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「僕と放射線」:その2 一発目はゲロリンチョ…

「辛島君、明日から放射線治療と点滴を始めるよ。少しきついかもしれないけど頑張りましょう!」

術後2週間後くらいだったかな?

お医者さんからそう言われるんだけど、術後の状態から劇的に回復していた
僕にはあまり響いてこなかった。

(ま~よく分からないけど…何でもかかってきなさい!早く退院してまた学校に復帰しなきゃ!授業に出てカヌーも漕がないと…)

僕の頭の中にはそんな思いしか浮かんでこない。

「そうですか、わかりました」

僕は学生時代にカヌーを漕いでいました
僕は学生時代にカヌーを漕いでいました

術後しばらくして放射線治療を受けなければならなくなったのは、摘出した腫瘍が悪性度の高い髄芽腫だったからです。(点滴というのは抗癌剤の事だったんです)

放射線は時代もあったのか?広範囲に生暖かい扇風機のような風を頭部全体と背中(脊柱?脊髄?)に浴びました。
 
また頭部・背中全体に浴びたのは、髄芽腫が脳・脊髄全体に播種する可能性が高いためです。(全脳全脊髄照射)

その後すぐに治療が始まったんだけど、これまでの回復傾向に何ら変わりはない。

(な~んだ…お医者さんが言う割にはチョロいもんだな~)

そんな余裕を見せていた僕

ま~今考えたら放射線治療や化学療法の知識がなさ過ぎで「なめていた」んだと思う。

そんな僕に天罰が下ったのは1週間が経過したころ

状況が一変した…

その日も歩行器でいつものように(下を向いたままではあったけど)他の患者さんと食事をし病室へ戻る廊下で突然の気分不良。

(うん?なんか気持ち悪いな~)

そう思ったのも束の間、胃のほうから何かが勢いよくこみあげてきた。

「おっ?えっ?うえっ…ゲロゲロゲロ~~~」

気持ちわる~~~
気持ちわる~~~

廊下にはクリームシチューみたいなものが散乱している。

先ほど摂った朝食なのか?

目の前には嘔吐したものが見えるんだけど、なんていうのかな~胃の中で何かが沸騰している感じで気分は一向に良くならない…

(なんだこれ?おわぁ!)

今度は先ほどよりも胃からこみ上げてくるスピードが早い!

「ゲロゲロゲロ~~~」

再び嘔吐。またもやクリームシチューみたいなもの…

(なにこれ?僕は一体どうしたんだ…)

そう心配にはなるんだけど千鳥足状態の僕は動きを止めて歩行器を保持する余裕なんてない。

一目散にゲロは無視して病室へ急ぐ。

それでも病室のドアノブに手が差し掛かったところで…

「ゲロゲロゲロ~~~」

豪快に3回…
豪快に3回…

3回目の嘔吐はこれまの中で最も量が多い。

廊下はあたり一面ゲロまみれ!

(ふ~よっこらしょ)

そんな状況を半ば無視して病室のドアを閉め、ベッドに腰を下ろす僕。

胃の中はもうすっかり空っぽのはずなのに何かが沸騰している感じは一向に収まらない。

(僕はどうかしちゃったんじゃ?)

ようやく自分に置かれた状況に危機感を抱いていると看護師さんが病室へやってきた。

「あれ全部辛島君が吐いたの?」

「はい、すいません」

「今は大丈夫?」

「う~ん…イマイチかも?」

「そう…あまり続くようなら教えてくださいね」

「ええ、ありがとうございます」

たぶん看護師さんはわかっていたんじゃないかな?

いよいよ来たなって!

この「嘔吐」というのが、僕にとって初めての放射線障害だったのかなと今思います

ー つづく ー


😊この作品の全記事は以下を参照ください!



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