やまなしフューチャーセンターをつくろう〜その3「山梨県立大学フューチャーセンターの提案」

前回からの続きです。

フューチャーセンターを大学に

もう一つ、大学COC事業における大きな提案、それが未来思考の対話の場となる「フューチャーセンター」の設置でした。

「センター」と名が付くことから、「施設」や「組織」として受け取られることが多々ありましたが、あくまでも対話のための「場」であること、決して大がかりな施設を整備することではないことを説明し、大学幹部にご理解を頂いたことを記憶しています。同時に、学内でのディスカッションを踏まえながら、多様なレベルでの対話の場を重層的に創り上げることにより、本学が目指す「フューチャーセンター」という考えを形づくっていきました。

しかしながら、今振り返ると、レベルの違いを設け重層的に対話の場を設けるというよりも、立場の違いを超えて多様な人が対等に対話を行う場としてのフューチャーセンターのあり方を、私自身が取り違えていたのではないかと感じています。首長や学長レベルの会談からワークショップやミーティングに至るまで、極めて幅広い概念として「フューチャーセンター」という言葉で捉えたことで、本来持つべき未来思考の対話の場という意味合いが薄れてしまったと反省しています。それは、当時、「フューチャーセンター」というものへの私の理解が、十分ではなかったことを表していると言えるでしょう。

それはともかく、対話を通じて情報を共有し、その中にある想いを共感しながら、多様な主体と共に新たな未来を築いていくというプロセスは、まさしくゲディスが唱えたAct(行為)、Fact(事実)、Dream(夢)のプロセスをベースにしたものでした。プロジェクトを通じた実践的な教育研究活動を推進していくためのしくみとして、この対話の場を位置づけようと試みたのでした。

Figure:「やまなしフューチャーセンター」のイメージ

そして、フューチャーセンターを含む企画提案内容は学内で審議され、平成25年の春には文部科学省に申請書として提出されることになりました。そして、平成25年夏のよく晴れたとても暑い日に、採択の内示の一報を受けました。

この記事は、山梨県立大学理事(学生・地方創生担当)である佐藤文昭が書きました。(2018年8月21日)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?