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夏越の大祓と無季を過ごすこと

通勤電車に揺られた車窓の外に夏越の大祓の茅の輪くぐりの輪が見えた。もうすぐ6月の末になる。大祓は年2回6月と12月の末にある。その時期になると各地の神社で人形に穢れを移し、水に流す行事が行われる。

京都に恋人がいた3年間夏越の大祓は欠かさず行っていた。それだけでなく京都の寺社仏閣で催される各イベントに毎週参加していた。寺社仏閣も多く伝統行事もそこそこ頻繁に開催されているのである。信心深くもなんともない標準的な日本人ではあるが京都の寺社仏閣の行事は観光の意味も込めて色んな物にいった。夏は祇園祭、北野天満宮の御手洗祭、祇園の納涼床、盂蘭盆会、五山の送り火、細かなイベントまで挙げだすときりがない。

その3年の間はほぼ週末を京都で過ごしていたため実質的に京都に住んでいたようなものだった。毎週のように京都の名所に行き、季節のイベントを楽しんでいたので京都のイベントスケジュールは完璧に網羅できているのが密かな特技である。

この月はこのイベントに参加して…と常に考えていたため、ある意味否応にも季節を感じることになる。なんとも日本人っぽい生活だなと今更ながら思う。

京都に行かなくなって丸一年。
恋人もいないのでクリスマスなどの恋人っぽいイベントもないし、一人でわざわざ仏教の行事なんて参加することもない。大阪にいるのでそんなに京都ほど伝統行事も多くはない。

最近はひたすらジムと職場と家の往復となっている。そこにはルーティンはあれども季節感のある特別なことはは全く無く、それはそれで楽しくはあるのだが、ハレの日がなくてずっとケの日常だと思うこの頃である。たまのハレの日を待ち焦がれるなんてつくづく日本人的な世界観を持ってるなと感じる。

ふと窓の外の茅の輪くぐりの輪を見つけてそんなとりとめのないことを思った。

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