられているということは言うまでもありません。
プログラム当日のスタッフはもちろん、単発でお邪魔する地域の果樹農家さんや、いつもお裾分けを持ってきてくれるご近所さん、田んぼや畑の異変を、僕よりも早く察知して知らせてくれる畑近所さん。。
八郷の地域全体をフィールドとしている八郷留学にとっては、農村の景色を構成する地域住民一人ひとりがステークホルダーであると言っても過言ではありません。

窓から。柿畑と田んぼが広がる。ソーラーパネルは幸いまだ見当たらない。

今日訪れた空き家があるのは、柿栽培で有名な地区。
皇室に献上(宮内庁としてはこの表現は不適切だそうだが)する柿を栽培する果樹農家が何件もある地区ですが、例に漏れず人手不足に悩まされています。

僕や八郷留学のスタッフも、時間があればそういう農家さんのところに手伝いに行っていますが、八郷留学が成長するにつれ、その余裕もなくなってきました。

一方で、地域の生業に触れたいとか、田舎暮らしを学びたいという、日本の希望のような学生が、僕の耳に届く範囲でもたくさんいます。
そういう学生が、もしこの空き家に住んでくれて、庭の管理もしつつ、周辺の果樹農家さんでバイトしつつ、自分でも畑をやってくれたら。
きっと果樹農家のお母さんは、喜んで田舎料理を教えてくれるでしょう。

ホグワーツの寮のように、例えば八郷の各地に学生寮を設けて、学生はそこで各々の分野(農学、地方創生、教育、地学、社会学、民俗学などが当てはまるか)で実践を積みながら、田舎暮らしを学んでもらえば、その周辺地域のためにもなる。

空き家に住んでくれる人、畑を使ってくれる人、山を使ってくれる人 etc.
そういう人がいるだけで、里山の自然と景観は活用保全できるのです。

ただし、地元に長く住んでいる家の人には、代々受け継いできた土地を荒らされたくないので、"ちゃんとした" 人でないと貸したくないという基本方針というか、メンタリティ的なものがあります。
昔の人は暇さえあれば屋敷の周りの草取りをしていたので、庭が土なのに雑草は一本も生えていないという状況が維持されていました。
トラクターで耕した畑のようなふかふかな土ではなく、砂利でもなく、踏み固められた硬い剥き出しの土に、全く草が生えていない状態、想像できますか?
因みに昔の人がここまで雑草を目のかたきにする理由は、一度生やしてしまうと、雑草の勢力を弱めるのにもっと大変な労力を要することを知っているからです。

なので、もし学生寮が本当にできたら、ホグワーツのように年間を通して点数を増減しようと思います笑。
雑草管理をサボったら減点、畑の旬のものを上手に料理に使えたら加点、ご近所付き合いなども重要な田舎暮らしスキルの一つなので、採点対象になります。

このような営みが八郷内の各エリアで繰り広げられ、それが認知されてくると、地元の人は、「今の若いてえらも、大したもんだな」と認めてくれるはず。
加えて、若者が田舎の魅力に取り憑かれている姿を見ると、地域のプライドである里山の自然とそれを生かした生活文化に、改めて自信を取り戻し、余っている土地をソーラーパネルにするのを一歩踏みとどまってくれるかもしれません。


長くなりました。。

八郷留学の事業の社会的意義は2つに収束します。
教育価値を提供すること(ユーザーのため)
里山の自然と生活文化を守り受け継ぐこと(我らが地域のため)

今日の話は、この後者の方に当てはまる話でした。



空き家のすぐ隣にて。生でも食べられるスダジイのどんぐり。
昔は飢饉の時に飢えを凌ぐため、スダジイの巨木に集落の氏神様を祀り、大切にしていた。

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八郷留学のつくり方 by 原部直輝
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