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【芸大美大入試】その特殊な世界 #東京藝術大学 #ブルーピリオド

 こんにちは!代ゼミ教育総研note、編集チームです。新マガジン【芸大美大入試キホンのキ】スタートです😊

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 先日の奥村研究員による映画『ブルーピリオド』の記事はご覧いただけましたでしょうか。

 本記事では、前回触れられていた「東京藝術大学の入試」に焦点をあて、より深く見ていきたいと思います。まだお読みでない方は、以下のリンク先からどうぞ!☟



 今回は「美術学部/一般入試/美大受験予備校」について触れていきたいと思います。

 (注)いや、他にも触れたいことはあるのですが、すべてを書くと、とんでもない分量になるので、分けて書かせてください…。

【① 藝大の美術学部にはどんな学科・専攻があるの?】ー美術を研究する国内最高峰の大学


※2025年度入試時点の情報

 美術学部は全部で7学科あり、『ブルーピリオド』の主人公である矢口八虎さんは作中で「絵画科-油画専攻」を志望していましたね。ちなみに本作の作者である山口つばささんもこの専攻の卒業生であることも有名です。

(過去のインタビュー記事も大学HPに掲載されています)

 各学科・専攻のカリキュラムなどについては大学HPで詳細に記載されていますので、そちらを見てほしいのですが、美術を研究する国内最高峰の大学が東京藝術大学であると言って良いでしょう。

 ただ図にもあるように学部全体の募集定員が234名と少なく、合格するまでに浪人を重ねる受験生も少なくありません。言い換えれば、それだけ美術を志望する学生を惹きつけて止まない魅力があると言えるでしょう。


【② 藝大の一般入試は他の大学と何が違うの?】

 東京藝術大学自体、国公立大学一般選抜の「前期日程」試験という位置付けではあるものの、試験の進行の仕方は他の大学と大きく異なります

 作中に倣い「絵画科-油画専攻」に絞り、入試についてまとめた以下の2図をご覧ください。

※2025年度入試時点の情報

 比較対象として、東京大学(文科)の入試日程も掲載しましたが、その違いは一目瞭然。

 おそらく最初に驚くのは、「1次試験の有無」ではないでしょうか。受験生全員を1次試験でふるいにかけ、合格した選りすぐりの方のみ2次試験に進むことができる…。結構厳しい試験ですね。

 次に驚くとしたら「試験時間」でしょうか。比較で掲載している東京大学(文科)の場合、試験時間は最も長くて120分ですが、東京藝大の場合はその倍以上!例として挙げている油画専攻の場合は、1次試験で5時間、2次試験は12時間(1日6時間×2日間)かけて作品を描き上げる内容となっており、技術面はもちろんのこと、気力・体力も必要とされる試験であると言えるでしょう。

 この専攻における競争率は以下にまとめておきますが、この図だけ見ても合格するまでの厳しさが分かるような気がします…。作中でも触れられていた倍率200倍は、「現役合格率」と考えることができますね…。浪人が当たり前の世界で、現役生が合格を掴むのは並大抵のことではありません。

 ここまではあくまで「絵画科-油画専攻」にフォーカスした内容ではありますが、もちろん他学科・専攻を志望する場合はまた状況が異なります。詳しくは大学より発表されている選抜要項や募集要項をご覧いただきたいですが、ポイントを絞った図は下に載せておきますね。


【③ 美大受験予備校って何?】

 その名の通り「芸大・美大入試」対策に特化した予備校です。芸大美大進学を考えている方であれば大抵の方は通学する場所であり、特に首都圏の大学に進学した方のうち、通学していないという方が少数派かもしれません。映画では尺の関係もあり少々触れた程度でしたが、このあたりを少し掘り下げてみましょう。
 
 映画同様に、藝大油画志望の首都圏在住の高校3年生が受講する場合を想定し、原宿にある「代々木ゼミナール造形学校」で実際に設置されている講座の日程に合わせて1週間の生活をまとめてみました。

 美大受験予備校における授業カリキュラムは、基礎事項から始まり、入試に近づくにつれて実践的になっていきます。これ自体は一般的な塾・予備校と同じですが、授業時間は入試本番を想定して設定されているため、1日の授業時間自体は長く設定されています。
 
 図をよく見てほしいのですが、美大受験予備校の場合、週に1日通学…、というわけではなく、平日5日間通学するように設定されています。授業で扱う課題の制作時間の長さもありますが、制作する作品数を多くこなす必要があると考えられているからです。
 
 授業自体は至ってシンプル。作品を制作する、これに尽きます。
ただし制作して終わりではなく、制作後に講師による講評も込みで授業が完結します。
 
作中でも触れられていた通り、講評では「生徒の作品を1ヶ所に並べて、それぞれの作品の良いところ・改善したいところを講師よりコメント」します。
 
これだけ書くとあっさりしているのですが、基本的にはこの繰り返しで授業が進行します。

芸大美大受験は「作品制作➡講評等で新たな知見を得る」の繰り返しで経験値を積んで受験に臨みます。地道に努力する、という点は、他の受験生と同じですね。

 ちなみに、授業に参加する前に画材を買い揃える必要があります。映画では専門の画材店で一式揃えるシーンがありましたね。
 
予備校の中には、校舎の近くに画材店がある予備校があったり、代ゼミ造形学校のように校舎内で画材セットを購入できる予備校もあったりします。これについては実際に訪問してみると良いかもしれません。
 
今回の油画専攻志望の生徒の場合、販売しているセットを購入するだけでも合計3万円程度かかります(代ゼミ造形学校で販売している価格に基づく ※2024年8月現在)。
もちろん中には絵具などの消耗品、授業で使用するキャンバス・紙などもあるため、受験生活全体で見ると、画材だけでも実際はもっとかかるかもしれません。


【番外編:藝祭に行こう!】

 前回、今回と東京藝術大学について触れてきましたが、現在在学している学生がどのような作品を紡いでいるのかは興味ありませんか?

 実は9/6(金)~9/8(日)の3日間で、東京藝術大学で「藝祭」が上野校地(上野キャンパス)で実施されます。

 他大学で言うところの「大学祭」みたいなものと思っていただければOKです!

 一般的な物販や出店があったり、作品を展示したり、ライブやコンサートなども催されたりします。

 ただ、何と言っても一番の見どころは、「神輿・法被」だと編者は思っています。

 学部1年生全員が4つのグループに分かれて、合同で神輿や法被を作成し、藝祭初日に上野校地から上野公園まで練り歩きます。昨年度以前の様子は大学公式HPでもチェックできます。

 作成した神輿は藝祭期間中、上野校地内で実際に目にすることができるので、是非とも見に行ってほしいです。

 ちなみにこの神輿などの制作は、話題の「ブルーピリオド」の原作中でも実際に触れられていますので、原作を持っている方はそれも読んだ上で実際に見ると、また違った感想を抱くかもしれません。

 編者も昨年度も含めて数回訪問していますが、毎年「圧巻」の一言でした。これ以上は言葉で表すには勿体ない…。夏のこの時期をかけて制作している学生の皆さんに敬意を表したいです。

 上野校地の近隣には、東京都美術館・東京国立博物館・国立科学博物館・国立西洋美術館・上野の森美術館など、様々な施設もありますので、少し早めの「芸術の秋」を堪能するのもいかがでしょうか?


【まとめ】

 前回のコラムの流れを(勝手に)引き継いでここまで書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。

 本当はもう少し書きたいなと思いつつ、今回は導入として読んでいただければと思い直し、文量は抑え目にしてみました。次回以降も続けてお読みいただければと思います。


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