オリジナリティの魅せ方のヒントに【ユニークな試験課題】🎨芸大美大入試
こんにちは!代ゼミ教育総研note、編集チームです。
秋は芸術祭をはじめとした様々なイベントが目白押しですが、大学入試においては、総合型選抜や学校推薦型選抜の時期でしょうか。今回はこちらをテーマにGさんに書いていただきました。
果たして、芸大美大ではどんな特別型選抜が行われているのでしょうか?大学ごとにも様々な個性が出そうですね。編集チームも興味津々です。
【①:そもそも、芸大美大で総合型選抜/学校推薦型選抜は実施されているの?】
結論から言うと、一部実施していない大学はありますが、多くの芸大美大で一般選抜の他に総合型/学校推薦型選抜が実施されています。「一般選抜では測ることができない能力を見たい」という意図も他の系統と同じですね。
募集定員の数だけで言えば、まだまだ一般選抜の人数が多いですが、上の図にあるように総合型選抜/学校推薦型選抜の募集人数は着実に拡大していると言えます。
後述しますが、事前準備の量は一般選抜よりも多いです。自分が何故その大学・学科・専攻を受験したいのかという熱意を、あらゆる手段(文章/作品/プレゼンなど)を用いて示さなければならないからです。入試が年内であることも踏まえると、受験生に求められている水準が高い、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ芸大美大に進学したい意思が元々あり、目的意識がハッキリしているのであれば、総合型/学校推薦型選抜は意外とハマる選抜方法なのかもしれませんし、合格するチャンスも増えます。少し覗いてみましょう。
【②:入試ではどういったことを行うの?】
一部の試験内容は、他の系統の学部・学科で実施されているものとそれほど大きく変わりません。「志望理由書」「面接」は、ある意味「鉄板」とも言えます。
他にも「小論文」が課されたり、学科・専攻によっては「実技試験」を課されたりすることもあります。これだけ書くと、「あれ?芸大美大だからと言って特別なことはあまりない?」と思われるかもしれません。
一方で、芸大美大ならでは、なものはあります。それが「自主制作作品の提出/持ち込み」です。
少し分かりやすくするために、ここからは武蔵野美術大学、通称ムサビを例に見ていきたいと思います。 ※ 武蔵野美術大学の2025年度総合型選抜(前期/後期)の募集要項を参考に構成します。
(1) ポートフォリオ/作品資料ファイル
自分が制作した作品をまとめた「作品集」とお考えください。
武蔵野美術大学においては半数以上の学科・専攻で提出が必要とされていますが、提出するタイミングは「出願時」もしくは「面接試験時に持ち込み」等様々です。
図は武蔵野美術大学で明示されている内容のうち、各学科・専攻で共通して記載されている内容をまとめたものです。「これまでにこういった作品を作ってきた」という自己紹介の1つと考えると良いでしょう。もちろん学科・専攻ごとに指定されている内容が多少異なっているため、事前に募集要項で確認しておきましょう。
(2) 持参作品
こちらは作品そのものを持ち込むことを指します。ポートフォリオと異なり「制作時期・点数・大きさ」が指定されることがあります。
(1) ポートフォリオにもあった「証明書提出必須」は、要するに「私が作りました」ということを書面で示すことです。大学への提出書類の1つに入っており必ず提出しなければなりません。
ちなみに例として挙げている武蔵野美術大学は「本人の署名」とは別に「家族、友人ではない方の署名(=学校の先生など)」が必要とされています。
(3)面接
形式は様々ですが「志望理由」「将来像」といった質問は入試に限らず、就職活動などにおいても鉄板とも言える質問項目と言えますね。芸大美大でももちろん聞かれます。
特に(2)「持参作品」もある場合は、それに関するプレゼンテーションも面接の内容に入ります。その作品のテーマ、見てほしいポイント、制作するきっかけ(問題意識)、制作のヒントとなったヒト/モノ/シチュエーションなど、作品を持ち込む際は少し振り返っておきたいですね。
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と、いくつかご紹介しましたが、総じて大学側としては「受験生一人ひとりを様々な角度(文章/作品/プレゼン)から審査している」と言って良いでしょう。もちろん、大学・学科・専攻によっては特徴的な試験課題もあるのですが、それはこの後の「余談」にて…。
【余談:ユニークな試験課題】
少し脱線しますが、タイトルにもある通り、総合型/学校推薦型選抜において、ユニークな試験課題を設定している大学をご紹介します。こういう試験もあるんだな、と参考まで読んでいただければ幸いです。
(1) 多摩美術大学(情報デザイン学科)
多摩美術大学、通称タマビの情報デザイン学科は、「メディア芸術コース」「情報デザインコース」の2つに分かれます。名前にもありますが、デジタルメディア、インターネットなどの先端技術を用いた研究をするため、その入試も特徴的です。
それが「オンラインポートフォリオ」。
少し前に「ポートフォリオ」についての説明を記しましたが、冊子形式での提出ではなく、インターネット上で閲覧できるように提出することが求められます。一部の大学・学科では作品を収録したDVDやUSBを送付する例もなくはないですが、こういった形式はなかなかありません。
プレゼンテーションに備えて入試でPCやタブレット端末、およびHDMI出力が可能なディスプレイアダプタも持参する必要があるなど、本格的な内容となっています。
詳細はこちらへ↓
(メディア芸術コース)
(情報デザインコース)
(2) 東京工芸大学(芸術学部)
次に挙げるは、東京都中野区にキャンパスを置く東京工芸大学です。前身は1923年に創立された小西写真専門学校で、その名の通り写真学科をはじめとして様々な学科が設置されています(写真/映像/デザイン/インタラクティブメディア/アニメ/ゲーム/マンガ)。
詳細はこちらへ➡ 東京工芸大学 公式WEBサイト
マンガ学科における総合型選抜の課題は↓
この課題は制作上の留意点が細かく設定されています。自分が作ってみたい作品がマンガやイラストである場合、ストレートに伝えられる機会があるのは受験生にとって嬉しいことですね。
【③:もし総合型/学校推薦型選抜を受験するなら…】
話を戻しましょう。「出願書類」「小論文」「面接」の一般的な対策については、こちらの記事を参考にしてください。
「将来やりたいことが決まっている/志望する大学・専攻が決まっている」状態であり、受験できそうな状況であるなら、総合型/学校推薦型選抜を選択肢に入れても良いでしょう。その際にしっかりとやった方が良いのは「事前の情報収集」そして「スケジューリング」です。
(1) 事前の情報収集
大学のWebサイトには募集要項や過去問題集、学科・専攻の紹介ページなどがアップされています。
受験したいと考えている大学はどういったところが特徴的なのか、自分が今後やってみたいことや取り組んでみたいこととうまく合致しているのか、といったところを中心に見ていきたいですね。
募集要項なら、「入試選抜の種類」「出願・受験日・準備する作品の有無」「注意事項」などしっかりと明記されています。今回例として挙げている武蔵野美術大学の総合型選抜の募集要項では「審査基準と受験生に期待すること」と題して詳細に紹介されています。入試問題集も同じです。
自分の熱意を伝えることはとても大切ではありますが、大学側が設定しているレギュレーションもしっかりと確認しておくことも同じくらい大切です。
(2) スケジューリング
引き続き、武蔵野美術大学を例に取ります。総合型選抜(前期)の場合、出願が9月、書類選考を通過した後の2次選考が11月というスケジュールです。他の系統も同じですが、年内に入試が終了するのが一般的です。高校生にとっては夏休みが終わって少ししてから出願の時期になるのでなかなか大変ですね。
このような入試においては「合格できそう」といった手応えはなかなか分かりにくいです。もちろん合格するに越したことはありませんが、思うような結果が出なかった場合に備えて(=一般選抜の準備もしなければならないことも視野に入れて)スケジューリングしましょう。なかなか自分で決められないな、という場合は保護者の方や先生方へ相談してみるのも良いでしょう。
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いかがでしょうか。芸大美大であっても、総合型/学校推薦型選抜は「自分がその大学・学科・専攻に行きたい気持ちが第一にある」ことは共通しています。
「将来、自分は○○をしたい、その上でこの大学で△△を学んでみたい」という明確な意志を持つことが大事ですが、その熱意を示すために「志望理由書」や「作品」があると考えます。
もう1つ言うならば、「自分で問題意識を持ち、それに対する自分なりの答えを作品・文章・プレゼン」を通じて表現する機会がこの入試でもあります。
芸大美大を目指す根源となるのは「好きで始めた」ことかと思います。自由に作品を作っていくうちに、自分の世界観が作られていったり、こういった作品を作ってみたいという欲が生まれたり、と色々思いを巡らせることでしょう。そういったものが強ければ強いほど、総合型/学校推薦型選抜は非常にマッチする選抜ではないでしょうか。受験を検討している方は是非その思いを大事にしてほしいなと思います。
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