はじめて作った同人誌 装丁
Webオンリーにあわせて、はじめて同人誌を作りました。色々と考えながら装丁を考えたため、備忘録として書き残しておきます。
装丁
概要
カバー
ある装丁家の方のインタビューで、装丁というのは本の内容を受けて作成する二次創作みたいなものだ、というのがあり、ふむふむなるほどなと思ったことがあります。その考え方に影響されて、今回の本の内容が砂漠で起こる話であったため、『砂漠』を意識してデザインしました(もともとの本の内容自体が二次創作ですが!)。
私は絵が描けません。なので、わかりやすいイラストレーションを使わないで砂漠を表現するのにはどうすればよいかということを考えました。
砂漠といえば、砂と砂岩です。後述しますが、表紙の方で砂っぽさを表現することにしたため、カバーでは砂岩っぽさ、つまり『岩』を表現することにしました。
模様みたいなデザインの上に文字が配置されている装丁をちょうど見て、それにもインスパイアされ……できあがったのがこのデザインです。
砂漠で撮られた砂岩の写真を加工したものの上に、文字を配置しています。日本語部分のフォントはゴシック体より明朝体の方が合いそうだと思ったので『原ノ味明朝』を使用しています。
表紙
使う予定の印刷所から紙見本を取り寄せて見ていったところ、1番砂っぽいなと思ったのがハーフエア ヘンプという用紙でした。このハーフエアというシリーズの紙は手触りがふわっとしているのですが、その質感がまさしく『砂』だな、と。実際の紙を触る前は、クラフト系の紙がいいんじゃないかと思っていたのですが、実物を見たところガサッとしているのが個人的にはあまり『砂』という感じがしなかったので、まったく悩むことなくハーフエアに決定でした。
表紙のデザインは紙の質感を活かすべく、シンプルに仕上げました(モノクロ印刷なので、お財布にも優しい)。裏表紙にはちょっとしたペン画のカットを入れています。扉に入れていたカットと同じものなのですが、シンクロする感じがよいかなと思ってこういうデザインにしました。
遊び紙
遊び紙は、表紙に使用した紙と色味があうものを、という基準で選びました。いなほという紙です。
1ページ目の扉ページは本当は用紙を変えたかったのですが、イベントまで余裕がなかったので今回は断念しました(口絵挟み込みになるので、納期が延びるのです)。
本文がモノクロ印刷であるため扉ページも黒1色でデザインする必要があったのですが、カバーのデザインをこちらにも用いてみました。カバー、表紙、扉でデザインに共通部分を作ると、まとまりが出てよい感じになると私は考えています。一般書籍の装丁もだいたいがそうなっているかと思いますし。
1冊の本としてまとまりがあってよいものに仕上がりました。
組版
組版はLatexで行ないました。設定は以下の通りです。
好みの問題かもですが、フォントサイズ13Qは若干大きかったかもしれません。ここは反省です。組版した状態をモニターの画面上で見たときは特に違和感がなかったので、ここら辺の設定は難しいなと思いました。
1行の文字数や行数は想像どおりにうまくいきました。今回の本は8万字ちょっとの話ですごく文量があるわけではないので、あまりみちみち文字を詰め込んだ風にはしたくなかったのです。この辺りも好みはわかれそうですが、個人的にはこのくらいの文量の本ならこのくらいの設定がちょうどよいかなと思います。
余談ですが、Latex、環境さえ作っちゃえば簡単に綺麗な組版ができるのでオススメです。無料だし、ルビも綺麗にいれられます(直感的な操作はできないので、人によってはそこにやりずらさを感じるかもしれませんが……)。Latexで組版するのにあたって参考にしたページをまとめるのもよいかもしれないですね。
最後に
装丁を考えるの、想像以上に楽しかったのでまた同人誌作りたいです。
2冊目以降も、Noteに備忘録として記録しようかなと現時点では考えています。
頼んだ印刷所
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