
#002 「モダン」とは
「モダン…?」
先日頼まれた内容の中で1つ。
イメージ写真を頂き、それを「モダン」に。
そんな具合のご依頼でした。
モダン…?
モダンてどういうこと?
モダンて何?
こんなところから企画が始まることもあります。
「モダンを紐解く」
インターネットでモダンの意味は書いてあります。
でもそれが「解」ではないことがほとんどですよね。
その言葉のイメージって人それぞれ違うはずです。
となると、依頼主の思想、好み、服装、事務所の雰囲気、今までの仕事の流れなどから総合的にその時に必要な「モダン」を捉えるわけです。
これがスタートなのですけど、これがまず最初の大難関です。
僕はクライアントと別人なので、単純にその言葉のイメージが違うわけです。
ひたすら「モダン」の解釈に時間を使います。
これはモダン。
あれはモダンじゃない。
じゃこれは?
みたいにです。
人にも聞きます。妻にもスタッフにも。
そして徐々にその言葉を飲み込めるようにします。
じゃあこういう感じにしてみようかなと。
そこで初めて型紙を始めることになります。
終わらない「モダン」祭り
そして次の難関。匙加減です。
こういう感じがモダンってことかな?
と頭でボンヤリ描いてもあくまでボンヤリなんです。
それを実際形にするとしたら、ここは何センチだと良いのか。
ここは丸いのか。
この大きさはモダンなのか。
ずっとモダン祭りです。
そして一通り型紙が出来たら眺めるのですが、果たしてこれがモダンなのか怪しいところがあるわけです。
そこを手直し、眺める。
何回か繰り返してザッとトワルを作ります。
トワルとは、白い布団カバーみたいな何の変哲もない生地で作る、プロトタイプの更にプロトタイプみたいな服です。
これを作ってはじめて、現実世界に着ることのできる服が生まれます。
このトワルがうまく出来ていたら良いのですが、ダメな時はまた設計(パターン)を直してトワルを組み直すことになります。
「モダン」チェック
やっとの思いで見せられるトワルが出来たらそれをデザイナーにお披露目です。
「モダン」というキーワードと写真をもらってからやっと確認してもらうところまで来ました。
ちなみに僕(パタンナー)にとってこのトワルチェックが1回目の緊張する時ですね。
僕にとってのプレゼンの場だと思っています。
僕という存在の意義が問われる時だと毎回思っています。
その日はほぼ朝からソワソワします。
このときで言うと、このトワルチェックという確認で大きく修正がありました。
理由はシュッとしすぎていてモダン過ぎ…w
パタンナーの役割
結局「モダン」って何なんだ?
と僕は思ってしまうわけですが、そんなこといつもなのでw
モダンにしたいけどモダンすぎると違うみたいな。
これが嫌な人もいるかもしれないですね。
だったら最初から細かく説明してよとか。
でも言葉にできるなら既にしているわけです。
細かく指示出来たら「ブレ」がなくなり、結果として時間もお金も節約になりますから。
でも抽象的に「モダン」というキーワードでパスされたのはボンヤリしていたから。
それをクリアにしていくのもパタンナーの役割です。
そんな、先方からしたら怖いパスを出してもらえるような感性、知識、哲学を持っていることがパタンナーにとって大事だとも思います。
そして、このやりとりが上手く合致して素晴らしいものを生み出せるように。
もっというとその確率が少しでも高くなるように、日々を積み重ねていくことが大事だなと思っています。
2022/11/13