身延町移住で叶える夢
1.はじめに
人はなぜ移住をするのだろう。家族のため。仕事のため。人によって移住する目的は様々である。今回私たちは自分の夢のために移住した方にお会いすることが出来た。
私たちのゼミでは2023年9月29日に身延町でフィールドワークを行い、その中で身延町へ移住してきた橋川光さんという男性にお話を伺った。この記事ではインタビューをもとに橋川さんの移住について記していく。
2.プロフィール
今回お話を伺ったのは橋川光さん。36歳。3年ほど前に身延町へ移住された。三重県出身の橋川さんは、これまでも栃木や千葉、東京など全国の色々な場所を転々と移住を繰り返してきた。元々食品会社で働いていたが、身延町へ移住する前は会社を辞めて独立し、趣味で始めた革のカバンの製作なども行っていた。現在は身延町で4人のお子さんと一緒に暮らしている。身延町では、あけぼの大豆を生産し6次産業開発と担い手育成を行う「学び舎」で、あけぼの大豆の生産とその加工品をキッチンカーで広めるなどの活動を行っている。
3.移住のきっかけ
橋川さんが身延町への移住を決めるきっかけとなったのは身延町の名産品「あけぼの大豆」であった。以前身延町で行われた、山梨県産のとうもろこしの収穫体験に参加した橋川さんは、そこで出されたお弁当の中に入っていたあけぼの大豆のご飯に魅了され興味を持った。元々持っていた農業をやってみたいという気持ちに加え、あけぼの大豆の生産者が減ってきているという話を聞いたことで、美味しいあけぼの大豆を作りたいという思いが芽生えたという。さらに収穫体験で接した身延町の人々の温かさにも惹かれて移住を決めた。
これまでも自分のやりたいことや流れに身を任せ、地域の雰囲気で移住先を決めてきた橋川さんは身延町役場に住む場所を探してもらい、移住の決心から一か月程度で身延町へ移住した。
4.移住して分かったこと
今回のインタビューで橋川さんに身延町へ移住してみて良かった点と大変だった点について聞くことが出来た。良かった点としては、「空気がキレイ」、「自然豊か」、「野菜をもらうなど住民同士の交流が多い」ということがあると教えてくれた。一方、苦労した点としては、「家を借りる時、家が広いと管理が大変」、「身近に周りの住民の目があり、草刈りなどの管理をしっかりしなければならないこと」、「住民同士の距離が近いため、悪い噂などが伝わることが早いこと」があるという。
また、移住する際には、「同じ町の中であっても場所によって雰囲気が違うということを知っておくべきだ」と語っていた。橋川さん自身も身延町の中で一度引っ越しを経験したが、前住んでいた地域は今住んでいる地域と異なり、人にあまり干渉しないという雰囲気があったという。同じ町の中であればどこでもいいという気持ちで移住を決めると、想像と異なり苦労する可能性があるそうだ。
「周りと関わっていく気持ち」も欠かすことは出来ないという。橋川さんは草刈りなどの地域の活動に積極的に参加し、地域の人たちと交流していくことで関係を深め、今では野菜を送りあったり、一緒にピザ窯を作ったりする関係性になった。農業に関しても、栽培方法などについての情報を共有しあうなどして助け合っている。あらかじめ地域の人たちとの繋がりがあると、その地域について話を聞けたり、家探しを手伝ってもらえたりするため、移住もしやすいそうだ。
5.まとめ
今回移住に関してお話を伺う中で、特に印象に残ったことは橋川さんの移住に対する考え方だ。私は、移住とは人生における一大イベントで、もっと計画的に行うものだと考えていたため、「流れを大事にしようと考え、移住を決めました。」「お金はなんとかなると思って深くは考えませんでした。」と簡単に語る橋川さんの様子にとても驚いた。それと同時に身延町で美味しいあけぼの大豆を作りたいという夢を叶える橋川さんがとても魅力的に思えた。移住するうえで、住まいや仕事、人間関係、生活環境で苦労するのではないかと勝手に思っていたが、夢があって移住してきている者にとってこれらは大した障害ではないのだ。
「やりたいことがあるから移住する」。橋川さんへのインタビューを通じて、見失いかけていた移住の目的について気づかされた。
(担当:飯沼)
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