雨畑地区本村集落における移住者との関わり
1. はじめに
9月2日に3回目となるフィールドワークを行った。今回のフィールドワークでは、早川町の雨畑地区にある本村集落にお住まいの望月三千生さんに聞き取りをさせていただいた。今年度の2年生ゼミでは、「コミュニティ」と「水環境」に関心を持って活動をしているが、それらについて望月さんから詳しいお話を聞くことができた。本記事では、お話のなかで私が興味を持った雨畑地区の本村集落における移住者との関わりについて紹介していきたい。
2. 雨畑地区本村集落における移住者との関わり
○ 雨畑地区本村集落の基本情報
現在、雨畑地区の本村集落には29世帯、約60人の方が暮らしているそうだ。一人暮らしの高齢者がとても多く、80代と90代が人口の7割程度を占めており、30代~50代は若い人として位置付けられている。また、1年に6、7人ずつくらい人口が減っているという状況であるそうだ。そうしたなか、本村集落では3軒の移住者が生活をしている。
○ 早川町山村留学制度と本村集落
早川町では、少人数ならではの生活や自然体験などを経験することができる山村留学制度を導入している。この制度では、小中学生の子どもがいる家庭を対象に、移住のサポートを行っている。
このような移住を促進するような制度があるなかで、本村集落では移住者が3軒であることは、少ないように感じた。雨畑地区では雨が降って土砂が流れると、道が使えない状況になるらしい。また、雨畑地区には小中学校がないため、スクールバスで通学をすることになる。そのため、大雨が降ると学校が休みになることもあるそうだ。実際にお住まいの望月さんも、雨畑地区は山村留学生が来づらい場所だと話されていた。そのようなことも関係し、本村集落では移住者が少ない状態であるのかと思われる。
○ 本村集落にお住まいの移住者の紹介
次に、雨畑地区本村集落にお住まいの移住者について紹介したい。
1人は、現在硯匠庵[1]とキャンプ場を運営されている方である。この方は、元々早川町にある日本上流文化圏研究所[2]で働かれていたが、退職して本村集落に移住をしてきたそうだ。
また、林業会社に勤めたあとに森林組合に再就職された方もいらっしゃる。40代の方で、林業に興味があって移住してきたらしい。望月さん曰く働き者で、消防団にも参加されている。
もう1人は、数十年前に移住してきて、現在町会議員をされている陶芸家の方である。この方はご年配の方で、区長もされているそうだ。
このように本村集落に移住してきた方々は、様々な方面でご活躍されている。
[1] 伝統工芸品である雨畑硯の魅力を発信するために展示や販売、硯彫りの体験などを行う雨畑にある施設のこと。
[2] 「山の暮らしを守る」を使命として、山の暮らしの価値を伝える/担い手を育てる/課題を解決する の3つを柱に活動する特定非営利活動法人。
○ 集落における移住者との関わり
望月さんのお話によると、移住者の方々は組合や共同作業などの地域の活動に一生懸命に参加し、集落の貴重な戦力になっているそうだ。また、移住者の方々は、このような集落の活動を断ったことはなく、積極的に参加している。移住者の数は少ないものの、地域のなかでの存在や果たす役割は大きなものとなっているように感じた。
また、前回のフィールドワークで、移住者で奈良田集落にお住まいの上原さんにお話を伺い、移住者が積極的に地域の活動に参加していることを知った。そのような中で上原さんは、現在区長をされているそうだ。集落の顔である区長を移住してきて数年目の人が務めるということは、あまりないらしい。しかし、このようなことは、今後本村集落でもあり得る状況である。今回訪れた雨畑地区に限らず、早川町は人口減少や高齢化が進むなかで、移住者が地域の新たな担い手として活躍されているように感じた。
3. おわりに
望月さんへの聞き取りでは、実際に住んでいらっしゃる方にしか聞くことができない集落の実情を伺うことができ、とても良い機会となった。雨畑地区本村集落では、移住者の方々が地域の活動に積極的に参加されている。この集落において、移住者の方々の存在や果たす役割はとても大きく、欠かせない一員となっているように感じた。(担当:雨宮)
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