Falling Into Infinity (Dream Theater) #私を構成する42枚 より
#私を構成する42枚
より11枚目の紹介はDream Theaterの『Falling Into Infinity』(1997年)です。
Dream Theaterについては折に触れてnoteでも紹介していますが、それだけ思い入れの強いバンドということになります。
私のメインギターもDream Theaterのギタリスト、John Petrucci (ジョン・ペトルーシ)のシグネチャーモデル(MusicMan)ですからね。
しかし、この『Falling Into Infinity』の時はまだIbanez製のギターを使用していました。ピエゾピックアップが搭載されたのはMusicManからですね。
さて、この作品は彼らの不朽の名作『Images and Words』(1992年)、それを更にテクニカルに発展させたと言える『Awake』(1994年)を経て制作されました。
大きく変わったことはキーボードがケビン・ムーアからデレク・シェリニアンに変わったことでしょう。
ケビンファンはかなり落胆していたように思います。
Dream Theaterではキーボードがとても重要な役割を果たします。
というのも、ジョンはギターのオーバーダブをあまりしないからです。
できるだけライブでCDでやったことをそのままを届けたいと思うからだと、何かのインタビューで読んだ記憶があります。
そのため、キーボード(シンセ)はセカンドギターの役割も果たし、かつシンセのオリジナリティも出さなくてはなりません。
ケビン・ムーアの功績は多大であったことは間違いないでしょう。
デレク・シェリニアンがDream Theaterで残した作品はこの『Falling Into Infinity』と一つ前のミニアルバム『A Change of Seasons』の2枚です。
個人的には、この42枚にもピックアップしているので彼のシンセは好きですが、ケビンであったらよりドラマチックになっていた可能性があると考えます。
Dream Theaterの全作品を見渡しても『Falling Into Infinity』のような作品は後にも先にもないと私は思います。
その意味で唯一無二であり、メタリカの『Metallica』と同じような性格を持った作品であろうと思います。
プログレからポピュラーになった、と感じる人もいるほどに聴きやすい曲が多いのは、デレクの影響はあると思います。
がっつりプログレ曲もありますが、とてもさわやかで、ジャジーな感じもありメタル色はかなり薄い印象です。
それが賛否両論あるのかと思いますが、私は大歓迎です。だからもっとこの方向性の作品を聴きたかったのですが、この先それが出ることはありませんでした。
次作『Metropolis Pt. 2 : Scenes from a Memory』で一つの歴史を終えたDream Theaterはヘヴィネスに基軸を置くことになります。
それはそれで良いのですが、ドラムのマイク・ポートノイの脱退によって加入したマイク・マンジーニによって、その路線からずれることが出来なくなってしまったと思います。
マンジーニはよいドラマーですが、ポートノイのような多彩な音作りや繊細なゴーストは得意ではなさそうです。結果曲は複雑だが単調さを拭えない作品になってしまっていると感じます。
話を『Falling Into Infinity』に戻しますと、このアルバムの何が尊いのかといいますと、一つはマイク・ポートノイの引き出しの多さが堪能できることであり、もう一つはケビン・シャーリーのミックスです。
『Falling Into Infinity』はDream Theater史上、最も音の分離がスッキリし、ミキシングの妙が堪能できる作品であると、曲を作りミックスもする私には思えます。
バンドのセルフプロデュースに移る前の、専門エンジニアによる良き時代の最後ではないでしょうか。
ケビン・シャーリーは当時結構売れっ子プロデューサーであったと思います。
特にドラムの処理が本当に素晴らしく、その後のセルフプロデュースの残念さが際立ちます。
ということで、このアルバムは私にとって特別なDream Theater作品となっています。