シャバは美しい所 音楽
私は今も、留置所に入る前も、
一人で過ごす時間の半分以上は
イヤホンを付けた状態で過ごしている。
熱狂的に好きなアーティストがいる訳では無い。
ただ気持ちの良い音楽が好きだ。
耳元で鳴る音に触れているだけで安心するのは
“自分の中で納得がいかない全てに対して、
分かりやすく現実逃避出来るから”である。
森や水の中に居て、それだけで快感な時にわざわざ音楽は必要無い。
私が、街や電車の中でイヤホンを頼りにしているのは、単純な脳みそが音楽に引っ張られるお陰で現実まで着色される。 まるで気持ちの良い世界に脳が変換してくれるから。
そんな感じ。皆は違いますか?
警官にスマホを押収された瞬間は、間違いなく喜びの感覚があった。SNSは気色悪いしLINEも嫌いだし
やん離れられてラッキー♡と思ったのだ。
しかし、常時耳に突っ込んでいたイヤホンが生活から無くなる事は少し不安に思った。
以降始まった留置所生活で、音楽に触れる機会が皆無なのかと聞かれたらそうでは無い。
昼食後の30分間、質の悪いスピーカーからきちんと毎日曲を聴かされていた。
檻の中の人間の精神をギリギリの所で生かす為に一応かけている感はあったものの、実際救われた。
私が居た女子留置所のプレイリストは
誰もが知ってるような曲のオールゴールメドレー
[激スローver]であった。Beatlesがよく流れた。
日本歌手で覚えているのはユーミン、そして
「待ってこの曲槇原じゃない?笑」
同部屋のアケミと一瞬盛り上がったが、その曲は小田和正だと分かり人違いで笑ったのを覚えてる。
(文字に起こすと全然面白くない)
留置所内では被疑者がデカイ声を出せば叱られ、最悪のケース隔離される。その為、檻の中での会話は基本的に小声になる。話す声のトーンは常に低い。
一方、曲を口ずさもうとすると、普段喋っているキーより必然的に高くなる。さらにメロディを加えると通常会話では出さない音を人間が発する事になる。これが良い意味でも悪い意味でも現実逃避に繋がる。
音楽が流れる時間、意識を分散する事によって、現状の目を背けたい部分を無視する事が出来た。
留置所の中で流れる音楽はオルゴールバージョンのみ。ただ、渦中に居た私が部屋の中で一人思い出し最高じゃん となった曲はいくつかある。
それはよく聴いたアンビエントでもテクノでも無く バカみたいに分かりやすい日本語歌詞の曲。
歌詞の存在はあまりに大きい。
凝って難しい言葉を並べられた曲は、心に余裕がある時に聴く分には良い。しかし、追い詰められた状況の中で、記憶から登場し救ってまではくれなかった
そんなこんなでピュアな音楽が好き この位↓
私も友達と曲作るの(╹◡╹)ぽろぽろ