出会う人の数で生き方が決まる
今年度担任している学年で,キャリア学習が始まりました。“キャリア”と聞くとどのような言葉が連想されますか?
子どもたちに同じことを聞いても,やはり仕事・職業でした。「どんな仕事がやりたい」とか「職業調べをする」とかそういうイメージなんですよね。それってとってももったいない!!!と私は思うのです。今日はそんな話。
人生100年時代の中で「仕事」に費やす時間は
うるう年とか細かいことはさておき,ざっくりと計算してみます。
365日(一年間)÷7日間(一週間)=52.1 ⇒一年間はおよそ52週間
⇒ここから土日をとると一年間の平日は5×52で260日
さらに国民の祝日(16日間)が仮にすべて平日に重なったとしたら
260-16で【年に244日働いている】ということ。
これが23歳から65歳までの42年間だから【一生に10,248日間働く】ということになるのですが・・・・
80歳まで生きたとしたら【一生は29,200日間】あります。つまり仕事をしている日々は,一生の約35%だけです。仮に定年がのびたって【一生のうち50%以上は仕事をしていない日々】なのです。
子どもたちにはこんなに詳しくは話していないけれど「仕事を23歳から65歳までするとして・・・その間だけがあなたの人生?」と聞くと,「その前も後も人生」と答えました◎
「仕事」を見るか,「人」を見るか
年齢も何をしているかも関係なく全てが自分の人生であるときに,キャリア学習で考えてほしいことは「職業のすばらしさ」だけでなく「生き方」でした。
“小学校教諭”に就いている人という括りで見るとどの先生だって語る業務内容は似てきます。でも「その職業を選んだ理由」とか「何を大切にして仕事をしているか」とかを掘り下げて聞いていくと10人いたら10通りの答えがあるはず。目の前にいる人が何を大切にして仕事をしているのか・・・それは仕事ではなく,人にフォーカスをあてないと見えてこないものです。
調べ学習でもインターネットを自由に使える時代。自分であとから調べて分かることよりも,今でなければ分からないことを,目の前の人を大切にした聴き方を大切にするように学習に取り組んでいます。
101番目の生き方を見つける
100人いたら100通りの生き方があっていい。そして,これまでの100人と同じ生き方ではなく,101番目の自分の生き方を見つけるのが,学習のゴールです。Aさんの生き方いいな,Bさんの考え方いいな,Cさんのこれはいいけど自分とはちょっと違う・・・そうしてたくさんの考えに触れながら自分と重ねていくことで,自分の納得度が高い生き方が見えてきます。
子どもたちは講師の方の話を聞いた後に「〇〇さんの生き方で自分が取り入れたいこと」を付箋に書いて,学級でKJ法でまとめています。すると,「この前の△△さんと一緒の考えもあるねぇ」と比較しながら考えられるし,友達と違うけれどすべてがまるであることも実感できるようです。
だれかと一緒じゃなくていい。むしろ違うほうがすてき。
そんな101番目の生き方を見つけれるように,より深く考え学べるように,私ももっと工夫していきたいなと子どもの姿から感じます。
出会う人の数で生き方が決まる
10通りの生き方を知って11番目を見つける。
100通りの生き方を知って101番目を見つける。
当然後者のほうが多くの視点をもってつくられた質のいい生き方ですよね。となると,やはりどれだけ多くの人に出会ったかは,人生の豊さに大きく関わります。
考えが合う人も合わない人もいていいとか,自分はこれがいいんだとか,一人ひとりの価値観は現状とは違うものに出会って初めて変化したり,強化されたりする。
そう考えると子どものうちだとか大人になってからだとか関係なく,たくさんの人に出会うことは大切なんだなあと思います。
「キャリア」って何?
この言葉には経歴や経験という意味がありますが,それらを含めた「生き方」がキャリアではないかと思います。
どうしてその行動をしたの?どうしてそれを頑張っているの?
どうしてその言葉を選んだの?
そういう一つひとつに何を大切にしているかが現れます。この心の軸を太くしていくのが今わたしが目指しているキャリア学習です。
学年関係なく,総合的な学習の時間ではモノを通してヒトを学ぶ。この視点をくださったのも先輩先生です。周りの人から学ぶことの多い環境にとっても感謝な日々です。
夏休みまであと3週間。
今できることを大切に,今あるものを大切に