半分、薄い。
この前母親と東京へ行った時、ちょうどお昼の時間であったのでイタリアンへ行った。
リーズナブルなお値段だったが、前菜もついていて贅沢な気分にさせてくれた。
しかし、私の舌はお子ちゃま過ぎるので、しゃれたお味のじゃがいもを食べた瞬間、「う!!!!!!!」となってすぐ水を飲み干してしまった。
なので前菜のほとんどを母に託し、私は頼んだパスタを心待ちにしていた。
来た。
アンチョビとガーリックのクリームパスタ。
もっとこってりした見た目かと思いきや、キャベツとクリームの色の爽やかさをまとっており、とても美味しそうだった。
「いただきまーす!」
意気揚々とパスタを口に運ぶ。
「ん?」
味が………
薄い…………………。
味が…………
薄過ぎる……………………。
キャベツの味しかしねぇ………………!!
ふと同じパスタを頼んだ母親を見ると、
「これ、あっさりしてるけど、美味しいなぁ〜」
と嬉しそうにしていた。
お母さん、そのあっさりは「味が薄いのを遠回しに言っている」のか、本当に「あっさりした味がおいしい」から言っているのかどっち……………?
でも本当に美味しそうに食べるので、
「お母さん、いつのまに薄味主義になったんだ」と思いながら、私は味の薄過ぎるパスタを食べていた。
自分が濃い味が好きだからこのパスタの美味しさを楽しめないのか………と思いながら半分近く食べ進めた。
が、
………………………やっぱり薄過ぎる。
………………………だってキャベツの味しかしないパスタなんてある〜〜〜?????
あっさりにもほどがあるよ〜〜〜〜〜〜!!!!
やっぱりおかしい!!!!!!
もしかして!!!!!!
「パスタひとくち、くれへん?」
母のパスタを一口食べてみる。
「…………………うまい!!!」
疑惑が確信に変わった!!!!
私のパスタだけ………………
味が……………………………
なかった………………………!!!!!!!!
私のパスタを食べた母が味の薄さに驚き、そして私を気の毒に思い、自分のと交換してくれた。
幸いほんの少しだけ、そのパスタの実力を知ることができた。
人間の舌って不思議だな。
初めて食べた料理でも、「こりゃおかしいぞい!!!」と判断できちゃうのだから。
人間ってすごいな…
普通なら完全に損した話になるだろうけども、私にとって人間の作りの精巧さを知ることができたので、よかったです。
皆さんも「味が薄い!!!!!」と思ったら、つかさず、
「これが人間の神秘か…………」
と頷いてみてください。