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オジサンになった今、皮膚癌がポツポツと出てくるようになった原因っていったい何なのか?その可能性の一つを知った僕が取ったある作戦とは?

🎯本作について

僕は、2017年に初めて後頭部に皮膚癌が見つかって手術を受けました。その時に、今後の発生を防ぐのが難しいかもしれない現実を知ることになるのですが、予想通りと言えばよいのでしょうか…その後も場所を変え出てくるようになっています。

本作は、そんな現実に対して「ある作戦」を立て、逃げずに向き合っている経過記録集(体験記?・備忘録?)になります。

皮膚癌の種類や治療過程について書いてあることが多いので…

・そこに興味がある人
・実際に皮膚癌を患って困っている人、その家族や支える人

上記した人には特に読んでほしいです。(プラスになることがあるかも?)また、闘病記を読むのが好きという人にもおすすめかも!

読んでいただけるのであれば、これまでの生き方を評価されたようで光栄ですし、今後も日々の出来事を書き残していこうと思える起爆剤になるような気がしています。

それではよろしくお願いします。

あっ!

🙇お願いがあります…

本作は、その時その時に感じた思いや体験したことをコツコツと書き残してきたおかげで出来上がっています。

なので…

できましたら、一読された感想やアドバイスをいただけますでしょうか?
もしいただけるのであれば、「地味な生き方?」を評価されたようで光栄に思いますし、今後も継続していく起爆剤となりそうな気がします。


🎯その1 発見に至った「きっかけ」は、頭皮の悪化だった…

2017年 (平成29年) 11月上旬 40歳

(う~ん…すでに手遅れかもだけど…隠さないで短く切ってもらおう!) 

当時、脂漏性湿疹で頭皮の環境が最悪だった僕。

脂漏性湿疹とは、もうかれこれ10年ほどのお付き合いになっていて、頭部全体に濃いピーナツバターみたいな色をした大き目のフケ?塊?が、毛穴にびっしり詰まっている。

「ガムの食べかす」のような物体(瘡蓋?)
「ガムの食べかす」のような物体(瘡蓋?)

中でも、後頭部のやや左側には、それが巨大化してカチカチに乾燥した「ガムの食べかす」のような物体(瘡蓋?)が、広範囲にへばりついて取れそうにない…

(これじゃ~みっともなくて、他人には見せられないな~)

そう思った僕は、これまで、瘡蓋よりも上のほうに生えている髪の毛を、カーテンのようにダラ~ンと伸ばして隠してきた。

それが、最近になって脂の分泌量が増えているのか?毎日シャンプーしているのに髪の毛がベタベタ・ギトギトで、まっすぐに垂れ下らず、ネバネバして何本かずつで結束してしまい、所々に隙間が出来てしまっている…

これじゃ~カーテンの役目を果たせず瘡蓋が見え隠れ状態だ

併せて、瘡蓋から?髪の毛から?出所がよくわからないんだけど、ものすごい悪臭が周囲に漂っている。

(これは、自分が我慢すれば済むレベルを超えているぞ…このままでは他人に迷惑をかけてしまう…)

そこで、行きつけの理容店で、カーテン用に伸ばしていた髪の毛を、短く切ってもらうことに決めた。そうすると、一層瘡蓋が見えちゃうことになるんだけど、今のままではますます瘡蓋が広がって行くに違いないと思った。

(短くすることで、通気性も良くなるだろうし、そして隠さないでさらけ出すことは、ある意味瘡蓋に手が届きやすくなるということ!)

じゃ~瘡蓋を取るにはどうすればいいのか?

わからん

ま~今はそんなこと考えるよりも、とにかく短くしちゃおうと、理容店へ車を走らせた。


🎯その2 イボ発見?

「あの~今日は短くしてください…」 

「短くって…坊主でよろしいんですか?」 

突然にそんなことを言うものだから、理容師さんもびっくりしたんだろう。

後頭部に張り付いている瘡蓋が目視できればいいんだから、そこまで短くする必要はないわけで…

「いえ、横は高めに刈り上げて、後頭部の脱毛部分が見えるくらいの長さで揃えてください。」 

「わかりました。ですが…そうすると、脱毛部分が丸見えになりますがよろしいですか?」 

「構いませんので、お願いします」

あっ…後頭部の脱毛部分というのは、学生のころ受けた開頭手術後に受けた放射線治療の影響。だから、もうかれこれ20年以上になる。

瘡蓋を隠す以前に、カーテンのように髪の毛を伸ばしていたのは、そんな脱毛部分を隠す意味合いがあったのかもしれない。

どちらにしても、そのカーテンをなくしてしまうということは、脱毛部分も瘡蓋も隠すことはできなくなる…

(今後はちょっぴり恥ずかしいかな…) 

バリカンやハサミで短くなっていくいく髪の毛を、手前の大鏡で見つめながらそう思っていると、理容師さんがこんなことを言われた。 

「へ~お客さんってこんなところにイボがあるんですね~」 

「えっ?イボなんてあったかな~」 

「見てくださいよ〜鏡持ってきますから!」

三面鏡で後頭部を見せてくれる理容師さん
三面鏡で後頭部を見せてくれる理容師さん

そう言うと、奥から大きな三面鏡を持ってきて、手前の大鏡で後頭部が見られるようにしてくれた。 

「えっと…どこのことを言っているんですか~?」 

「ここですよ…ここ!」 

「えっと…えっ!…なっ…なんだこりゃ?」 

後頭部中心にある手術跡のやや右上に、赤黒い米粒くらいのブツブツが3つ…

なんだこれ?
なんだこれ?

それぞれがくっつくように密集しているから、1~2センチはあるのかもしれない。

(あそこはカーテンで隠していた場所で、常に見えない場所だったけど…あんなの昔はなかった)

いつから伸ばしていたのかは覚えてないけど、ヘアバンドで隠していたころ(伸ばしていなかったころ)は後頭部にイボのようなものはなかったのは確実…

(ヤバイなこれは…なにかある…) 

そんな直感のようなものがした僕は、「かかりつけの皮膚科」を急遽外来受診することに決めた。  

✅ 学生のころに受けた開頭手術については以下を参照ください。


🎯その3 もしかして…一大事かも?

「あの~先生、今日は後頭部を診てほしいんです。先日理容院へ行ったらイボみたいなのがあるのがわかって…」

診察室へ呼ばれると、すぐにそんな相談をする僕。

「どこかな?…あっ…これか…う~ん…これは…」

う~ん…これは…
う~ん…これは…

先生は拡大機みたいなのでじっくりと患部を診た後に椅子に座ってこう言われた。

「う~ん…大したことはないと思うのですが、一度大きな病院で診てもらった方がいいでしょう。私よりも専門医に診てもらった方が安心でしょ?そんなに心配ることはないですからね!」

そんな感じで、言葉では「なんともない感?」をドバドバ出す先生なんだけど、表情はなんとなく険しいし、場の雰囲気が少しばかり暗いっていうのか…静けさが漂うっていうのか…

なんともない感?
なんともない感?

「そうですか…わかりました」

(専門医って…何の専門なんだ?先生だって皮膚科医やん?)

そんなことを思いながら、うつむき加減で床を眺める僕。

「大きな病院へ紹介状を書くので質問をいくつかしますよ」

そう言うと先生は、以下のようなことを聞いてきた。
・いつ頭の手術を受けたのか?
・どんな治療を受けたのか?

(なんで、そんなことを聞くんだろう?これは、きっとヤバい…何かあるぞ!すぐに診てもらったほうが良い…)

そんなことを思いながら、素直に質問に答えた僕は、出来上がった紹介状を持って、(その足で)大きな病院へ向かった。


🎯その4 生検パシャパシャ

大きな病院には、30分もかからないで到着。

2階にある皮膚科を受診するため、エレベーターに乗った。大きな鏡に映る自分は心なしか元気がない…

「あれ…辛島君?」

(ありゃ?…)

皮膚科に到着したので受付をしようとしたところ、窓口にいる職員が知り合いだったことに気づく。

(こんなときに…)

「あっ…お久しぶりです。これ」

いつもなら世間話でもしたいところだけど、今はそんな気持ちになれず…愛想笑いを浮かべながら紹介状の入った外来受診ファイルを手渡す。

「辛島さん、中へどうぞ!」

しばらく待合室にいると、診察室に呼ばれた。

先生は女性。皮膚を観察しやすくしているのかな?部屋がまぶしいくらいの照明で、先生も顔がテカテカ光って見える。

「あっ…よろしくお願いします…」

女医先生に診てもらいよん中
女医先生に診てもらいよん中

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

そう言われてから僕の背後に回り、患部を超高性能一眼レフカメラ?(実際見てないから定かではないんだけど)で強烈なフラッシュを焚きながら何枚もパシャパシャ…

その後、椅子に座ってこう言われた。

「出来物がどんなものなのか確実にわかる方法は生検ですので、それを行いたいと思います。今から準備をしますからしばらく待合室でお待ちください。」

「生検・・・ですか?」

「少しだけ調べたい場所を切り取って調べる検査です」

「(マジか…こりゃ職場に電話しとかないけんな…) すいません、トイレに行ってきてもいいですか?」

「どうぞごゆっくり!」

その足で駐車場へ行って、車の中で電話。

「あの~何かえらいことになってしまって…生検っていうのをする必要が出てきたので、今日は一日休ませてください」

本来なら午後から出勤予定だったけど、これから生検っていうのを受けていたら間に合いそうにないと思った僕。

その後、急いで待合室に戻るも、呼ばれる兆しが全くない…

待てど待てど呼ばれることはなく、他の患者さんはどんどんいなくなり、気が付いたら僕一人…時間は午後1時に迫っていた。

(準備に手間取ったというよりは、他患者さんの診察を優先したんやろうな…)

そんなことを思っていると、ようやく診察室に呼ばれた。

「お待たせしました。」 

中へ入ると、先生だけじゃなく看護師さんが数人いる。

(なんでこんなに人がいるのかな?)

ベッドに横向きで寝てください
ベッドに横向きで寝てください

「それでは今から生検をするのでベッドに横向きで寝てください。」

(なるほど…だからか!)

看護師さんに手伝ってもらい車いすからベッドへ…そして左耳が上になるよう横向きの体制をとった。

その後、局所麻酔をして患部の組織を一部採取。

その後、横向きの体制を維持するのに必死で疲れ果てた表情の僕を見て、先生はこう言われた。 

「生検の結果は今すぐにはわかりません。1~2週間後にまた来てください。」 

(マジか…こりゃ結果がわかるまで熟睡できんな…)

ヨワヨワマンの僕は、そう思いながら家路へと車を走らせた。


🎯その5 がっぴょ~~~ん

2017年 (平成29年) 11月下旬 40歳

生検後は、結果が出るまでの2週間、毎日処置(患部を消毒してガーゼ交換)を行う必要があった。

ま~処置と言っても、そんなに複雑なことではないみたいんだけど、後頭部は全くといっていいほど見えないところ。

確実な処置のためには誰かのサポートが必要だろうと思った僕は、いつも週に数回利用しているホームヘルパー(以下:ヘルパー)さんに臨時で毎日来てもらうようお願いすることにした。

ヘルパー…
ヘルパー…

「ガーゼやテープはドラックストアなどで購入してください」

「えっ、そうなんですか?」

先生が必用物品のすべてを処方してくれると思ったら、ガーゼなど医薬品扱いとならないものは自分で購入する必要があるとのこと…

(ガーゼって医薬品じゃないのか~)

仕方がなく、近くのドラックストアへ

「あの~ここの傷をカバーできるくらいのガーゼってないですか?」

「えっ、ええ~!どうしたんですか?そこ…」

グロテスクであろう患部を見て警戒する店員さん。

「ハハハ、たいしたことないですから!」

「そ、そうですか~?えっと…これなどいかがでしょうか?」

勧めてくれたのは、ガーゼが一体型になている絆創膏?。

「これは便利そうなので、患部に合うサイズをお願いします」

「ではこれを・・・」

最も小さいSサイズみたいだ。

「じゃ~それを1箱ください」

家に帰ってから、ヘルパーさんに伝える手順を紙に書くことにした。

「綿棒に消毒液を浸して患部に塗った後に、絆創膏?を貼って保護する」

もしも患部が目に見える場所なら、確実に自分でできることなんだけどね…

ヘルパーさんに手紙をたしなめたおかげなのか?2週間の処置は完璧で、患部が感染するようなことはなかった。

ヘルパーさんありがとう!

さて…

結果を聞きに、再び大きな病院の皮膚科を受診した僕。

(う~…まだ呼ばれんのか…)

今回は予約外来受診なので、前回のように待ち時間が長くなることはないんだけど、結果が早く知りたくて、ほんの少しの時間が待ち遠しくてイライラしてくる…

(ふ~落ち着け…そうだ!行きつけの理容院で聞いた話を思い出そう…そうそう…理容院と美容院の違いってやつ…えっと~カット、髭剃りなど容姿を整えることを理容と言って~パーマなど美容を行うことを美容と言うんやったな。でも最近は、美容院なのに理容行為しているところがあるみたいで、理容師志望の人材が減っているとか…)

そんなことを無理矢理思い出すことで、なんとか平静を保とうとしていた時、ついに診察室からお呼びがかかった。

「お待たせしました!」

僕は意を決して、車いすを漕いで診察室へ…

診察室へ入ると、何か思い詰めたような表情で書類を見つめる女医先生…

(嫌な予感…)

女医先生は、僕の入室がわかると、こちらを向いてこう言われた。

「あっ、お久しぶりです。体調にお変わりないですか?」

「ええ、おかげさまで」

「それは良かったです。…早速ですが、生検の結果です」

「どうでしたでしょうか…」

「出来物は…」

「出来物は?」

「皮膚癌であることが判明しました…」

皮膚癌なのかよ~
皮膚癌なのかよ~

「(がっぴょ~~~ん)皮膚癌…ですか…」 

頭の中は大混乱…

(皮膚癌って…皮膚に出来る癌なんでしょ?ってことは髄芽腫と同じ?)

もしかして、僕はもう死んじゃうとか…


🎯その6 キテイ…なんじゃそれ?

もうダメかもしれない…

もうダメかも…
もうダメかも…

そんな思いでガッツリうなだれる僕を見た女医先生は、何かをつけ足そうと話を続けられる…

「皮膚癌なのは確かですが…」 

(まだなんかあるわけ?皮膚癌なんやろ…ですがもへったくれもね~わ…) 

ひねくれ者の僕はそう思う…

「基底細胞癌ですので、しっかり採ってしまえば大丈夫です!」

「キティ…」?

(なんじゃそれ?)

当時、僕にはそれに対する知識が全くなく、病名を聞いてもチンプンカンプン…

「えっと、それはどういうことでしょうか?」

「基底細胞癌は皮膚癌の一種で、手術で全部採り切れたら完治も期待できます。ただ徐々に大きくなっていきますから、できるだけ早い時期に手術を受けたほうがいいです。入院は前後数日必要なので最短で3日間です。」

(えっ?そんな短期間で退院なの?)

学生の頃に受けた開頭手術時とは明らかに違う…

本当なのかな?

「いつにしますか?」

基底細胞癌の説明も怪しいし、入院期間がそんなに短いわけがないから、どうせ落ち込む僕を安心させる口実(嘘)なんだろうけど、悪いものは早く採ってもらいたいと思った僕。

「では、先生の都合が良い最速の日でお願いします」

「わかりました。それでしたら…私は年内(年末)でも大丈夫ですが…」

「それ(年内)でお願いします。」

「わかりました。本日の診察はこれで終わりです。今日はこの後、血液検査とレントゲンと心電図を済ませて帰ってください。手術時に必要なデータになりますから!」

「わかりました」

「それと、患部の消毒はもう必要ありません」

「わかりました。当日はよろしくお願いいたします。今日はこれで…」

重苦しい何かを背負った感じのまま、看護婦さんから各検査の場所・入院時の説明を聞いた僕は、今後どうなるのかが心配で頭の中はいっぱいだった。

キテイって何?
キテイって何?

(そうだ!電話しないと!)

車に乗り込むや否や、生検結果の報告をするために職場へ電話。

「あっ、お疲れ様です。あの~検査の結果なんですが…残念ながら皮膚癌でした…えっ本当です!冗談ではないです。詳しくは明日出勤したときに…」

職場の人も、驚いたのか?結果を2度聞してくる…

ま~結果が結果だけに、職場の人もびっくりしたんだろうな〜

今の職場は、10年あまりの時間お世話になっているからな〜

いろいろ気にかけてくれる職員さんの顔が浮かぶ…

これから僕はどうなるんやろうか…

ひょっとしたら、今後働くことが出来なくなるかもしれない…

そんな思いで家路についた僕は、消毒でお世話になったヘルパーさんにも同じ報告…

案の定、場の空気が氷のように冷たく静まり返ってしまい、胸が張り裂けそうになったのでありました。


🎯その7 キテイを分析して攻略だ!

帰宅後、ネットで「皮膚癌」に関する情報を集めることにした。 

得意のネット検索だ~
得意のネット検索だ~

ネットでの情報なので、信ぴょう性に欠けるんだけど…

脳頭蓋内にできる腫瘍の総称を脳腫瘍と呼ぶのと同じように、皮膚癌にもいくつかの種類があるみたい。

その一つである基底細胞癌は、日本人に一番多く発生報告のある皮膚癌なんだって!

特徴は、体の細胞をどんどん食べて(骨まで食い尽くす)大きくなることと、転移や再発の可能性はまれだけど「0」ではないことかな。

ただし、癌細胞を手術ですべて採ることができ、経過観察を怠らず、再発や転移がなければ完治も可能

小さな癌細胞であれば、周囲に余裕を持って切除後に、周囲の皮膚をより合わせることができるけど、大きい場合は皮膚移植が必要となるみたい。

その場合はどこから皮膚を使うのか?…

移植に必要な皮膚探し?が課題になりそう…

また、再発や転移を繰り返せば、たとえ小さな癌細胞であっても、手術による体への負担はあるだろうし、万が一皮膚移植が必要な場合は、患部以外の場所に傷が残ってしまうことになるし、使う皮膚がなくなってくるのかも?


ってことは~初回の手術がカギってことかな?

基底細胞癌は皮膚癌ではあるけれど、最初の手術でしっかり採ってもらって、術後の自己管理や外来受診を怠らず、転移や再発しないよう十分向き合えるなら、完治も十分にありうる!(できれば癌細胞が小さいときに発見できれば、皮膚移植の可能性が減るみたい)」

また、検索中によく出てきたワードの「皮膚腫瘍科

調べてみると、皮膚癌など大掛かりな外科処置(手術など)が可能な皮膚科みたい

そういえば、大きな病院の皮膚科にも「皮膚科・皮膚腫瘍科」って書かれていたな~



(そうか、わかったぞ!…かかりつけ医が紹介状を書いてくれた時に、専門医に診てもらって…と言われていたのは、一般皮膚科であるここでは手術ができないため、皮膚腫瘍科のある大きな病院の医師に診てもらい今後の対応(手術など)を決めてもらってほしいということだったわけか~

決して診たくなかったわけではなかった…

知識が増えてくれば来るほど、見方(捉え方?向き合い方?)が変わってくるものやね!

よし! これである程度、基底細胞癌のことがわかってきた!

何もわからなかったころに比べたら、どっしりと構えられるようになってきたぞ~

基底細胞癌よ、かかってきなさい!
基底細胞癌よ、かかってきなさい!

🎯その8 出陣前にもう一度!

2017年 (平成29年) 12月中旬 40歳

入院日が迫ってきた。

森先生と、かかりつけの皮膚科医と、理容師さんに、手術が決まったことを報告。

まず、森先生の脳神経外科外来では、急に手術が決まったことに驚かれた様子ではあったけど、紹介状?(執刀医へ宛てた、よろしくお願いしますって感じの手紙)をしたためてくれた!

これを渡してください
これを渡してください

✅森先生について、よく分からない人は以下を参照ください。

そして、かかりつけ医からは、「あなたの執刀医は県内唯一と言って良い皮膚腫瘍などの手術ができる大変優秀な医師だから安心して!」と言われた。

それから、理髪店では、報告と併せてスキンヘッドにしてもらった!

これは手術のため、執刀医からしなさいと言われていたわけではなくて、気合を入れるため…

ところが…

「う~ん、ここら辺はうまく通らないですね~」

長年苦しむ脂漏性湿疹のため、地肌にガムをネチャっと練りつけたような瘡蓋が広範囲にへばりついていて、うまくバリカンで刈り上げることができないみたい。

「バリカンではなく、ハサミでできるところまで短くしますね!」

理容師さんが機転を利かせてくれたおかげで、完全なスキンヘッドまでは行けなかったけど、何とか、8ミリ程度の長さになった。

その時に、大収穫があった!

「ハサミを使う前ですけどね。バリカンを瘡蓋の下から押し上げるように動かすと、若干浮いたように思いました。もしかしたら取れるんじゃないかと思いましたが、怖いので止めておきました」

(下から押し上げたら浮いた?)

帰宅後、鏡を使って後頭部にある瘡蓋を、ジワジワと下から押し上げてみる。ホントだ!なんとなくだけど…浮いてきたぞ…理容師さんの言う通りだ!

そこで、温かいお湯で濡らしたタオルを瘡蓋の上に置いてしばらく放置。十分にふやかした後、ワセリンのようなぬるぬるした塗り薬(ケトコナゾール:クリーム)を、ちょっぴり指に付けてから、慎重に…ジワジワ押し上げること30分…

「ポロリ…」

後ろの床に何か落ちた…あれっ?後頭部にあった塊がないぞ…ってことは床に落ちたのって…

(とっ…取れたの?)

もう何年もべったりとくっついていた瘡蓋…

それが…やっとだ!

お~長年悩んでいた瘡蓋が取れた!
お~長年悩んでいた瘡蓋が取れた!

というわけで…

手術前に、もう一度3人にお会いでき、瘡蓋も取ることができた僕…

入院前の明るいニュースになったぞ~


🎯その9 僕のって大きいんですか?

2017年 (平成29年) 12月下旬 40歳 

入院初日(手術前日)

最短で3日間と言っていたけど、余裕をもって1週間分くらいの荷物を準備した僕。(だって、何が起こるかわからないでしょ?)

神経因性膀胱対策で24時間お世話になているオムツは大きなバック1袋分!

そのほかの荷物と合わせると、入院するための荷物は大きなバック2袋になってしまった。

入院患者の駐車場利用は不可なため、リフトタクシーに乗っていざ出陣。

リフトタクシーで行く僕
リフトタクシーで行く僕

大きな病院に着いたら、入院受付で必要書類を記入して待機。しばらくしたら病棟看護師さんが迎えに来てくれた。荷物を持ってもらい病棟へ行くと、担当看護師さんが入院についてのエトセトラを教えてくれる。

血液検査や、手術に必要な事前検査のほとんどは、生検結果を聞きに行った当日に済ませていたので、今日は体重を測ったくらい…と言っても、車いすマンは健常な人が起立して測る体重計は使えない

その体重計のあるところに行ったら、まず僕は近くの椅子に移乗して「車いすのみで計測」後、今度は「僕も乗った状態で計測」

看護師さんが両方のデータをメモしていて、「僕も乗った状態で計測したデータ」から「車いすのみで計測したデータ」を差し引く

すると、ようやく僕の現体重が判明するいう…「時間のかかる大仕事

その後、担当看護師さんが手術のスケジュールを教えてくれた。

・明日の午前11時頃から持続点滴を開始
・昼食のみ絶食(朝・夕食は摂取可能)
・午後一番に手術室へ 
・術後は指示があるまで横向き(仰向けはダメ)
・ただ、座位はきつくなけばOK
・持続点滴は夕方ごろまで(その後は内服薬のみ)
・夕食は点滴につながったままで摂取かも 
などなど…

一通り話を聞いた後、患部を診てもらって質問した僕…

「あの~質問なんですが、僕のって大きいんですか?」

大きくもないけど小さくもない
大きくもないけど小さくもない

「う~ん…大きくもないけど…小さくもないかな~」

(じゃ~…皮膚移植かも?…できれば患部以外にメスが入るのは避けたいんだけどな~)

そんなことを思っていると、病室に女医先生が来られた。

「ちょっと患部を診せてくださいね~」

そう言われてから僕の背後に回り、患部両側の皮膚を手のひらで寄せるような仕草を何度かした後にこう言われた。

手術は横向きの体位(左耳を上にした状態)になり局所麻酔下で約1時間の予定です。できれば摘出後、周辺の皮膚を寄り合わせて縫合したいのですが、できなければお尻とか…肉が厚いとこから皮膚移植する予定です。」

僕の皮膚癌が微妙な大きさみたいで、摘出後に周辺の皮膚を寄り合わせるのか?皮膚移植をするのか?すごく迷われているように見える…

僕は、もちろん皮膚移植は嫌だけど、再発や転移はもっと嫌だ!今後のことを重要視してどちらにするのか決めてほしいな~


🎯その10 いよいよ手術台へ…あれ?2人いる…

「点滴を刺すまでに、これに着替えておいてくださいね!」

手術当日の朝、病室にやってきた看護師さんが、緑色の服を持ってきてそう言われた。

(あ~手術着ね…)

医療者が作業しやすいよう前開きなんだけど、僕にはサイズが合っていないのか?「夜道に出没する露出狂の変態おじさんが纏うコート?」みたいでかなり大きい。

「点滴は何時からなんですか?」

「う~ん、午前中には開始しますが…お昼ご飯前くらいかな?正確にはまだわからないです」

まだ…という理由は~

手術は1日に数名の患者さんを順番に行うみたいで、一応の予定時間っていうのはあるみたいなんだけど、やってみないと分からないところもあるだろうから、僕よりも前の患者さんが予定取りに手術が終わらない場合は、僕の手術開始時がどんどん遅れてしまう

点滴は、手術開始時刻に合わせ逆算して開始する必要があるから、僕の出番が正確に分かった時点でないと開始できないみたい。

学生の頃に受けた開頭手術時は9時前には病室を出発していたはずだから、まさに雲仙の差

(仕方がないのかもな…)

「わかりました…」

渋々と手術着を着て待っていると、10時過ぎに看護師さんが病室にやってきた。

「ようやく手術室から13時から始めると連絡がありましたので、点滴を入れにきました!」

「あ〜そうですか…ではよろしくお願いします」

点滴を入れられてからは、昼食が絶食だから何もやることがない。横になっても眠くはないし…考えるのは、マイナス思考のことばかり

「おまたせしました。今から行きましょう!」

そう言いながら、ストレッチャー(寝台車)を押して病室にやってきた看護師さん。(一人しかいない)

「えっ、それに乗り移るのってどうすればいいんですか?」

「あっ…もしかして立てないとか?」

てっきり僕が歩けると思っていた看護師さん。

いつもの状態でも無理なんだけど、片手に針が入っている状態で、ベッドからストレッチャー(寝台車)まで歩いて行って寝転がるなんて大技は出来ない…

「誰かを呼んできますから…」

そう言って病室を出ようとする看護師さんの目の前に現れたのは、たまたま面会に来た父親。

そのおかげでなんとか移乗できた僕は、地下にある手術室へ。

手術室には、大液晶画面(モニター?)が壁に設置されていて、ストレッチャーはその隣で止まった。(僕を挟んで大画面と手術台がある状態

手術室の様子
手術室の様子

部屋には執刀医の女医先生と数名の助手らしき人と…あれっ?…外来受診にもいた男性皮膚科医

(なんで?女医先生だけじゃダメなんだろう?)

男性皮膚科医の存在が気になって仕方がない僕。

そんなことを思っていると、スタッフ全員が僕の周りにやってきた。

「それじゃ~手術台へ移りますよ~せ~の~!」 

ストレッチャーに横たわる僕の下に座布団みたいなの挟んでから、スタッフ全員で手術台ヘスライドさせるように移乗。

「今度は横向きになりますよ~せ~の~!」

手術台に仰向けになったてる状態から、今度は左耳を上にした状態(横向き)に体位変更。

手術台はプニュプニュしていて、体にフィットするから姿勢を維持しやすい! 

(あれっ?)

僕の目の前にある大液晶画面を見ていたら、画面を遮るように目の前に女性がやってきた。

(手術室の看護師さん?画面に何か見せたくないのが映るのかな?)

彼女の存在がよくわからない

「それじゃ~開始しますよ~」

目の前の女性の存在が気になっていた時、後頭部側から声がした…

(先生の声だ!ってことは…いよいよスタートや!)

大液晶画面近くにある、手術時間をカウントする時計?キッチンタイマーの巨大化したやつ?が「0」から「1」・「2」と秒刻みに表示され始める…

後頭部を消毒綿か何かで拭いたのはわかったけど、その後は…局所麻酔をしたのか…よくわからない。ただ、全身麻酔と違って先生の声は聞こえるのは別の意味で痛いかも

「ドカドカバキバキ!」

後頭部から、ものすごい音と振動…痛いわけではないんだけど、かなり動揺してお目々ぱっちり状態な僕… 

(ちょ…ちょ…ちょっと激しすぎやない?大丈夫なのかな?…)

瞬きする余裕なんてないから、目の前にいる女性をずっと見つめていたところ、彼女は僕の左肩に手を添えてきて、穏やかな表情でずっと見つめてくれているのに気が付く。

(あっ…なるほど~彼女の役目がわかったぞ!精神面のフォロー役だったのか…)

それが正解なのかはわからないけど、局所麻酔には必要な存在なのかも

(おやっ?)

同時進行開始で~す
同時進行開始で~す

後頭部とは違う場所でモサモサモサ…何やら動きが始まった気がする…

左足の太もも?

今からこっちでも処置を始めますよ~

(男性の声…ってことは、あの男性皮膚科医かな…そっちで処置するって、どういうこと?僕の皮膚癌は後頭部なのに…)

(あらっ…そこに注射をされた気が…ってことは、局所麻酔?なんで?もしかして…皮膚移植?)

注射をされたところまではわかったけど、後頭部と同じく…後はよくわからない。

結局、頭部は女医先生・太ももは男性医による「手術の同時進行」が始まったわけで…

そして数十分後、女医先生の声。

「終わりましたよ~えっと~退院日ですが…いつ帰りますか?来週にします~?」

(えっ?終わったばっかりなのに退院日を決めろっていうのか…こっちはそれどころじゃないって…)

一瞬そう思ったんだけど、社会復帰を考えたら早期退院の方がいいのは間違いないから…

「え~と…それじゃ~帰れる最短の日で!」

「わかりした、決まったらお伝えします」

というわけで手術は終了…僕はしばらく安静後に病室へ戻った。

学生のころ受けた開頭手術とは、えらい違いだな…


🎯その11 拍子抜けのことばかりだな…


「髄芽腫の5年生存率」から考えて、10~20代のうちに再び脳外科的な手術が長い時間かかって行われるんじゃないか
と気が気でなかった僕。

それが、あれ以来の手術は20年以上経過した40代で、脳ではなく皮膚であり、それも比べられないくらいの速さや過程?…

(予想していたのと全然違うやん…)

ストレッチャー?病室のベッド?に寝た状態で病室へ戻りながら、ちょっぴり拍子抜けする僕。

そもそも、今(手術直後)の時点で意識があること自体、僕には腑に落ちないこと…

(ま〜悪い方に想定外ではないからいいけどさ…)

「点滴は外せないけど…これからどうします~?」

しばらく病室で安静にしていると、看護師さんがやってきて僕にそんなことを言われた。

「えっ、寝ていなくていいんですか?」

「ええ、きつくなければですが…」

「それなら…」

ずっと横になっている必要はないのなら、車いすに座っているほうがマシだと思った僕。

(あっそういえば…)

起き上がって初めて気が付いたんだけど、手術した場所は後頭部なのに、今まで仰向けで寝ていた

疑問に思った僕は、看護師さんに急いで質問!

「えっと…今まで仰向けで寝ていたんですけど、大丈夫なんですか?」 

後頭部から出血しないのかな?
後頭部から出血しないのかな?

「えっ…あ~大丈夫ですよ!」

看護師さんが言うには、後頭部全体をカバーするほど大きな絆創膏?で頑丈に保護されているみたいで、仰向きで寝てもOKなんだとか…

(そうは言うけどさ~…)

いくら頑丈に保護してるとはいえ…やっぱり怖い!

寝ること自体が怖くなった…

消灯まではベッドに座っていることに決めた…

後頭部を枕に付けるのは…もう怖くなった
後頭部を枕に付けるのは…もう怖くなった

「そろそろ抜きますね!」

午後8時くらいになって、病室に看護師さんがやってきて、ずっと入っていた点滴を抜いてくれた。

ようやく解放された気分だ! 

その後すぐに訪れた消灯時間は、横になるのが怖くて仕方がなかったけど、手術で突かれていたのかな?結局は睡魔を我慢することができず、横向きで寝ることにしたのでありました…

めでたしめでたし?


🎯その12 がっつり取ったど~


手術の翌日。

「昨日はお疲れ様でした。」

そう言われながら、執刀医の女医先生が病室にやってきた。

「昨日の手術ってどういった内容だったのですか?」

「そうですね…🚑⚡️🎃🌸😊でしたよ!」



「へ〜そうだったんですか〜…」



正直なところ、ほとんど理解できなかったアホ。

後程じっくり時間をかけて振り返って整理してみたところ~

手術(執刀)時間は30分弱くらいで、皮膚癌を切除するときに、周囲を1センチくらい余裕を持って切除。そこを周囲の皮膚で寄り合わせせることができなかったため、左足の太ももにあった皮膚を移植した

というわけでありまして、皮膚癌のサイズ以上に「がっつり」えぐり採られちゃった

「太ももを診せてください」

女医先生が来られた目的は、移植するための皮膚を採った左足の太ももを処置するためだったみたいで、ベッド周囲のカーテンレールをシャ〜と閉めると、患部を見せるようそう言われた。

「ひょえ~超グロテスク〜」

その時に、僕も術後初めて見ることになった患部は、親指くらいの長さの傷跡がザックリ残っていて、両端の皮膚を寄り合わせて黒い糸で縫い合わされている。(後頭部の患部は目視できないけど、そこは丸わかり…)

「うん、良いですね!」

失神寸前の僕とは違って、女医先生は冷静沈着!

そこをしっかりと消毒してから、周辺を広くカバーする大きさの防水透明フィルムを貼ってくれた。

「これで、首から下はシャワーを浴びてもいいですよ!それと、退院は明日で、数日後と年明け早々に外来受診に来てくださいね!その後は今のところ未定です」 

(マジで?明日退院?まだ後頭部の患部を一度も診ていないのに…)

「明日ですか…早いんですね…だ…大丈夫なのかな…」

頭はまだダメ〜シャワーは首から下!
頭はまだダメ〜シャワーは首から下!

「大丈夫です。ただし、くれぐれもシャワーは首から下ですよ!頭部は濡らさないでくださいね」 

(そうは言うけどさ~首から下のシャワーでも、誤ってシャワーのお湯が患部にかかったらどうするんよ…怖くて浴びれんわ…)

「わ…わかりました。ところで後頭部(患部)は…」

外来で診ていきます。あと、それ似合っていますよ!
 
「えっ?なにが…です?」 

被っている帽子です」

「あ~これの事ですか…」

帽子というのは、後頭部の患部を隠すために持ってきた「華美じゃなくって、病院でも職場でも被れそうなニット帽」

学生のころに受けた開頭手術後に、看護師さんが作ってくれたものを思い出して、格安のものを数枚購入して荷物に忍ばせていたんよ~!

「えっと、これを被ると、患部の保護になるし、見た目も少しマシになるのかと思いまして…」

「私も、術後はどうされるのか気になっていましたが、そうすると目立たなくなりますから良かったです」

「ありがとうございます!なるべく被るよう心がけます。」 

女医先生は処置が済むと病室から出ていかれた。僕は、帽子を被ったまま病室から食堂へ…明日のリフトタクシーを予約するため電話をかけるのでありました。


🎯その13 因果関係があるのかも・・・

あれよあれよという間に、退院日を迎えてしまった。(2泊3日)

入院から手術、そして退院までの流れが、学生のころ受けた開頭手術とはかけ離れていて浦島太郎のような状態

おまけに、点滴が外れてからは、数種類の内服薬のみになっている。(それも処方分を飲みきったら服薬終了…)

そして、患部を女医先生はまだ一度も診られていない

それで退院と言われてもな…

(そんなことでいいのかよ~~~~~~!)

本当に大丈夫なのか不安で叫びたくなる…

僕が、患部を確認できたらまだしも、場所は後頭部だし、そもそも大きな絆創膏で覆われているわけで…

(ま~いろいろ考えすぎるのも良くないかな…)

そう思った僕は、リフトタクシーが来るまでに、支払いを済ませることにした。

病院玄関で彼女を連れた車いすの友人に会った…
病院玄関で彼女を連れた車いすの友人に会った…

ところが…

「あの~今から支払いってできますか?」

「今日は平日じゃないからできないよ~」

(が~ん…) 

「そ、そうなんですか…」

「ええ、またすぐに外来受診されるみたいですから、その時にお願いします」

「わかりました」

そんなやり取りをしていると、予約していたリフトタクシーが到着。

トランクからスロープが出てくるよ~
トランクからスロープが出てくるよ~

「それでは短い間でしたけど、お世話になりました!」

僕は荷物をまとめ、医療スタッフにお礼を言うと、病院から家路へ向かった。

退院だ!やっぱりうれしいな~


ただ、気になるんだよな〜

今回後頭部の脱毛部分に出来た皮膚癌

なぜ脱毛部分なのか?

それも手術創の付近



もしかして…

脳腫瘍(髄芽腫)の開頭手術と何か関係性があるのかも!

今の時点では確実なことはわからないんだけど

ありえる・・・

原因究明も今後の課題みたいだな。


🎯その14 診たの?見ただけなの?

2017年 (平成29年) 12月下旬 40歳 

「今から剝ぐから髪の毛が一緒に抜けるかも…ごめんなさいね〜」

退院から数日後の初外来受診時、すっかり顔馴染みになった看護師さんがそんなことを言われながら、後頭部をカバーしている大きな絆創膏?をベリベリと剥いで、処置(消毒をしたり?拭いたり?)をしてくれた。 

処置中の様子
処置中の様子

「あ〜お構いなく!元々ほとんどないから一気にベリッと行ってください!…あっ、僕ってハゲではないんですよ!治療の影響で脱毛しちゃっているわけで〜ま~似たようなもんですけど…それより…良くなっていますか?」 

そろ~りと聞く僕。 

「いや~まだまだかかるよ~?」 

慣れた手つきで処置をしながら、ハキハキと答えてくれる看護師さん。

(ま~仕方がないな…まだ術後数日しか経っていないんだし…ところで…今の患部ってどん状態なんやろ?…見たら気絶するくらい気持ち悪いのかな…ヨワヨワマンだから見ない方がいいかも…患部が安易に確認できない後頭部で良かったのかもしれないな~)

そんなことを思っていると、女医先生がやってきた。

「退院してから調子はいかがですか?」

「おかげさまで、変わりないです」

「それは良かったです!」

(パチッパチ!…パチッパチ!)

(何だあの音?)

患部のところでパチッパチと音がする…気のせいなのかな?

「え~っと…良いですね!」

先生は、後頭部側でそんなことを言われると、前方のデスクに戻って腰を下ろした。

「(えっ…もう終わり?)あの~太ももの傷は…」 

「あ~…それじゃ~車いすに座ったままで良いので、患部が見えるようにしてください」 

「えっ、脱がなくてもいいのですか?」

「ええ、構いません」

(おいおい…それじゃ~処置とかできないんじゃないのかな…)

そう思いながらファスナーを下ろして、患部がなんとなく見えるようにする僕。

「こ、こうですか?」

「え~っと…良いですね!」

(えっ…終わり?一瞬チラッと見ただけやん?消毒とかテープの貼り替えとか…なんかしなくていいのかな?ねえ、どうなのよ〜)

目力でそんな無言の訴えをしたんだけど、女医先生には届かなかったみたいで…

「今日は、(後頭部全体をカバーする大きな絆創膏ではなく)患部周囲だけをカバーする絆創膏を貼っています。不安があるかもしれませんが、これまでと同じように仰向けで寝ても大丈夫です。それでは年明けにまた来てください。」 

「わ、わかりました」

というわけで、僕が「期待していたような処置?」は行われないまま診察終了… 

(この状態?で年越しで良いのかな…)

今のままでは、気持ちよく年越しなんて出来ない気がするんだけどな~


🎯その15 あの音は・・・きっとアレだ!

2018年 (平成30年) 1月初旬 40歳 
 
新年早々の外来受診 

前回(年末)の外来受診から、まだ1週間ほどしか経過していないんだけど、僕としては途方もない時間があって待ちくたびれた感じだ。

先生が診察する前に、まずは患部をカバーしている小さな絆創膏?を看護師さんがベリベリと剥いでから、処置(消毒をしたり?拭いたり?)をしてくれた。 

「あの~どうです?」

患部の経過がどうなのかを聞く僕。

「う~ん…前回よりは良いけど…もう少しかな~」

(そうか…だったらまだまだかかりそうだな)

そんなことを思っていると、女医先生がやってきた。

「こんにちは!良い年越しが出来ましたか?」

「ええ、おかげさまで!」

「それは良かったです。(パチッパチ!…パチッパチ!)

まただ…

前回同様…患部のところからあの音が聞こえてくる…

(この音は、多分スキンステープラーだ!)

実は、前回の受診後、音の原因になりそうなことをネットで調べていた僕

スキンステープラーってのは医療用のホッチキスのこと

おそらく…患部は糸で縫合したんじゃなくて、ホッチキスのような金属針?でパチリってしたんじゃないかな~

だから前回と今回の外来受診時に、抜糸というのか?抜針というのか?それをするときに、パチッパチと音がしていたんだと思う。

「え~っと…良いですね!それじゃ~太ももの方を診せてください。」 

「あっ!わかりました」

そう言って車いすに座ったままファスナーを下げようとしたところ…

今日は診察台(ベッド)に横向きで寝てください。」 

前と違うやん…
前と違うやん…

(前回は、車いすに座ったままで良いって言われたのに…) 

そう思いながら、診察台に横向きで寝る僕。

「それじゃ~チクっとしますよ~」 

先生はそう言われると、まず防水透明ファイル?をベリベリと剥いだ。

(ぬお~痛い…チクっとじゃないよ~これ…) 

太ももの毛も一緒にテープにくっついてサヨウナラ~だから、何かの罰ゲームを受けている気分だ。

「では、残りを採りますね!」

そう言われながら、周辺を消毒し残りの抜糸を始める女医先生。 

(ぬお~痛くはないけど…変な感じだ…アッアッアッって?…) 

抜糸後、恐る恐る傷跡を確認すると、糸が入っていたところが、所々陥没して穴が開いているように見える

「太ももの傷は完全に塞がっていますので、(防水ファイルも何もしていませんが)今日から湯舟に浸かって良いです」

(そうは言われますけど…湯船に浸かるとかできませんよ~)

そんなことをしたら、そこから水が入ってきてどうかなりそうで、(医学的に問題はないのかもだけど)ヨワヨワマンの僕には入浴する勇気が出てこない。

そんなことを思っていると、女医先生の話はまだ続いていて…

頭の患部は前回と同じ、周囲だけをカバーする絆創膏を貼っていますが、もう濡れても問題ないですので、絆創膏を外してシャワーやシャンプーも可能です。その後に軟膏を塗った新しい絆創膏を貼ってください。絆創膏は濡れた時はその都度、そうでなくとも2~3日に一度くら張替えをしてください…あっ!絆創膏には軟膏を十分つけてくださいね。」

「わ、わかりました。それっていつまでですか?」

「まずは、次回外来受診までお願いします。その後どうするかはその時の状態で決めます。それでは(次回外来受診の)年明け早々にお越しください」

「わかりました」

帰宅後…後頭部の貼替え作業を自分でするのは無理だと分かっている僕は、生検後の処置と同じく、ヘルパーさんにお願いすることにした。

また、頭部のシャワーやシャンプーはとてもじゃないけどできない小心者の僕は、その時に頭部全体の清拭も併せてお願いすることに…

さて…僕は無事に次回外来受診日を迎えることができるのか?


🎯その16 怖いけど~ドバドバ加齢臭を阻止しなくちゃいけないからな・・・

後頭部の貼替え作業と頭部全体の清拭を嫌な顔一つせず、毎日サポートしてくれたヘルパーさん。

おかげで、何事もなく次回外来受診を迎えることができた。(特に問題なし)

これって、僕の力だけでは達成することが難しかったことだから、改めてヘルパーさんのありがたみを感じたな~

ヘルパーさん…いつもサポートありがとうございま~す!

さてさて…

少し話が逸れちゃうんだけど、体の清潔を保つということが地味なのかもしれないんだけど難しくなっていた僕。

いや…難しいわけではなく、そうする勇気がなくて難しくしていたわけ…

ヨワヨワマンの僕は、蚤の心臓なもので…

すべてのことに対して、怖くなってしまい躊躇してしまう…

太ももの傷もそうだ…

すでに抜糸が完全に済んで防水ファイルも貼らなくてよくなっているし、後頭部の患部だって、シャワーもOKと言われているんだから、湯船にザブ~んと浸かってガンガン洗いまくればいいんだけどね…

清拭しかできない

上半身も結局シャワーが怖くて清拭…

ということで、体全体シャワーなんてできなくて清拭…

やり方だけど…

まずは、上半身裸(後頭部の絆創膏は貼りついたまま)で洗面台へ行くんよ~

それから洗面器にお湯を溜め、タオルを投入。軽く絞ってから、顔を洗って拭いて~そのあと上半身を拭く。

それから頭。

まず、水滴が一滴でも後頭部に流れちゃうのを阻止するため、タオルをこれでもかというほど絞る。それでも、ほとんど後頭部は触らず目視できる範囲だけさらりと拭く(じゃ~絞りまくる必要があるのか?)

下半身・陰部等は、何枚かの温かいタオルをレンジでチンして、トイレに持っていき、便座に座って清拭

タオルはレンジで2分くらいチン!
タオルはレンジで2分くらいチン!

ま~それって時間と手間がかかるんだけど、単身で生活している僕は、「自分で確実に対応できる」って自信みたいなんがないと安心できないから、シャワーやシャンプーするよりも心理的に?マシなんだよ~ん!

そうなんだけどね…

正直なところ…

清拭だけでは限界がある!

どうする?
どうする?

そう思い始めたころ、未遂事故?が起きてしまう。

それは、便座に座った状態で下半身を拭いていた時のこと

(あ~もっと足先やお尻を拭きたいな~)

そう思って、通常とらない無理な体勢?をとっていたところ…

「(あれ?あら…おっ…とっとととと…)ぐわ~~~~~!」

(がっしゃ~ん!)

バランスを崩した僕は便座から床に転倒

幸い怪我はなかったんだけど、地面から車いすに這い上がるのは至難の業だし、そもそも便座での清拭は、かなり危険を伴うと実感! 

(だけど、清拭を止めたら…)

今は年間で最も寒いと言っていい時期だからまだしも、真夏だとどうなる? 

「やだ~辛島さんって臭いしキモ~い」

ま~キモいは余計かもだけど、加齢臭がドバドバ出て、クラクラするほどの悪臭を放ち、他人に迷惑かけるのは目に見えている…

加えて、汚れが溜まって、体中いろんな病気にかかっちゃうかもしれない。

(仕方がない…行くか…)

意を決した僕は浴室へ行き、首から下にシャワーわかけることにした

まずは両膝下に…

(恐る恐る)チョロチョロ~

「おっ!やっぱ~気持ちがいいな~」

徐々に膝から上にもかけてみる…

「いいねいいね~気持ちいいね~」

だけど、左太ももにかける勇気が出てこない

(うぬぬぬぬ…ひるむな!これは絶対に負けられない戦い?なんだ!)

「どりゃ~~~!」

「お~何ともないぞ~…いや、気持ちがいいぞ~」

「よっしゃ~!これなら今後はシャワーで行けそうだ!」

というわけで、首から下のシャワー浴ができるようになった僕。それでも上半身はいまだに洗面所

果たして、僕はどうなってしまうのか~


🎯その17 殺人未遂の犯人は、命の恩人だった・・・

2018年 (平成30年) 1月下旬 40歳

年始の外来受診から約2週間後の再来日がやってきた。

女医先生に言われた通り、絆創膏の貼り替えは欠かさなかったし、シャンプーする勇気はなかったんだけど、体の清潔も保ってきたつもり…

(どうかな…良い方向に行っていたらいいけどな…)

「診察室へどうぞ~」

(よしよし!もう呼ばれちゃったぞ~)

今回は予約外来(時間指定)受診だから、待ち時間がほとんどなく呼ばれてご満悦な僕。

「失礼します、今日あひょろ市区お願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

そう言われてから、僕の背後に回り患部を入念にチェックする女医先生。

「うん、良いですね!頭の傷は完全に塞がっています。今後は軟膏を塗った絆創膏を貼る必要はありません。」

「えっ…そうなんですか…(大丈夫なのかな?)それじゃ~薬を塗ったり飲んだりすることが全くなくなるんですか?」

「ええ、そうです」

「そ、そうですか…え~と、それじゃ~…足の傷跡は?」

「もちろん、今まで通り何もする必要はありません」

「そ、そうですよね…じゃ~今の状態からどれくらい改善するものですか?」

「う~ん…時間の経過で少し薄くなっていくのですが…全くなくなることはないでしょう!」

「そうですか…仕方ないです…」

「あっ…じゃ~これ(常に被っている医療用帽子)は?」

「もう絆創膏を貼る必要はないので被らなくてもいいとは思います」

「でも、脱毛部分は特に…紫外線とかあまりよくないんじゃないかな~って思うんですが…」

「あなたが気にされている紫外線も、蓄積されると皮膚癌の可能性は高くなりますが、年齢的に考えて、後頭部に出来た基底細胞癌は、おそらく放射線治療を受けた影響から来ているものではないかと考えています」

(えっ?)

「放射線…ですか?」

「ええ」

「えっ…とですね…それって、いわゆる放射線の蓄積によるものってやつですか?」

「ええ、そうなります」

「そ、そうですか…」

後頭部皮膚癌の発生原因は、治療のために蓄積された高い放射線量が原因なのかも?

それは仮設であって、確定したわけじゃないけど、その可能性は大いにありそうな気がして途方に暮れる僕。

その理由は以下に少し詳しく書くとして…ここでは「放射線は諸刃の剣」だから

学生のころに受けた開頭手術で、腫瘍の摘出は全て散り除くことができたんだけど、腫瘍が悪性の髄芽腫だっため、根治治療というのか?その後に抗癌剤治療と放射線を頭部と脊髄に照射された僕。

悪性腫瘍の仕組みは生卵、良性腫瘍はゆで卵のようなものだと思っています。詳しくは、「僕と脳腫瘍」 を参照してください

特に放射線治療は、体力的にも精神的にも非常に苦しかった

あれよあれよという間に、頭部全体の髪と眉毛がなくなり
食欲が次第に低下して、最後にはまったくなくなり
それなのに、日に何度も嘔吐する

脳腫瘍(髄芽腫)があった小脳付近には、後頭部から開頭して摘出手術が行われたからだろう…後頭部は照射された線量が最も高く、今でも広範囲が脱毛状態

なぜ脱毛状態なのか?

またいつか詳しく説明する機会を作れたらと思うんだけど、癌細胞に対して放射線は治療として有効なのに、人体(正常な細胞)には必ずしも良いものではないから…(正常な細胞である毛根にも照射してしまったから)

そこから、頭皮(特に高い放射線量の後頭部)に悪影響を及ぼした放射線が皮膚癌を誘発した可能性もありうると思ったんよ!

ま~それって残念なことではあるんだけど、悪性度が高い髄芽腫を、出来るだけ長い時間再発させないためには、放射線治療がなければ難しいだろうから、それを恐れて照射しないという選択肢はなかったと思うし、髄芽腫があった場所へ確実に照射するためには、当時の技術では仕方がなかったのかもしれない。

それに、主目的である「髄芽腫があった場所への確実な照射」が間違いなく行われたから、オジサンになった今も、僕はこの世に存在しているわけで

だからさ~

僕にとって、「命の恩人」

そんな放射線を、決して悪者扱いには出来ないんだよな~

ただ、「後頭部皮膚癌の発生原因の大きな1つ」として、今の僕を苦しめているのは確かであって

それって、何て言うのかな…

テレビアニメを見ているとき、みんなに愛されているヒーローが、突然悪の組織と仲間になって悪いことをし始めた瞬間っていうのかな?

(君は僕らのヒーローだったのに、何でそんなことするんだよ~)

そういう残念って言うのか?無念というのか?落胆って言うのか?

とっても複雑な気分だ…

(おっと、いろいろ考え事をして黙っていたから、女医先生が不思議そうな目でこっちを見ているぞ…)

「それでは…他に質問がないようですので、今日はこれで終わりです。後頭部の患部も、太ももの傷跡も、入浴に限らず通常生活に何ら制限はありませんので、何をされても構いませんからね」

「えっ…何もかもナシ…ですか?」

「ええ」

「そ、そうですか…」

「あとは…次回の受診ですが、一年後に来てください!それまでは特に何もありません。

(えっ…)

え~~~~!いっいっいっ一年後ですか~~~?

「ええ、あなたは、かかりつけの皮膚科に定期外来受診されていますので、今後は何かあれば紹介状を書いてもらってください」

「そ、そうですか…」

大きな病院は、地域のかかりつけ医の紹介状がなけれな基本的に受診できないことは知っている。でも、術後しばらくは、週に一回くらいのペースで受診できるものと思っていたんだけどな…

・・・

薬も治療も、執刀医の診察もない

今後、僕は大丈夫なんだろうか?

「でもですよ…やっぱり…」

まさかの展開にシドロモドロになる僕…

そこに追い打ちをかけるかのように女医先生の一言が!

「あとですね、再診は一年後ですが、今後5年くらいは経過観察していきたいと考えています」

「えっ…5年もですか…」

先生が5年診たいということは、そのくらいの期間は再発に要注意ということなんだろう…

「わかりました。それでは一年後に…失礼します」

いろいろなことが想定外であって、よく整理ができない状態…

これからは必ず前途多難になるだろう。

そこだけは、確信した僕でありました…


🎯その18 僕が思いついた、後頭部皮膚癌発生に対する「ある作戦」

(厄介なことになったな…)

放射線の蓄積が後頭部皮膚癌の発生原因かもしれないということは、今後が僕にとって非常に厳しい時間となるということ。

なぜなら…

すでに蓄積されている放射線量を今から除去することはできないことから、今回の件を5年間再発なしで切り抜けることができたとても、新たな皮膚癌が後頭部のどこかで発生することは十分に考えられるし、それを予防することは不可能だから…

じゃ~僕は一体どうすればいいのか?

(そうだ!)

悩んだ末に出した答えは「タブレット作戦」だった。

後頭部皮膚癌を発生させない術は、今の僕には思いつかない。それならば、出た杭をできる限り早く打つしかない

言い換ええれば、早期発見早期治療

まだ小さい段階で皮膚癌を切除していくことが、今の僕が考える最も有効な方法!

もちろん、手術は怖いけど、小さいうちなら皮膚移植はないだろうし、回復も早いに違いない。(皮膚移植が必要な大きさになって見つかった1回目のような状態は、なんとしても避けないといけない

そうすることで、QOLを落とすことなく、僕が考える自立した生活に挑戦し続けていけるんじゃないかな?

(迷っている暇はないぞ、作戦は継続が必要になる!)

おっとそうだそうだ…

タブレット作戦というのは…

まず、髪型は後頭部は年中短髪にして、いつでも患部の状態を確認できるようにする。

そして、自前のタブレットを使って、後頭部を撮影することで、定期的に疑似的目視をする

撮影は、毎週必ず利用しているヘルパーさんや毎月行く理髪店の理容師さん。毎日撮影することは、もちろん一番理想かもだけど、皮膚癌は一日で対処できないほど大きくはならないから、この間隔でも問題にはならないと思う。

撮影した画像は、逐一経過を確認してき、何か異変を感じたら、すぐにかかりつけの皮膚科を受診

必要であれば、大きな病院へ紹介状を書いてもらう。

そして手術が必要であれば、迷わず受ける!

(敵を小さくて貧弱なうちに、叩き潰してやるわい!)

そんな意気込みで意気揚々な僕だけど…

この作戦は、今後の救世主となるのか?

はたして…


🎯その19 情けない本領発揮・・・

2018年 (平成30年) 4月上旬 41歳 

タブレット作戦を始めたばかりのころは、どんどん増えていく画像を逐一チェックしていくのが面倒だったけど、最近になってようやく何とか慣れてきて、確認作業が軌道に乗ってきた!

太ももの傷跡と違って、後頭部は目視で確認しにくい場所。だからこそ、作戦の意味はあると信じてやまない僕は、血眼になって画像を食い入るようにチェックしていく…

(少しの皮膚症状も見逃してはいけないんだぞ!何かあればすぐ病院だ!ど素人の僕が軽率な判断はしたら痛い目に合うんだからな…あれ?)

皮膚移植をした患部周辺に、薄赤黒いホクロのようなもの…

大きさは、5mmあるかないか…(皮膚移植を含めた患部全体の大きさをを500円玉としたら、5円玉の穴くらい)

なんだあれ?
なんだあれ?

(前からあったのかな…)

そんなはずはないとは思ったけど、動かぬ証拠があるわけだから見返してみる価値はあると思った僕。

タブレット作戦で最も大事なことは、撮影したばかりの画像だけではなくて、時系列の皮膚変化をつかむために、撮りためている画像をさかのぼって見比べること!

するとだ…

(先月くらいからあるみたいだ。なんで見逃していたんだろう…)

大きさに変化はなさそうで、ほっと胸をなでおろす僕だけど、消えてなくなっているわけではないんよね…

(何か問題じゃないのかな…)

先月かかりつけの皮膚科を受診した時、先生は後頭部の患部を目視されている。それでも異常を指摘されなかったということは、たいして問題ではないのかも?

(いや待てよ…あの時は僕が先生に相談していなかったから、見逃した可能性もあるんじゃないかな?ま~痛くも痒くもないから、気にせず放っておいていいかな…)

よく考えたら手術を受けた基底細胞癌も、見つかるまで痛くも痒くもなかったのを思い出してしまった僕。

(やっぱ…やばいんじゃないのかな?これも、ひょっとしてら皮膚癌なのかもしれないぞ!)

そう思い始めて、不安でたまらなくなったっ僕は、今月の定期受診日を待つことができず、急遽かかりつけの皮膚科を受診した。 

はい、紹介状!
はい、紹介状!

「あれ?今日はどうされましたか?」 

突然やってきた僕を見て、少し驚かれている感じの先生…(今振り返ると、定期外来受診時とは違った雰囲気だったんだろう…)

「あの~少し前からあるんですけど…ここに薄赤黒いホクロのようなものが映るようになっていて…再発でしょうか?…」 

タブレットの画像を指さしながら、そう質問する僕。

「あ~これですか~先月来られた時にもありましたね。そこは問題ないと思いますよ~」

「えっ…問題ない?…」 

「ええ」 

「そうなんですか…すごく気になっていて…」 

「そこよりは、移植している皮膚と頭部の皮膚の境界線(つなぎ目?縫い目?)を私なら気にしますが…」 

「えっ!手術の失敗とか…?」 

「いえいえ、そんな大問題ではないでしょう。経過観察で十分で、わざわざ大きな病院へ紹介するほどではないと思いますよ」 

「そうですか…でも…」 

「安心してください、大丈夫ですよ。それではまた来てくださいね」

「はい…でも…」 

「う~ん…心配ないとは思いますが…(大きな病院への)紹介状を書きましょうか?」

「本当ですか!ぜ…是非お願いします!」

半ば先生に、無理やり紹介状を書かせてしまった僕

次回は1年後と言われていたはずの大きな病院へ、わずか2~3ヶ月で受診することになった僕。

これで、大したことではなかったとしたら…

かかりつけ医にも執刀医にも、情けない小心者だなって笑われてしまうかもしれない…


🎯その20 何しに来たのよ?心外だわ!まったく…気持ち悪い人ね~

かかりつけの皮膚科で半ば無理やり書いてもらった紹介状を持って、一目散にやってきた大きな病院…

本来なら、ここに来るのは1年先だったはず…

「辛島さん、中へどうぞ~」

診察室に呼ばれて中へ入ると、紹介状を見ながら首をかしげている女医先生

「う〜ん…特に問題はないと思いますけどね…」

僕が入ってきたのを無視するかのように、ポツポツと独り言のようにポツポツ…

気にしすぎじゃな~い?

「あの~辛島ですが…」

「あっ…!どうぞ、こちらへ!」

女医先生の座っているデスクまで近づくと、すぐ僕の後ろに回って患部を入念に確認されている… 

「やっぱり…特に問題はないです。」

「えっ、何も問題ないのですか?患部近くに出てきた薄赤黒い数ミリくらいの点が気になるし、移植している皮膚と頭部の皮膚ってきちんとつながっているのかな~って…つなぎ目っていうのか、境界っていうのか…」

「ええ、あなたが気にされている両方とも問題ありません

「どっちも問題なし…ですか…」 

小さな点は、シミのようなものです。そこは左太ももにあった皮膚なのですが、皮膚が左太ももにあったころから持っていたシミになる成分が、頭部へ移植した後に出てきているだけです。しばらくすると消えることもありますよ」

「シミ…だったんですか~…」

「また、つなぎ目に関してですが、移植した皮膚と周辺の皮膚が馴染むまでには、ある程度の時間を必要とします。今は見栄えが少し悪いかもしれませんが問題ありません。」 

「そうなんですか~」 

結局のところ、僕の気にしすぎだったのか…

これじゃ~「名誉棄損」や「ストーカー行為」で女医先生から訴えられるかもな…

ただ、すべて悪いほうに考えるのはもったいないぞ!

たしかに、僕の気にしすぎで、問題じゃないことを、さぞ大問題かのようにとらえてしまって、かかりつけ医にも執刀医の女医先生にも迷惑をかけてしまったのは間違いないんだけど、タブレット作戦自体は間違いではないし、その成果が実証された証拠でもある!

タブレット作戦は、気になるところを早いうちに見つけられる術

今回は、作戦が裏目に出てしまって功を奏さなかったけど、こんな感じで症状の変化を早期に気づいて診てもらうことは、いつかきっとプラスとなって僕を助けてくれるはず!

まだまだこれから!

落ち込んでる暇はない…先は長いぞ~


🎯その21 君に対する決別宣言!

2018年 (平成30年) 5月上旬 41歳 

「何事もなくて良かったですね!」

かかりつけの皮膚科への定期受診時、診察室に入るなり僕にそう言われる先生…

「あっ…(もう大きな病院からお返事が届いていたのか…)えっと…先月は大変ご迷惑をおかけしました…」 

前回(先月)診てもらって問題ないと言われたにも関わらず、半ば無理やり紹介状を書いてもらったのに、結果として何も問題がなかったわけで…

先生を信用していないと捉えられてもおかしくない行為をした僕には、先生の目を見て話すことができない…

「いえいえ、構いませんよ。自分が納得行くのが1番ですから!」

そんな感じで気策に受け答えしてくださるのを横目に、先生の意見を耳にしなかった自分が情けなくて涙が出そうな気分だ。

「先生、これからもどうかよろしくお願いします…」

「わかりました、これからも不安な点があればいつでも教えてくださいね」

自分のふがいなさを感じ、うなだれながら帰宅すると、頭の方から悪臭がすることに気がづいた僕。

たまらず、洗面所に駆け込んで、目の前の大きな鏡を見ながら黒の医療用帽子(手術直後から毎日欠かすことなく被ってきた)を脱いでみると、前髪はベチャベチャで全体から湯気が出ているようにも見える

(そういえば…四六時中こいつを被ったままだからな~)

もう患部(移植した皮膚)が完全に繋がった状態なので、被り続ける必要性はないと女医先生に言われていたにもかかわらず、未だに被り続けていた僕。

その理由は、「(恥ずかしいから)患部を隠すため」

始めてそれをを被ったのは、まだ寒さが本番だった昨年の12月末で、何も困ることはなかったんだけど、今はもう春から梅雨に向かっている…

(ムワ~~~~~~)

ムレムレ~~~
ムレムレ~~~

段々気温も湿度も上昇してきている今、帽子の内側は汗まみれ!

悪臭がするし、蒸れてボーとしてくるんだけど、それ以上に、全体的に痒くて仕方がない。

このままじゃ~皮膚癌はもちろん、いろんな病気にかかりそうだ…手術跡を見られるのは恥ずかしいけど…そんなこと言ってられないぞ!) 

というわけで…

僕は被り続ける限界を感じ、黒の医療用帽子と決別したのでありました! 

帽子さん、さよ~なら~

君へ…

あのさ~突然で悪いんだけど、明日からもう来ないでくれるかな?
えっ、なんでかって?
そんなの自分の胸に手を当てて考えてみればわかるよ…
これはね~
君に対する決別宣言でもあるんだよ!
じゃ~達者で…

(お~これでずいぶんマシになったぞ!)

これからは、恥ずかしいとか気にしていたら生きていけないぞい!

そんな感情は今の僕にはないんだよ~ん!


🎯その22 事態は急展開へ!

2019年 (令和1年) 1月下旬 41歳 

その後も、ま~いろいろあったんだけど…結局のところ、僕が「大したことないのに、大したことにしちゃってワーワー騒いでいたケース」ばかりでありまして…

大きな病院を緊急受診するほどの事は一度もなかったんよね…

そして迎えた、(昨年1月の外来受診時に言われていた)「本来なら一年ぶりとなるはずであった再来日(外来受診日)」

「辛島さん、中へどうぞ〜」

「失礼しまます…」

「お久しぶりですね!あれから、お変わりなかったですか?」

名前を呼ばれ診察室へ入ると、そんなことを言われながら僕のほうにやってきて、後頭部の患部を入念に確認する女医先生。

「ええ、何とか…」

「それは良かったですね、え~と…うん、良いですね!問題ないです。それでは今日で終診にしましょう!」 

「えっ…シュウシン?」

「診察はもう終わりだということです」

「…って、今回の基底細胞癌に対する診察が終わりということですか?」

「あ〜そういうことにも捉えられますね~ごめんなさい。今日の診察をもって当病院での診察自体が終わりということです。あなたは、かかりつけの皮膚科に定期外来受診されていますので、今後は何かあれば紹介状を書いてもらってください」

(昨年の外来受診時には、5年は診たいって言われていたのに…なんでそんな冷たいこと言うわけよ~)

そう思って納得がいかない…と言うのか、女医先生の言われることが理解できない僕…

ただ、以下のようなことを言っただけで、それ以上何も言うことなく深々と頭を下げて病室を出た。

「そ、そうですか…わかりました。今回は手術していただきありがとうございました」

僕にはタブレット作戦がある!

なんでかと言うと~

女医先生は、以前5年の間、再発がないか経過観察が必要とは言われたけど、ここでずっと私が診ると言われていたわけではないし、僕にはタブレット作戦があるから!

・毎週必ず来るヘルパーさん
・毎月必ず行く理髪店(理容師さん)
そんな人にタブレットで画像を撮ってもらって逐一確認!
少しでも気になったら、かかりつけの皮膚科を受診して診てもらう!
そして問題があるのなら紹介状を書いてもらえばいい!

以上のように、最低でもあと4年間…今回の件が再発しないよう見守っていく準備に抜かりはない

それに…

君ならそれが出来る!

女医先生は、そんなふうに僕を評価しくれたのかもしれないな~

だから…頑張っていこう!

まだまだこれからだ。

タラララ、タッッタラ~~~~!レベルアップしたぞ~
タラララ、タッッタラ~~~~!レベルアップしたぞ~

「僕と皮膚癌」 おしまい

嘘だよ〜ん!

実はまだまだ続くのでありま〜す!

なぜだと思いますか?

😭😭😭😭😭

※自身1回目はここでおしまい


🎯その23 ようやく作戦の成果が出たかもしれないということは、うれしくもあり、残念でもあり・・・

2020年 (令和2年) 2月中旬 45歳

女医先生との想定外だったお別れから1年が過ぎたころ、考案したタブレット作戦に疑問を感じるようになっていた僕。

なぜなら、毎日欠かさず撮りためた画像をチェックしても、皮膚癌らしきものを見つけることができていないから!

(今後、皮膚癌ってできないんじゃないのかな…)

それだったら、ヘルパーさんや理容師さんに無理言って撮ってもらうのも気が引けるし、チェックに要する時間や労力を何かほかのことに向けたほうが僕のためになるんじゃないのかなって…

作戦によって、小さいうちに癌を見つけて叩き潰すのが今の僕ができる最善の方法…それは今でも間違いなくそう思ってはいるんだけどね~

それは今後も高確率で癌が発生するということが前提であって…

タブレット作戦の狙いは、皮膚癌を防ぐためではなく、早期発見をするため!(見つからないことは経過が良いことでもある)ではあるけど、できる兆しがないのなら続ける必要はあるのか…

そんなフラフラフラフラ揺れ動く僕に、大きな大きな転機がやってきた!…と言っても、喜ばしいことなのか?残念なことなのかイマイチよく分からないんだけどね…

いつもお世話になる理容師さん
いつもお世話になる理容師さん

それは、またしても「行きつけの理髪店」

「じゃ~いつも悪いんですが、これ…」

今回も、散髪終了後にタブレットを理容師さんへに手渡す僕。

「あ〜わかっていますよ!任せてください」

理容師さんはそう言うと、後頭部を中心に10枚ほど写真を撮ってくれる。

「全体的に見て、以前よりも(脂漏性湿疹の)状態は随分良くなりましたよね~あとはここら辺に若干あるくらいでしょうか…」

「そうですよね~以前はこの辺にべっとりガムみたいなのがくっついていましたから〜あれ?…そこは?」

撮影後の画像を見ながら会話をしていると、後頭部の右耳付近、脱毛部分と髪の毛が生えている(毛根がある) 境目当たりに、小さな黒点があるのを発見してしまった…

少し前からあった気はするけど、髪の毛が少しでも伸びてくると画像で目視しづらい場所…記憶を頼りに振り返れば、若干大きくなっているような気がする。

作戦実行中!

「えっ?あ~これですか?これは…ホクロじゃないですかね?以前のように凸凹してないですし…触ってみてくださいよ~」

誘導してもらった自分の手で、そこを触ってみる…確かに出っ張りはないし、押しても痛みはない

「そ~…みたいですね…」

1回目は後頭部の中心部。学生のころに受けた開頭手術の手術創があるところだ!

今回発見した小さな黒い点は、そことは場所が明らかに異なるから、皮膚癌であったとしても1回目の再発とは考えられない。では、新たな皮膚癌なのか?

(待て待て…前回の苦い経験があるから、なんでもなんでも皮膚癌だと思うのは悪いぞ…気にしすぎ気にしすぎ~)

そう自分に言い聞かせてタブレットをバックに入れようとしたとき…

気になるなら一度診てもらったらどうでしょう?安心できると思いますよ!

理容師さんが気を利かせてそう言ってくれる。

(そうだよな…安易に自己判断で動かないほうがいい…)

自己判断で動いたらダメだ!

「ですね…近いうちに診てもらいます」

僕はそう言うと、数日後かかりつけの皮膚科を受診して、理容店で指摘された黒点を診てもらった。

「えっと…これですね…」

お医者さんは僕の後ろに回って軟膏みたいなのを患部につけた後、カメラみたいな固くヒヤッとしたものを接触させた。(たぶんダーモスコピー検査?)

その後、数秒間の空気というのかな?「前回…あの瞬間」と同じだった…

「う~ん…一度大きな病院で診てもらったほうがいいでしょうね。紹介状を書きましょう!」

(やっぱり…)

いやな予感は的中…

「えっと…やっぱり皮膚癌ですか?」

「その可能性が高そうです。前回と同じように見えます。詳しくは大きな病院で…」

「そうですか…」

「まだ前回と比べると小さいですから、そんなに落ち込むことはないですよ。」

「はい…」

「では、今から(紹介状を)書くので、早めに大きな病院を外来受診してください」

…というわけで、2回目の可能性が高いのを分かったうえで、再び大きな病院を受診することになった。


🎯その24 ある程度予測できる「良くない結果」を聞きにいく・・・

翌日、大きな病院へ

(できれば、一生来たくはなかったんだけどな…)

約1年ぶりとなった受診は、ある程度予測できる「良くない結果」を聞きにいくようなもの…

足が重い…

「あの〜これ、紹介状も入っていますからお願いします」

外来受付窓口に受診ファイルを提出する僕。

「あら、辛島さん?お久しぶり!」

前回同様、受付には元気満々な知人がいる…

まだいたの〜?
まだいたの〜?

いつもなら…

「あっ、Aさんお久しぶりで~す、お相変わらずお元気そうですね。仕事姿が板についていますよ!」

こんな感じで声を掛けたいものだけど、今回はそんな気持ちにはなれず…

「どうも、お久しぶりです。では…」

あまり目を合わすこともせず待合室へ移動した。

待つこと数時間…

「辛島さん、中へどうぞ」

待ちくたびれて疲れ果てた僕は、フラフラになりながら診察室のドアを何とか開けてうつむいたまま一言…

「失礼しま~す、女医先生お久しぶりです…あれっ?」

スライド式のドアを開いて診察室へ入ると、そこにいたのは女医先生ではなく、始めて見かける若い男性医師。

「あっ、部屋間違いました、すいません」

僕はてっきり診察室を間違えたと思って、一目散にドアを閉めようとする…

「辛島さんですよね?」

「えっ?はい、そうですが…」

「それでしたら間違っていませんよ!」

「えっ?それじゃ…」

「私が皮膚科の医師です。初めまして」

(採刀医は女医先生だったのにな…異動しちゃたのかな?)

「そうだったんですね。以前は違う方だったので…てっきり部屋を間違えたのかと思ってしまいました。では、改めまして今日はよろしくお願いします」

「こちらこそ」

先生は紹介状に目を通された後、僕の後ろに回った。

「ここですね~う~ん…それでは今から何枚か写真を撮りますね」

そう言われると、先生は一眼レフカメラのようなもので撮影を始めた。

それと同時に看護師さんが、診察室のドア窓に内側からカーテンを閉める。

(パシャパシャ!)

シャッターを切るごとにピカピカと閃光が走ってまぶしい…

(カミナリが落ちたときみたいに辺り一面ピカピカ光っているぞ!確か前回も女医先生が写真を撮っていたな~これだけまぶしかったら、待合室にいる患者さんに迷惑かも…)

そんなことを思っていると、撮影された写真が現像されて先生の手元へ。

(早いな…最近はそんなに現像って早いの?)

昔は、何日もかかった記憶がある僕は目からうろこ状態だ。

話は違うけど、小学生のころ先生のカミナリが頭に直撃してたよな~
話は違うけど、小学生のころ先生のカミナリが頭に直撃してたよな~

先生は、その写真をじっくり眺めた後、このように言われた。

「写真だけでは、はっきりしたことはわかりませんが、どうやら前回と同じで皮膚癌の可能性が高そうです。確定診断には生検が必要です」

前回の記憶が残っている僕に不安はなかったので…

「わかりました、今日にでもお願いします」

「それでは後程…呼ばれるまで待合室で待機をお願いします」

しばらくして名前を呼ばれたのは、診察室の隣の部屋(処置室?)

女性の医師?からベッドにうつぶせの姿勢をとるよういわれたんだけど、(恥ずかしながら)それができない僕…

何とか横向きで行ってもらうようお願いして生検を受けた。

生検の一部始終?は、前回と変わらなかったと思う。

・患部周辺に局所麻酔
・その後、患部をメスで一部採取
・その後、薄いガーゼテープを貼られる
・採取した細胞は専門機関へ提出
・結果がわかるまでは自分で消毒

その間は、痛くはなかったんだけど、姿勢を保持するのに神経使て疲れた…

さて…

次回の外来受診までの約2週間は、前回同様にヘルパーさんに処置をお願いすることにした。この間に、傷から最近感染する事態になったら元も子もないからね!

今回の結果はどうなるのかな?


🎯その25 自身2回目の皮膚癌が確定したのは残念だけど・・・僕には向き合えっていける自信があった!

2020年 (令和2年) 3月上旬 43歳

約2週間後に、結果を聞きに大きな病院を受診した僕。

「生検の結果ですが…前回と同じ基底細胞癌でした」

男性医師から告げられた結果は、ある程度は想定してはいたんけど、決してうれしいものじゃない…

「そ、そうですか…残念です」

知らず知らずのうちに肩を落としてしまう・・・

「そんなに落ち込まないでください。基底細胞癌は、しっかり切除すれば完治可能ですから、手術でしっかり採りきってしまいましょう!」

「わかりました、頑張ります」

「今日はこの後、血液検査とレントゲンと心電図を済ませて帰ってください。手術時に必要なデータになりますから!」

「えっ?前回そんなことしましたっけ?」

「私が執刀したわけではないので確かなことはわかりませんが、事前検査はしていたと思いますよ」

「それでしたら僕の度忘れなのかもですね!では、検査後は帰りますので今日はこれで失礼します」

「わかりました」

(あんなこと言ってはみたけど…記憶にないんだけどな~)

そう思いながら血液検査を受ける場所へ向かう途中、周辺の景色を眺めていると前回の記憶がよみがえってきた!

(あ~そうそう、そういえば前もここに来たな~)

・・・

前回がある?

・・・

そうだ!今回が初めて経験する皮膚癌じゃない!また皮膚癌になったのは残念ではあるけれど、前回の経験で得た知識と自信は、きっと今回の僕を助けてくれるはず!

確かに、同じ基底細胞癌と言っても、場所も大きさも手術を受ける年齢も違う(異なる点が多い)んだから、決して前回と今回を全く同じものと考えてはいけないんだけど…

前回の経験を活かして向き合える今回は、前回よりもずいぶん気が楽であって、精神的にも余裕があるんだよね!

だから、落ち込む必要なんてない…

今は体調を崩さずに手術日を迎えられるよう、自己管理することに集中すればいいんだぞ!

僕の未来は明るいはずだ!


🎯その26 暇な入院生活が始まった…

2020年 (令和2年) 3月中旬 43歳

ついに入院する日が来た!

午前中のうちに予約をしていたリフトタクシーで大きな病院へ

運転手さんは介護の資格を持っています
運転手さんは介護の資格を持っています

(暇すぎる…)

意気込んで入院したまでは良かったんだけど、荷物整理をした後にすることがないことに気が付いて呆然とする僕。

そもそも、病院という所は、医療行為がなければ楽しめるようなことなんてたかが知れている。

僕は、以前の外来時に諸検査を済ませていたし、手術は明日…

ただ、昼食後に体重を測るために院内を右往左往したのは良い運動になったかも!

あっ、車いすマンの僕は病棟にあった通常の体重計だったら測れないんよね…

自身1回目のころを紹介した記事にも書いてあるけど、

・車いすのまま乗れる体重計のある場所に行く

・まず僕は近くの椅子に移乗して「車いすのみで計測」

・今度は「僕も乗った状態で計測」

・看護師さんが両方のデータをメモしていて、「僕も乗った状態で計測したデータ」から「車いすのみで計測したデータ」を差し引く

すると、ようやく僕の現体重が判明する

時間のかかる大仕事」なんだけど、通常の体重計だったら車いすが乗らないから仕方がないのかな…

その後は病室に戻って、手術当日のスケジュール表をチェック!

  • 朝食は摂取可能

  • 昼前から点滴が始まって~

  • 昼食は絶食

  • 手術は15時くらい

  • 昼前から始まる点滴は、手術後もしばらく続く

  • 夕食は摂取可能

(えっ、手術開始時間が結構遅いんだな~それなのに、夕食は摂取可能?)

今回も学生のころ受けた開頭手術と違う点が多いぞ~
今回も学生のころ受けた開頭手術と違う点が多いぞ~

前回も点滴開始は昼前だったけど…手術開始時間は15時じゃなく13時頃だったはず…ということは点滴をしたまま食べないといけないのかな?

そんなことを思う僕に、ちょっとした悲劇が、手術前にあった…

(ヒントはスケジュール表を見てね~)


🎯その27 僕は、あなたの「針刺し練習用マネキン」じゃないんだから・・・声掛けくらいしてほしいんですけど~~~


僕が言う「ちょっとした悲劇」

それは、手術室へ行く前にやっておかないといけない点滴だ(針刺し)

輸血?
輸血?

「辛島さ~ん、そろそろ点滴をしたいのですが、ベッドに寝てもらえますか?」

昨日見たスケジュール通り…11時頃病室にやってきた若い看護師さんがそう言ってくる。

「あっ、もうそんな時間なんですね。わかりました」

僕が車いすからベッドに乗り移って横になると、看護師さんは僕の手を見てこう言ってきた…

「あらら~辛島さんって血管が出ていないんですね…」

理由がよくわからないんだけど、若いころは何も意識していなくても血管が常時浮き立って見えていたのに、オジサンの今は内側に引っ込んでしまってまったくと言っていいほど見えなくなってしまっている僕。

「そうなんですよ~若いころは常時見えていたのですが…何度も針を刺してきたから内側に逃げてしまったんですかね~」

「ははは…どうでしょうか~(ペチペチペチ…)」

看護師さんは、そう言いながらゴムチューブで僕の腕を締め付けると、ポンポンポンと軽く手で皮膚を叩いて血管を浮き上がらせようとしている。

「出ませんね…」

何度も手でさすりながら、見えないであろう血管の位置を模索する看護師さん。そしてようやく脈の鼓動を掴んだのか?…

「難しいけど…じゃ~行きますよ~」

(ブスリ…)

(痛~~~~~~~い!)

「あら…辛島さん痛くないですか~?」

「ええ…かなり…」

「あれ~おかしいですね~じゃ~もう1回行きますよ~」

(ブスリ…)

(痛~~~~~~~い!)

「あら…辛島さん痛くないですか~?」

「ええ…かなり…」

そんな繰り返しが5,6回続くと、片腕は所々止血のガーゼとテープが貼られてしまい容易に針刺しが出来なくなってくる。

困り果てた看護師さんはヘルプを要請するみたいで…

「辛島さん、もう一人呼んできていいですか?」

「ええ…」

私、失敗しないので!というくらい自信あふれる人を呼んできてくれ~という念を込めながら、病室を出ていく看護師さんを見つめる僕…

「辛島さん、もう一人連れてきましたよ~」

どうやら、これまでいた看護師さんより経験豊富なベテランみたいだ!これは期待できる!

「では行きますね!」

僕の期待していた通り、その看護師さんは何度も失敗してガーゼでほぼ埋め尽くされた腕を入念にチェックしたうえで、会心の一刺しによって一発で針刺しを成功さた!

(すごい、さすがベテラン)

そう思っていた矢先の事…

(これまでいた)看護師さんが、なぜか別の腕で同時進行の形で失敗を繰り替えしていたことを知った僕。(ベテラン看護師さんが成功させるまでに何度か失敗しているものと思っていたのは、別の腕で針刺しをしていた看護師さんだったというわけ)

「なかなか入らなくてごめんなさいね…今からこっち(別の腕)でも指してみますから…」みたいな声かけもなく…

(僕は、あなたの針刺し練習用マネキンじゃないんぞ!声掛けくらいしてほしいんだけどな~)

これじゃ~ダブルパンチだ…
これじゃ~ダブルパンチだ…

そう強く思ったんだけどね…

点滴の針を、なかなか刺すことができない(針刺しがスムーズにできない)看護師さんを責めることはできない。

その理由は、彼女も僕を痛めつけようとして失敗しているわけではないから…

それでも、左右に傷跡が出来てしまった僕。

怒る気力もなく…その後はベッドで放心状態なのでありました。


🎯その28 自身2回目の皮膚癌手術・・・それは間違いないんだけど、結果的には僕の作戦勝ちだった!


「それでは手術室から呼ばれたので行きますよ~」

そう言いながら2名の看護師さんが病室に入ってきた。

(やっとかよ~~~)

点滴が始まったのはお昼前

今はもう16時…

その間、病室の天井をずっと眺めていた僕(もちろん昼食は絶食)

待ちくたびれるわけ…

そうそう~

前回(自身1回目)の時は困ったから、今回は必ず2名は来てほしいと告げていたんよね。

「それではこちらの方に今から移動させますから…」

看護師さんらはそう言うと、ベッドからストレッチャーへ僕をスライドさせた。それから(床の接地面にタイヤが付いている)点滴台を持ってきて、点滴袋も移動させると、ガラガラとストレッチャーを押して病室から手術室へ搬送してくれた。

(さて…後はうまくいくのかな…)

針刺しの悲劇がこのまま続く(手術がうまくいかない)のではないか心配で、運ばれる最中は気が気でない僕…

動いていく天井を眺めては、ため息をついて目を閉じるの繰り返し…

しばらくして手術室へ到着すると、今度はストレッチャーから手術台へ、右側が上の横向きで乗り移る…と言っても僕の力ではなく数名が協力してスライド。

(あれ…大画面がないぞ~医療機器や棚みたいなのが見える…)

前回は左側が上の横向きで乗り移ったから、手術台から見える景色が全然違う

それに、前回よりスタッフが少ない気がする…

「それでは今から手術を開始します。必要ないとは思いますが、移植のために太ももの事前処置もしておきますので…」

詳しいことはわからないんだけど、移植するにしてもそうでなくても、太もも(皮膚採取予定周辺)の事前処置(衣類を省いて肌を露出させ周辺を十分に消毒すること)をしておけば便利なんだろう。

(それよりも、周辺皮膚をうまく寄り合わせて皮膚移植しないで良いよう頑張ってくれ~~~)

僕は執刀医の若い男性医師にそんな念を送り続ける…

「カバーをかけますね」

執刀医はそう言いながら僕の頭全体にカバーを掛ける。

(ありゃ?)

視界が遮られる中、わずかな隙間から棚のガラス窓が見える。

そこには僕が横たわっていて、その上に執刀医を始め医療スタッフ数名…



ってことは、

手術中のエトセトラが生中継!

怖い~~~~~~!

それ以降は、決してガラス面を見ることができなかった僕。
それ以降は、決してガラス面を見ることができなかった僕。

手術自体が局所麻酔だから声が聞こえるだけで恐怖なのに、目視も可能(生中継状態)は堪えられんわ~…

手術中に意識がある特典なんて、一つもありがたくはないな~

そんでもって、先ほど書いた手術スタッフの人数減少の件…

前回の手術の時は術中しばらくの間、目の前に女性がいて手を握ってほほえんでくれていたのに、今回は誰も寄り添ってくれない…

そういうサポート役がいないことからの人数減少もあるのかもしれないな~

「終わりましたよ!」

始まって15分くらい経過したころと思うんだけど、そんな採刀医の声が聞こえた。

「えっもう終わったんですか?前回はもっとかかった気がするんですが…」

「移植はしなくて良かったですから、予定よりも早かったんです」

なんとなく、数名が太ももを拭いてくれている感覚が…(感覚はあんまりないんだけど)



ということはだよ…

自身2回目の皮膚癌ではあったけど~

・まだ小さなうちに見つけて疑った僕は、理容師さんの勧めもあって皮膚科医に診てもらうことができた(早期発見)

・生検後に皮膚癌が確定して手術を受ける必要性はあったけど、皮膚移植の必要はなく、手術時間も短くて体への負担を最小限にとどめることができた(早期治療)

これって、僕が思いついたタブレット作戦の成果が十分に発揮できている証拠になるでしょ?

皮膚癌が出来ることは防げないのかもしれない。

だけど、早期発見早期治療に繋げられたなら…

それは僕の勝ちということだ!

あらためて、ヘルパーさんや理容師さんに感謝!
あらためて、ヘルパーさんや理容師さんに感謝!

🎯その29 何を隠そう、僕は〜日本が…いや世界中がコロナ禍に入るギリギリの時に手術を受けることができたラッキーボーイなのだ!


さてさて…

作戦の成果が出た結果なんだと喜んでご機嫌な僕は、病室へ戻った後も大人しくしている気持ちになれず…

「あの~車いすに座っていたいんですけどいいですか?」

前回の経験から、安静にして(寝て)いるよりは、車いすに座っているほうが回復が早いんじゃないか?と思った僕は、そう看護師さんにお願いした。

ところが…

「えっ!手術が終わったばっかりだし…今の点滴が終わるまで(実際はもう一本あるから袋を入れ替えるとき)は安静にして(寝て)いたほうがいいですよ~!」

「そうですか…わかりました」

起き上がることができなくなってしまった僕…

「今日はお疲れさまでした、痛みはありませんか?」

渋々横になっていると採刀医である男性医師が病室へ来てくれた。

「ええ、まったく大丈夫です」

「それは良かったです。手術室でもある程度お伝えしましたが、癌細胞はすべて取り除くことができましたし、患部周辺の皮膚を寄り合わせることができましたので、太ももからの皮膚移植は必要ありませんでした。明日の様子を見て、良ければ週末に退院です。退院後は首から上を濡らさないようにしてシャワーを浴びて良いですので…」

「え~もうシャワー浴びてもいいんですか!(やっぱり太ももの皮膚を採っていないから回復が早いな~)」

「退院後は次回の外来受診まで2~3日に一回は消毒を行ってください。生検後の時と方法は同じです」

「消毒ですね…わかりました。今回、手術していただきありがとうございました」

前回は、しばらくの間は後頭部半分くらいの大きな絆創膏が貼られていたから、自分で消毒をすることはなかった。

たぶん、大きな絆創膏が貼られていなくても、移植した皮膚がきちんとつながるまでは、素人が当たったらダメだったんじゃないかと思う。

今回は、周辺の皮膚を寄り合わせているから僕でも消毒ができるくらいの状態なんだろう…(生検時に近い状態?)

あっ!そうそう、突然話が変わるんだけど…ちょうど夕食前だったか…点滴の2本目が入るときベッドから起き上がって車いすに乗り移らせてもらったんだけど、その時に妹と姪っ子2人がお見舞いに来てくれた。(あの時マスクはしていたっけ?)

お見舞いに来てくれた姪っ子2人
お見舞いに来てくれた姪っ子2人

ちょうど、当時は新型コロナウイルス感染症が県内で流行し始めるギリギリな時期で、何とか面会の許可をもらえたわけなんだけど、もう少し入院時期が遅くなっていたら面会は難しかったかもって今思う。(もしかしたら、入院=手術自体も困難だったかも)

そういう点からも、病気を患ったことは良いことではないけど、僕は運が良く恵まれているな~


🎯その30 何気に見た腕に出ていた赤い斑点には少々ビビったけど…予定通りの退院をゲットしたぞ!


手術の翌日

まだ眠い目をこすりながら朝食を摂っていると、執刀された男性医師が病室に入ってきた。

「おはようございます。昨日はあれから変わりはなかったですか?」

「ええ、おかげさまで」

「それは良かったです!では…」

男性医師はそう言うと、僕の後ろに回って患部を観察

しばらく時間が流れて一言…

「うん、良いですね!」

「本当ですか~良かったです」

「出血もしていませんし、傷口もきれいです。これなら明日以降ならいつでも退院可能です。都合が良い日を教えてください」

「やった!退院ですか~それじゃ〜最速で明日退院でお願いします!」

「わかりました」

そんな流れから、朝食を早々と済ませると一目散に通話可能エリアへ行ってリフトタクシーを予約。

その後、ルンルン気分で病室に戻ってから、何気に右前腕の手首に近いところを見ると、真っ赤な無数の斑点があるのに気が付いてしまう僕…

(な、なんだこれは~~~?)

点滴の薬剤に反応したのかな?
点滴の薬剤に反応したのかな?

範囲は5×2センチほどで、パッと見て気が付くほど!

今朝(0時過ぎ)までやっていた点滴の薬剤に反応したのかな(薬疹:やくしん)…

ま~でも明日退院なんだし~いまさら看護師さんに言っても退院が延びるのも嫌だから内緒にすることに決めた!

その後、時間の経過とともに色合いがどんどん薄くなってきたから安心しんだけど、いったいあれは何だったのかは気になるな~

やっぱり薬疹だったのかな~

ま~いっか!(よくわからん)

そして迎えた退院の日

昨日予約していた、リフトタクシーの運転手さんが病院入り口から車まで荷物を持ってくれた。(リフトタクシーの運転手さんは、介護の資格も持っている人が大半で、運転だけじゃなくて、荷物などを持ってくれたり、車いすを押しくれたりしてくれるんです)

ただ、以前も書いたように当時は新型コロナウイルス感染症が県内で流行し始めるギリギリな時期だったから、本来なら病棟(病室)まで迎えに来てくれるんだけど、病院内に入るのを警備員に止められたそうで…以下のようなやり取りがあったんよ~

病室で待機していても、なかなか来ないから、仕方がなく病院の入り口に行くと運転手さんがいる…

「あれっ?病棟で待っていたんですけど、どうしたのか心配しましたよ~」

「すいません…ずいぶん前に来ていたんですが、病院内へ入れなくて…」

「えっ、なんでですか?」

「最近、感染症が流行っているでしょ?ですから、入口の警備員さんがね~家族でもないからって、なかなか入らせてくれなくて…」

これぞ、コロナ渦の始まり

こんな感じで、家族の面会の件と同じで、入院(手術)の時期がもう少し遅かったら、いろんなことが一層大変なことになっていたかもな~って思いながら病院に別れを告げたのでありました~


🎯その31 自身2回目は一応クリア…でも2つの課題を抱えての新たな戦いが始まった!

2020年 (令和2年) 4月上旬 45歳

退院した翌日からは、手術前に受けた生検時と同じで自己消毒する必要があった。

先生は2~3日に一回は行うようにと言われていたんだけど、小心者の僕は毎日欠かさず…(と言っても消毒するのは、ヘルパーさんなんだけど)

(それにしても、気持ち悪いな~)

毎度のことながら、ヘルパーさんに撮ってもらった画像に映る患部はグロテスクで、素人の僕には4回すべてが同じに見えてしまう(自身1回目と今回の生検後・自身1回目と今回の手術直後)

(こういう時って、そもそも見る必要がないんじゃないのかな…)

そうは思うんだけど、見なければタブレット作戦を貫いていないことになってしまうような気がする…だから思わずゲロッと吐いちゃいそうになるのをぐっと抑えてガン見する日が続いた。

そして、ようやく訪れた「退院して初めての外来受診日」

「辛島さん、中へどうぞ!」

看護師さんが、僕の名前を呼ぶ。

不安でいっぱいの僕は、診察室のへドアを開けるのが辛い…

「し…失礼します…」

「お久しぶりです。退院後は変わりなかったですか?」

「ええ…」

「それは良かったです。では…」

先生はそう言われると、僕の後ろに回り患部に貼っていた薄いガーゼテープをはがしてた。

「うん…良いですね!しっかり繋がっています」

「えっ!本当ですか!よかった…」

不安で押しつぶされそうになっていた僕にとって、先生の言葉は「恵みの雨」というのかな?…とても救われた気がした。

「それでは、今から抜糸をしますね…」

「わかりました」

「終わりましたよ」

抜糸が済んだぞ~
抜糸が済んだぞ~

(えっ…抜糸って、そんなに早く終わるの?)

前回は、周辺の皮膚を寄り合わせることができなかったから、左太ももの皮膚を患部に移植したんだけど、その際に医療用ホチキス(ステップラー?)で張り付けた(糸で縫い合わせたわけではない)と思うんよ~

だから、それを外す(抜糸?をするときに)ときに、カチッカチッって音がしていたんだけど、今回は無音。

ということはだよ!

周辺の皮膚を寄り合わせることができた今回は、医療用ホチキス(ステップラー?)ではなくて、糸で縫い合わせていたんじゃないかな?

前回は抜糸と表現しても良いのか?もっと適した別の表現方法がありそうな気がしていたんだけど、今回はまさしく「抜糸」でいいでしょ!

「それでは、ここは今日で終診です。あなたは定期的にかかりつけの皮膚科に通っていますから、何かあれば紹介状を書いてもらって再受診してください」

(やっぱりそう来たか…前回と同じだ)

前回の経験から、ある程度予測できていたから、終診と言われてもあまり驚きはない。

「わかりました。では失礼しま…あっ!そういえば、患部を消毒していないし、ガーゼテープも貼っていないですよね…良いのですか?」

「ええ、抜糸が済んだので…もう必要ありません。今日から普通にシャンプーしても構いませんよ!」

「え〜!もうシャンプーしていいんですか…」

さすがに今日からというのは・・・
さすがに今日からというのは・・・

前回はシャンプーしていいと言われたのって数か月後だったはず…(終診は1年後)

移植をしていないのはあるけど…あまりにも違いすぎる…すべてが早い!

これも、タブレット作戦のおかげだ!

ただ、ここで気を緩めちゃいけない…

後頭部に皮膚癌が出来やすいのは今後も変わらないからね!

  • 自身1回目と同様に、今回も最低5年間は再発しないかを観察すること

  • 新たに発生した皮膚癌を見落とさないこと

この2つを肝に銘じてこれからも頑張っていこう!

「先生…それではこれで失礼します、今回はありがとうございました」

僕は、先生に深く頭を下げると、お礼を言って診察室を出た。

よし…また新たな戦いが始まったぞ!

※自身2回目はここでおしまい


🎯その32 僕が自身2回目の皮膚癌で得た教訓


2021年 (令和3年) 1月 44歳

その後は、自身2回目の皮膚癌で得た教訓を活かして作戦を続けていた。

教訓っていうのは2つ。

1つは〜

脱毛部分と髪の毛が生える部分(毛根がある部分)の境目に癌ができてしまうと、見落とす・判断に迷うケースが今後も考えられると思ったところ。

その点は、これまで以上に短く髪を切ってもらうことで対応していこうと決めた!

なので、ほぼ坊主頭…

そしてもう1つが〜

自分が少しでも怪しい・もしくは判断に迷う皮疹等が見つかったら、すぐに医師へ診てもらうということ。

今回は運良く理容師さんに促されて比較的早い段階で診てもらえたわけだけど、それがなければ、気がついていたのに放置して大きくさせてしまっていた可能性が十分考えられる

それを防ぐためには、気になったら躊躇することなく急いで医師に診てもらうことだと思った。

あっ!そうだそうだ…

そんな僕には、「自身1回目のころから撮りためてきた相当量の画像データがある。いつかきっと、それが花開くときが来るはずだ!

比較をするには十分のデータ量だだけど…少々多すぎるかも!(チェックするのは面倒か?)

いやいや…そんな志ではだめだ!

寝る間を惜しんでも頑張るぞ~

眠たくてもまず確認だ!
眠たくてもまず確認だ!

さてさて…

以前、これまで撮りためてきた画像をチェックしていると、2018年6月時点の画像に、自身2回目の基底細胞癌が映っているのを発見してしまったんよね。

手術まで1年半以上前の画像なわけ…

(えっ…このときすでにあるやん…)

サイズは小さいんだけど、間違いない。

(あの時すぐに診てもらっていたら…)

当時は、完全に見落としていた…

(ま~今更後悔してもすでに遅いってか…それよりも次がないように気を引き締めよう!)

が~ん…1年半以上前の画像に映っているじゃないか~
が~ん…1年半以上前の画像に映っているじゃないか~

そんでもって~

後頭部に皮膚癌が発生する原因はよくわからない。(すでに浴びた大量の放射線という説があるけど)

それでも出来るのは事実であって、今後もそれが変わる兆しは見られない…

だから、自身1回目と2回目の発生場所だけに注意を注いだらいいというわけではなくて、後頭部のほぼ全域に目を光らせる必要がある!

かなり面倒だけど、今後の僕ができる限り元気で、QOL(生活の質)を落とさないためには必要な作戦!

やるしかない!


🎯その33 2つのホクロ

2021年 (令和3年) 4月上旬 44歳

たぶんこの頃からだったと思うんだけど、撮りためている画像を時系列でチェックしていた時、後頭部左側の首に近いところにある2つのホクロが気になってきた僕。

2つだったかな~?
2つだったかな~?

(たしか…以前あそこにはホクロが1つだけしかなかったんじゃ?)

最近の画像には、米粒くらいのホクロが2つ映っていて、片方は茶色なのにもう片方は真っ黒。大きさは同じくらいだけど何故か色が違う…

茶色のホクロは同じようなのが他の場所にもあったから、怪しいのは真っ黒の方。

2017年11月頃に初めて撮った画像(自身1回目が見つかったときの画像)を見返してみる…

(やっぱり…以前は茶色のホクロしか映っていない!)

いや…よく目を凝らして見てみると、同じ場所に当時もうっすらと針で突いたくらいの大きさで映っている。色は淡い肌色だけど、同じものと考えて良さそうだ!

ということは、3年ほどかけて色合いが変わって大きくなっていることになる。

もちろん、考えすぎな部分もありそうなんだけど、なかったようなものが、明らかにあるということは何か怪しいと思うし、素人の僕には、それを放置していいものなのかを判断することができない

(自身2回目の時も痛い目にあったじゃないか?その二の舞を踏むわけにはいかないぞ!教訓を活かせ~)

そう思った僕は、急遽かかりつけの皮膚科を外来受診することに決めた。


🎯その34 自分で考えた作戦で、お医者さんも迷うほど小さな皮膚癌(疑い)を見つけ出した僕は、ただのヨワヨワマンじゃないんだぞ〜エッヘン!すごいすごいヒューヒュー大丈夫だ〜

2021年 (令和3年) 5月上旬 44歳

(いや、焦ることはない…)

当初は思い立ったその日にでも外来受診する気でいたんだけど、これまでの経験上、皮膚癌は1か月程度で急激に変化はしないと判断した僕。

どうしよう…急いで診てもらわないと!死ぬかもしれないやん…

そんなふうに思い悩む方が、返って自分のためにならない。ここは、「急がば回れ」が正解ルートだ!

そう思った僕は、仕事や生活を優先。

そして迎えた5月の定期受診日。

「先生、診てほしいのはここなんですけど…」

タブレットで2つのホクロが映る画像を見せながら、以前はホクロが1つだった場所に、色違いのホクロ?が映っていることを説明したところ…

「う~ん…すごく小さいので判断が難しいのですが、おそらく皮膚癌の可能性がありそうですので、また大きな病院で一度診てもらったほうが良いでしょう」

「そうですか…分かりました」

本当に皮膚癌としたら、自身3回目になる…

正直、やっぱりショックだ

でもさ〜これってタブレット作戦の成果が出ているからこその早期発見でしょ?

(残念なのはわかるけど…それ以上に、堂々と胸を張っていけばいいんだぞ!)

自分で考えた作戦で、お医者さんも迷うほど小さな皮膚癌(疑い)を見つけ出した僕は、ただのヨワヨワマンじゃないんだぞ〜エッヘン!すごいすごいヒューヒュー大丈夫だ〜

そう自分に言い聞かせた僕は、先生が書いてくれた紹介状を手に大きな病院を受診する。

先生、行ってきます!
先生、行ってきます!

🎯その35 ええ~~~車いすに座ったまま今すぐ手術って・・・そんなに緊急事態だったの?

2021年 (令和3年) 5月中旬 44歳

これまでの経験から、まずは生検をして確定診断するんだろうと予測した僕。そうすれば最低でも2週間はシャンプーができなくなることから、行きつけの理髪店に行き丸坊主(一ミリ)にしてもらい、ヘルパー事業所には、消毒をお願いすることになるかもしれないことを伝えて、人員確保をしておいてほしいとお願いした。併せて、消毒に必要な滅菌済の綿棒などをドラックストアで購入。

そんな用意周到な僕だったんだけど…

今回は少し意外な展開が訪れることになっちゃう。

ここまで準備してたのにな…ま~無意味じゃなかったけど
ここまで準備してたのにな…ま~無意味じゃなかったけど

「辛島さん、中へどうぞ!」

「失礼しま…(あれ?)」

看護師さんに名前を呼ばれ診察室へ入ると、かかりつけ医からの紹介状を片手に持ちながら、先生(自身2回目の執刀医)が別の医師と何やら話し合っている様子…

別の医師というのは…

自身1回目の時に太ももの皮膚を採るために手術室にいた男性医師だ!

ということは、先生(自身2回目の執刀医)よりも経験豊富な上司に当たる立場なんだろう。

(それにしても、何を話しているのかな?)

気になってじっと眺めていたところ、僕がいるのに気が付いたのか?目で合図しあってから別の医師はいなくなり、先生(自身2回目の執刀医)は僕の後方に回ってパシャパシャと写真を数枚撮ってからこう言われた。

「今日採ってしまいましょう!」

「えっ、いきなりですか!これまでみたいに生検は…」

「本来であれば、まず組織を調べる生検を行ってからどうするかを決めるのですが、あなたが後頭部に皮膚癌が出来やすいこと・患部がかなり小さいことなどから、生検をしないで採り除くことにしたのです」

「そうなんですか…」

「ただし、皮膚癌ではない可能性も十分考えられますので、術式は皮膚癌摘出手術ではなく、ホクロの除去術になります。もちろん受けないという選択肢もありますがどうされますか?」

「わかりました。手術は是非とも受けたいのですが…今日って言われましたけど、今から手術室でしょうか…」

「いえ、ここで(外来診察室)」

「えっ、ここで?」

「ええ、患部がとても小さいので入院して手術室で採る必要はないです」

「そうなんですか~では(そこにある)診察用のベッドに寝てですか?」

「いえ、車いすに座ったままで十分可能です」

「ええ~~~車いすに座ったまま手術なんですか!大丈夫でしょうか…」

「心配いりません。ただ、今日は本当なら手術日ではないため、他の外来受診患者さんを診なければなりません。ですので、他の外来受診患者さんを診察し終えるまで待てますか?手術自体は10~20分です。待てないなら後日改めて手術になりますが、いつになるかは未定です」

「もちろん、今日お願いします!」

「わかりました。術後は生検後と同じで毎日自宅で消毒が必要になるのでヘルパーさんなどにお願いできますか?」

「一応その可能性があるかもしれないと言ってありますので、今から連絡してみます」

僕はそう言うと診察室を出て、予想通り消毒が必要になった事をヘルパー事業所へ連絡した。(これまで同様、臨時で毎日入ってもらえようになった)

さてさて…

時刻は14時を過ぎていたかな…ようやく外来診察室に呼ばれた僕は、言われていたように車いすに座ったまま15~20分くらいの摘出手術?を受けた。

意外と車いすに座って手術を受けた方がいいかも!
意外と車いすに座って手術を受けた方がいいかも!

「今回は生検をせずに採ってしまったので、現段階では皮膚癌ではなくてホクロの可能性もあります。詳しい検査の結果は消毒が終わった2週間後の再来日にお伝えします」

「わかりました」

ま〜今から詳しく調べてみるとは言っていわれていたけれど、もう採ってしまったからな~…今更僕には必要ない答えだったりして…


🎯その36 自身3回目が確定したのは残念だけど・・・僕は相手に会心の一撃を与えることができた。後悔はしていない!

2021年 (令和3年) 5月下旬 44歳

診察室での手術後、「消毒作業」をヘルパーさんにお願いしていた僕。

もう3回目になるから、作業手順は僕が言わなくてもヘルパーさんが覚えていて手際よくやってくれる。

「保護テープを剥したら、一枚写真をお願いします」

そう言ってタブレットを渡して患部を撮影してもらう僕。

(お~1つになっているやん!)

撮れた画像を確認したところ、2つあったホクロは1つになっている。残っているのは茶色のほうだから、やっぱり予想していた真っ黒い方が「癌疑い強し!」だったということか…

それにしても…術後の患部は前回と同じでグロテスク!

広範囲にザックリと採られていて黒い糸で周囲の皮膚を寄り合わせているんだけど、贈答用の高級ハムみたいに、その周辺がブニョブニョに腫れあがっている(よく見ないと縫い目がわかりにくい…)

(毎回思うけど…きちんと治るのかな?)

そんな不安が募る中、ヘルパーさんのおかげで細菌感染することなく外来受診日を迎えた!

「辛島さん、中へどうぞ!」

診察室に呼ばれて中へ入ると、先生は僕の後方に回って手術痕を確認。そして抜糸をしながらこう言われた。

「前回ここで採ったものを詳しく調べてもらったら、やはり皮膚癌でした。種類はこれまでと同じで基底細胞癌です」

「やっぱり、そうでしたか…」

これで自身3回目の皮膚癌になってしまったな~とちょっぴり残念に思っていたところ…

「あと、今回でこちらは終診になります。あなたは定期的にかかりつけの皮膚科に通っていますから、何かあれば紹介状を書いてもらって再受診してください」

(おっ!これ朗報だぞ~)

この流れは、これまで何度かあった良い兆候のしるし!

「わかりました。再び癌が出来たのは残念ですが、早く採ってもらってよかったです。ありがとうございました」

早期発見早期治療によって、発生を防ぐのは難しい皮膚癌を小さいうちに叩き潰す…

そのために考えたタブレット作戦が、見事成功したということだ!

やったぞ~~~

自身3回目は僕の思惑通り!作戦大成功だ~
自身3回目は僕の思惑通り!作戦大成功だ~

※自身3回目はここでおしまい


🎯その37 獲物は逃がしちゃいけないぞ!

2022年 (令和4年) 3月上旬 45歳

自身3回目の皮膚癌は、タブレット作戦の効果が如実に出た結果だった。

ま~自身2回目も、作戦のおかげで早期に治療を受けることには繋がったんだけど、理容師さんの強いプッシュがなかったら「気づいていながら放置していた可能性が高い」わけで…「理容師さん様様」なわけ!

言い方が何か悪いかもだけど、手柄は理容師さん…

それが、自身3回目は発見した時に放置せず、速攻で動いた!

結果は皮膚癌ではあったけど、入院の必要がない初期の初期で、外来診察室で採ってもらえた!

(ヌハハハハ、この調子で作戦を続けていけば、きっと後頭部皮膚癌と付き合っていける!)

そんな感じで、ご機嫌だった僕が念入りに画像をチェックしていると、自身1回目の時に皮膚移植した場所の左右2か所に、数ミリ程度のごく小さな皮疹があるのに目が留まった。

(あれ?こんなの、前からあったっけ…)

なんだこれ?
なんだこれ?

慌てて、2017年ごろの画像(手術直後)を見てみる…

あるように見えなくもないけど、光の反射?撮影方法?によるものと思ってしまうレベル。

昨年あたりの画像はどうだろう…

今よりは小さくて色合いも薄いけど、2017年時点よりは大きくなっている…

ということは成長している?

(う~ん…怪しい!かかりつけの皮膚科で診てもらったほうがいいな…)

そこで急遽、かかりつけの皮膚科を受診。

「先生、ここなんですけど…皮膚癌でしょうか?」

タブレットを持参して、取りためた画像を診てもらう僕。

「う~ん、癌細胞というよりはコメドのように見えますから、今回は皮膚癌の可能性はかなり低いと思いますよ」

「そうですかね~撮りためてきた画像から成長しているように見えるのですが…」

「万が一皮膚癌であったとしても、基底細胞癌ではなさそうですよ。目視ですから確実とは言えませんが、それぞれ(形に)特徴がありますから」

「じゃ~基底細胞癌ではないとしたら?」

「私は、有棘細胞癌を疑いますが、確実なのは大きな病院で生検をしてもらうことでしょう。ただ、まだ小さいですから、もうしばらく様子を見ても良いかと思いますよ」

「そ、そうですか…でも、このままでは不安なので…」

有棘細胞癌って言ったら、基底細胞癌以上に悪性度が高いはず…

作戦によって早期に発見できたけど、これまでのように(基底細胞癌のように)順調に軽快していけるのかはかなり疑問。

それでも、大きくなってからよりは、基底細胞癌と同じで軽快する可能性が高いはず!

せっかく釣った獲物?を、見す見す取り逃がすようなことは、あってはならない…(まだ小さい段階で癌を見つけたのに、放置して結局取り返しがつかないことになるのだけは避けたい)

そこで、見つけた小さな皮疹2か所が何かを突き止めなければ、どうしても不安で我慢できなかった僕は、先生に無理を言って大きな病院への紹介状を書いてもらった。


🎯その38 毎度のことだけど、結果がわかるまで長いんだよね・・・やけ食いでもしないと不安で仕方がないやないか~い!

2022年 (令和4年) 3月中旬 45歳

後日、無理言ってかかりつけ医に書いてもらった紹介状とタブレットを持って、大きな病院を受診した。

「辛島さん、中へどうぞ!」

名前を呼ばれ診察室へ入ると、以前とは異なる男性医師。自身1回目の執刀医であった女医先生と同じように異動されたのかな?

「あっ、初めまして。2017年ごろ基底細胞癌が出来た場所の近くなんですが…」

タブレットの画像を見てもらいながら、紹介状に書いてもらった2か所を診てもらった。

「これらが、皮膚癌じゃないのかなと…」

「わかりました、診てみますね」

先生はライトがついた拡大鏡(ダーモスコピー?)で、2か所を確認した後にこう言われた。

「う~ん、どちらも癌細胞だと断言できません。まだ小さいですし今回は様子をみてよいと思いますが…」

かかりつけ医と同じようなことを言われる…

いや…後頭部は発生危険地帯なんだから、癌細胞の可能性は否定できないぞ!
いや…後頭部は発生危険地帯なんだから、癌細胞の可能性は否定できないぞ!

「いや~このままでは不安ですから…生検をしてもらえますか?」

僕は迷うことなく2か所とも生検を希望。

「わかりました」

先生はそう言われると、2か所に局所麻酔を打ってから、一部細胞を切除。

「結果が出るまでに2週間程度かかりますから、それまでは毎日消毒をしてください。そして結果を聞きに再受診をお願いします」

「わかりました、ありがとうございます」

僕はそう言うと診察室を出て家路へと向かった。

これまで通り、消毒作業をヘルパーさんにお願いする手配をしたあと、今回の結果を予想してみる…

お医者さんは、癌細胞以外の可能性が高そうと言っていたけど、撮りためてきた画像を確認してみて、前からあったわけではないことから、自身4回目の基底細胞癌か、別種類の皮膚癌を疑う

ま~素人が深く考えても意味がないかもだけど、これから2週間か~…

・・・

毎度のことだけど、結果がわかるまで長いんだよね…

これじゃ~やけ食いでもしないと不安で仕方がないやないか~い!

不安だとしても、食べすぎはNG!
不安だとしても、食べすぎはNG!

🎯その39 女医先生、5年をクリアしましたよ~!

2022年 (令和4年) 3月下旬 45歳

待ちに待った…いや、待ちくたびれた再受診日。

生検結果が2か所とも問題ないとは考えられない僕…

最悪な場合自身4回目と5回目のダブルパンチになる可能性だってあると覚悟の上で大きな病院へ向かった。

「辛島さん、中へどうぞ!」

名前を呼ばれ診察室へ入ると、先生はいきなり僕の後ろに回ってきて、以下のようなことを言われた。

「それでは今から抜糸をしますから、少しチクッとしますよ~」

(ま〜そうなるわな…)

これまで経験した3回の皮膚癌も、生検後は一度抜糸をしている。

(抜糸はわかっていたから、早く生検結果を知りたいんだよね…)

そう思っていたところ、抜糸を終えた先生が目の前のデスクに戻ってきた。

「あの~先生…2か所の生検結果はどうだったのですか?…」

恐る恐る質問する僕。

「どちらも悪性のものではありませんでしたよ」

「えっ…2か所とも…ですか?」

「はい」

「…ってことは、手術をしないで良いということですか?」

「そうです、それと今日でここは終診となります」

「えっ!それじゃ~今後ここへ来るする必要はもうないのですか?」

「ええ、今後はこれまで通りかかりつけの病院で診てもらって、何かあればまた紹介状を書いてもらってください。大事に!」

「そ、そうですか…」

僕が思っていたのと違う展開…まさかこうなるとは… 

「えっと…それじゃ~気になっていた2か所は一体何だったのですか?」

「色合いが濃い方は、脂漏性角化症 (しろうせいかくかしょう)、 もう1か所は(1回目の基底細胞癌)手術による色素沈着のような状態です。

「そうだったのですか…」

2か所とも数ミリ程度ではあったけど、周辺の皮膚とは色合いは異なり少し盛り上がっているように見えたから、必ず何かあるんだと疑っていた僕…素人だから無理もないんだけど、少し残念な気分だ。(ま〜皮膚癌ではなかったって言うのは嬉しいんだけど)

素人には皮膚癌との違いが判らない

今回みたいなことって、タブレット作戦を実行する限り、高確率で起こりうる…

だって、以下の3ステップを踏むわけだから!

①1回皮膚癌を経験してしまった僕は、皮膚に出てくるものすべてが皮膚癌に見えて気になるようになっている

②そうなってしまった僕が、作戦によって小さな段階で皮膚に出て来た何かに気がついて気にするようになる

急いで、その場所を医師に診てもらって経過観察を勧められても、ヨワヨワマンの僕は全て生検を受ける

医師も皮膚癌ではないだろう(もう少し経過を見てみよう)いう状態で生検を受けるんだから、皮膚癌ではないケースが出てきてもおかしくないでしょ?

だからと言って、作戦は止ないよ〜

何も問題ない状態なのに、皮膚癌を疑って生検を受けることは、無駄に体を傷つけるよなもので、出来ることなら避けたい。(その後の処置も必要になる…痛みと労力を伴う、僕にとって少々の痛手!)

でもさ~

生検の痛みは、本当に皮膚癌が見つかったときに比べたら、精神的にも肉体的にもはるかに軽い!

だから、皮膚癌よ…

生検なんて怖くないぞ!かかってこい、返り討ちにしてあげるわい!

生検なんて怖くないぞ!
生検なんて怖くないぞ!

さてさて…

そんな気持ちを忘れずに作戦を続けていた僕に朗報が訪れたのが、9か月後の12月下旬!

(お~ついにやったぞ~)

2017年に受けた自身1回目の基底細胞癌手術から丸5年を迎えたのだ~

これもタブレット作戦を始め、常に後頭部皮膚癌と向き合ってきた成果だ。

(執刀医の)女医先生、5年をクリアしましたよ~!

そう心の中で呟きながら、これからもこれまで通り作戦を続けていこうと胸に誓った僕だった。


🎯その40 ピンチ到来…でもこれって、自業自得じゃない?


2024年 (令和6年) 2月下旬 47歳

「う~ん…急ぐ必要はないのですが、一度大きな病院で診てもらったほうが良さそうです」

あれから、1年数か月が過ぎていた当時、定期受診しているかかりつけの皮膚科で、そんなことを言われてしまった僕。

「えっ、皮膚癌ですか?」

「今回は何とも言えません…」

先生が疑った場所とは、自身2回目の近くで、やや右耳に近い場所だ。

新たな皮膚癌だとしたら、自身4回目になる…
新たな皮膚癌だとしたら、自身4回目になる…

実は、指摘された場所はずいぶん前から気が付いていたんだけど、かかりつけ医に診てもらっていなかったんよね…

(オイオイ、これまでの教訓を忘れたのかよ?)と言われそうなんだけど、理由としては2つあって…

・自身2回目の皮膚癌で手術を受けた場所付近は、今も時々「かゆい?ヒリヒリする?ピリッとする?」ような違和感があるんだけど、手術痕の問題…いわゆる「古傷の痛み」と捉えていたから

・毎度のことのように何枚も撮影をしてくれる理容師さんに、一度この場所が何かを質問したことがあったんだけど、自身2回目の時みたいに医師へ診てもらうよう勧められなかったから

ま~

今振り返れば、これまでの教訓を活かして、僕が少しでも疑ったことすぐかかりつけ医に診てもらうべきだったと思う。

反省…

※あっ!毎回のようにかかりつけ医は後頭部を観察してくれるんだけど、今回指摘された場所は、自身2回目に出来た場所より高い位置。言い換えれば完全な脱毛部分ではなく、髪の毛が少しでも生えると地肌が見づらくなってしまう場所で、限られた診察時間で見つけ出すのは困難だと思うんよ〜

だからこそ、タブレット作戦でこまめにチェックして僕自身が気になった場所を集中的に診てもらう必要があって、これまで指摘されなかったのは先生の見落としというわけでは決してないということはわかってほしいな~

髪の毛に隠れて見つけ出すのは至難の業
髪の毛に隠れて見つけ出すのは至難の業

さてさて…

先生に大きな病院への紹介状を書いてもらい自宅に帰った僕は、撮りためてきた画像をじっくりとか確認してみた。

すると、自身2回目の皮膚癌で手術を受けた2020年の画像には、今回指摘された場所に何も映っていなかった。

(この時は全く映っていないのか…)

ということは、3~4年の間に、目視できるほど大きくなっていることになる。

(なかったものがあるんだから、今回も皮膚癌の可能性が高そうだな…)

そんなことを思いながら、自身4回目の皮膚癌を覚悟する僕だった。


🎯その41 そう言われても、素直に喜べない僕がいる…

2024年 (令和6年) 3月下旬 47歳

かかりつけ医が作成してくれた紹介状を持って大きな病院を受診したのは今月上旬。

その時、かかりつけ医と同じで今回は何とも言えないからもう少し経過を見てはと言われたんだけど、そんな図太い心臓は生憎持ち合わせていないから、これまで同様に生検を受けていた僕。

あれから2週間くらいかな?今日はその結果を聞く日。

「辛島さん、中へどうぞ!」

名前を呼ばれ診察室へ入ると、先生はこのように言われた。

「悪性のものではありませんでしたよ」

「えっ、それじゃ~手術は必要ないのですか?」

「はい、放置していて構いません」

「…ってことは、問題だった場所は一体何だったんですか?」

「年齢を重ねると、どうしても出来やすいイボのようなものです」

「そうなんですか…」

またしても、僕が思っていたのと違う展開…

期待外れなのが来た…?
期待外れなのが来た…?

「今後はこれまで通りかかりつけの病院で診てもらって、何かあればまた紹介状を書いてもらってください」

「それじゃ~今後ここへ再外来受診する必要はないのですか?」

「今回の件はありません。お大事に!」

前回と同じような結果になってしまったわけだけど、それじゃ~時々「かゆい?ヒリヒリする?ピリッとする?」ような違和感というのは一体何なのかということにもなる。

以前書いたように、2回目の皮膚癌が出来て手術を受けた場所付近なので、手術痕の問題…いわゆる「古傷の痛み」と捉えていいのかな?

結果は皮膚癌じゃないみたいなんだけど、何か…不安が残るんだよな~

どうすりゃいいのよ…
どうすりゃいいのよ…

🎯その42 これは作戦を続ける上でのリスク…それを十分わかったうえで、僕はこれからも作戦を続けるよ!

ということで…

これまで、頭部に出てきた皮膚癌(基底細胞癌)は、それぞれ場所が異なる3か所で、未遂(皮膚癌ではなかった)も3か所になった。

●皮膚癌だったケース
①自身1回目(後頭部中心部、学生のころに受けた開頭手術痕周辺にできた基底細胞癌)
・2017年12月末に入院して摘出手術を受け、その後は再発なく経過観察中

②自身2回目(後頭部右耳のやや後ろあたりにできた基底細胞癌)
・2020年3月中旬に入院して摘出手術を受け、その後は再発なく経過観察中

③自身3回目(後頭部左側の首との境目あたりにできた基底細胞癌)
・2021年5月下旬に外来診察室で摘出手術を受け、その後は再発なく経過観察中

頭部に出てきた皮膚癌3か所
頭部に出てきた皮膚癌3か所

●皮膚癌ではなかったケース

①②自身1回目の皮膚癌摘出術を受けた時に、太ももから移植した皮膚の左右に出てきた皮膚癌疑い2か所
・2022年3月中旬に生検を受けた結果、2か所とも皮膚癌ではなく、このまま放置で良いと告げられる。(脂漏性角化症と基底細胞癌の手術による色素沈着のような状態?)

③皮膚癌2回目の近く
・2024年3月上旬に生検を受けた結果、皮膚癌ではなく、このまま放置で良いと告げられる。(脂漏性角化症?)

皮膚癌ではなかった3か所
皮膚癌ではなかった3か所

自身1回目の皮膚癌は考えないとしたら、作戦のおかげで2回小さな皮膚癌を見つけることができた。ただ癌でなかったケースが3回あるけどね…

だから、皮膚癌を早期で発見するよりも、皮膚癌ではなかったケースの方が多い(生検を受けて、ただ痛い思いをした)わけなんだけど、それって野球の打者で考えたなら、「打率4割の強打者」!

作戦の目的は、皮膚癌を小さな見つけることではあるけど、皮膚癌ではなかったからと言って残念がったり負けたと思う必要なんて全くない(むしろ喜ぶべきこと!)

生検の痛みなんてごくわずか。チクチクするからあまり受けたくはないけど、皮膚癌であったなら、それ以上のダメージを体や心に負うことになる…

皮膚癌と未遂(そうじゃなかったケース)

その2つを天秤にかけるとしたら…僕は今後も作戦を続けていきたいな!

癌のほうがダメージは重い…
癌のほうがダメージは重い…

※作戦のおかげで、早期に皮膚癌を見つけることができ、回を重ねるごとに体や心に負うダメージが軽くなっています。

1回目の時:入院が必要・皮膚移植も必要で・退院後の外来受診が長期
2回目の時:入院が必要・皮膚移植の必要はなし・退院後の外来受診が短期
3回目の時:入院の必要はなく、外来受診時に手術することができた・外来受診は1回

※未遂(皮膚癌ではなかったケース)はここでおしまい


🎯その43 僕が考案した作戦の抜け穴に…これが皮膚癌なら、大誤算だ…

2024年 (令和6年) 5月中旬 47歳

「辛島さん、そこにあるホクロみたいなのって、前からありましたっけ?」

数ヶ月前に受けた生検の跡もすっきり消えてくれたし、皮膚癌ではなかったことにホッと胸をなで下ろしていたとき、職場の同僚にそう言われた僕。

「えっ、どこですか?」

「ほら、ここですよ」

同僚が自身の頭を指さして場所を教えてくれる。

「えっ、前(前頭部左側の額に近いところ)ですか?」

てっきり後頭部のどこかだろうと思っていた僕は、ちょっぴり拍子抜け…

同僚のジェスチャーを参考にして手鏡で確認してみたんだけど、髪の毛が邪魔してよくわからない。(立っていると分かったみたいだから角度の問題?)

「それで撮ってみましょうか?」

僕が持っているタブレットを指さしてそう言ってくれる。

「すいません、お願いします」

髪の毛をかき分けながら、数枚の写真を撮ってもらい確認したところ…

黒くて丸いホクロのようなものがある。大きさは5ミリくらいかな?

なんだあれ?いつからあったんだ…
なんだあれ?いつからあったんだ…

と言っても、「後頭部にたくさん放射線を浴びたことが、皮膚癌が発生する有力な原因なんだろうと思っていた」僕は、すぐに皮膚癌だとは思えない。

2017年に初めて皮膚癌が見つかって以降、確認しやすいよう常に髪を短くしておくのも、考案したタブレット作戦で撮影する場所も、後頭部が中心だった。そんな僕に、今回浮上した問題点を画像で振り返ってみることはほぼ出来ない…

ま~今振り返れば、時々チクチクと痛みがあった場所なんだよね…

それでも確認してこなかったのは~

①21年に受けた開頭手術における手術創の影響なのか、重苦しく感じるときがよくある。(いわゆる古傷の痛み)

②強烈片頭痛が起きる場所で、年に数回の動けなくなる日以外でも、チクチク・ズキズキと痛むときがよくある

③皮下に貯留する膿(皮下膿瘍)が影響する違和感

そういう常習的に?何らかの痛み・違和感・重苦しさがあるところだったからってのが大きい。

先ほど、「後頭部にたくさん放射線を浴びたことが、皮膚癌が発生する有力な原因なんだろうと思っていた」と書いたように、現時点では皮膚癌の発生原因が高い放射線量なんだろうと思っている僕。

放射線量の高低差関係なく、浴びたこと自体が皮膚癌の発生原因になるのなら、前頭部や背中(脊髄?)にも少し放射線を浴びているんだから、作戦そのものを見直していく必要があるのかもしれない。

あっ!

あそこは放射線量があまり高くない(と思う)前頭部だけど、髄芽腫が播種した場所に近くて、局所的にガンマナイフ(高い放射線)を受けていたぞ!

ガンマナイフ(前頭部でも、局所的に放射線量が高くなっている)が影響しているのかはわからないけど、これは怪しいと思った僕は、かかりつけ皮膚科の定期受診日に相談してみることにした。

「う~ん…」

ここからはこれまで通り…

やはり怪しいとのことで、再び大きな病院へ紹介状を書いてくれた。

数ヶ月前に書いてもらったときとは違って、皮膚癌の可能性が高いみたい…

自身2回目や3回目とは違って、ある程度大きいからな~

もし本当に皮膚癌なら、皮膚移植になっちゃうのかな…


🎯その44 悔やまれる自身4回目の皮膚癌…それは出来たことではなく、発生した場所にあった!

2024年 (令和6年) 5月下旬 47歳

かかりつけ医が書いてくれた紹介状を握りしめ、すぐに大きな病院を受診していた僕。

以前いた男性医師から女医先生にバトンタッチしていたけど、流れ?はこれまでと変わることなく…生検を勧められ、断ることなく受けていた。

今日まで消毒作業が必要だったけど、後頭部に出来ていたこれまでと違って、今回出来たのは前頭部だからヘルバーさんにお願いする必要がなくて自分で出来たのは気が楽で良かった!

ただ、生検した場所が脱毛部分ではなく髪の毛が生えている場所だから、ガーゼを貼りたくてもテープがぺロリとすぐに剥がれしまうので困ったけどね。

さてさて…

生検結果は、残念ながら自身4回目の基底細胞癌だった。

自身1回目の執刀医だった女医先生とは少しタイプが異なる?今回の女医先生が言うには、触診などから皮膚移植(植皮)が必要になりそうだとのこと。(だったら、上記したように術後、保護テープが剥がれそうな気がするんだけどな…)

「え~そんなに大きな皮膚癌ではなさそうな気もするんですが移植が必要なんですか…」

僕が驚いて落胆していると、女医先生はこう言われた。

「確かに、あなたの癌細胞は大きくはありませんが、皮膚移植が必要になるのは、癌細胞が大きいから(切除する範囲が広くなって寄り合わせるのが困難だから)という理由だけではありません。周辺の皮膚が体質的に脆弱で寄り合わすだけの強度がない場合などは、余裕を持たせる意味合いですることもあるんですよ。特に辛島さんは、21年に受けた手術創に近いため一層移植したほうが良いでしょう。」

「そうなんですか~」

(僕の場合は、癌細胞が大きいからというよりも、皮膚がヨワヨワしているから…さすがヨワヨワマン!ま~割り切っていくしかないな…)

移植なんて怖くないぞ
移植なんて怖くないぞ

さてさて…

今回の皮膚癌が前頭部に出来たことは悔やまれる。

なぜなら…

今までは皮膚癌が出来る原因が、高い放射線量なんだろうと思ってきたから、後頭部を重点的にチェックしてきたわけで…

その抜け穴というのか?ノータッチと言ってもよかった今回は自身2回目や3回目よりは大きいはずだから。

作戦を前頭部にも適応させていたら、もっと小さなうちに発見できたんじゃないか?

自身1回目も皮膚移植を受けているんだけど、移植した場所は後頭部の脱毛部分だった。そのため、髪が生えなくてもこれまでほとんど気になったことがなかったんんだけど、今回は違う。10円ハゲみたいになるんだろう…

部分ハゲ…

(ま~今更、悔やんでも仕方がないけど、移植後は一生髪の毛がそこだけ生えないんだろうな…)

そんなことを思いながら、自身1・2回目の手術前と同じで、心電図検査・胸のX線(レントゲン)検査・採血(スティック5本)を受けてから病院を後にしたのでありやした~


🎯その45 ガリガリボーイ

2024年 (令和6年) 47歳 6月下旬

入院する日がついにやって来た!

玄関から車まで運転手さんに荷物を運んでもらい、予約済みのリフトタクシーで大きな病院へ。

「辛島さん、お久しぶりですね~」

大きな病院に着いてから、入院手続きを済ませて病室で待機していると、女医先生が男性医師らとやってきて、にこやかにそう言われた。

「皮膚癌の大きさに変わりがありますか?」

前回の外来から2週間ほど経過していたから、その間に大きくなっているのかが心配な僕。

「いえ、変わらず4ミリ程度ですよ」

「そうですか、それは良かったです!では、移植の方は…」

そう言うと、隣にいた男性医師が前に出てきて患部周辺を触診。

その結果、やはり周辺皮膚が脆弱なため、寄り合わせが難しいので移植が必要とのこと。

「今回は太ももではなく、ここ(女医先生が自身の体を指さしている)からの移植を予定しています」

「えっ、そこ(胸の端っこあたり?)からだと車いすを漕ぐ時に支障が出そうですから…以前(自身1回目)と同じで太ももからのほうでお願いできませんでしょうか…」

車いすを満足に漕げないのは死活問題になりかねないと焦った僕は、なんとか変更できないかお願い。

そこからだと車いすを満足に漕げないかも?
そこからだと車いすを満足に漕げないかも?

「分かりました、では右足の太ももからにさせていただきますね!」

「ありがとうございます」

さて、今回は自身5回目となるお尻のケガで処置の真っ最中…
※詳しくは、「僕とお尻のケガ」を参照ください

訪問看護さんの連携がしっかりしていて、入院中は病棟の看護師さんに処置をバトンタッチ!

その際に、仙骨部褥瘡(尾骨周辺)は仰向けで寝ていて当たる部分にはないみたいなんだけど、大事をとって入院する患者標準のマットレスではない?低反発マットレスに変えてくれた。

そして、夕食後に久しぶりの体重測定~

※自身1回目と2回目にもやったので詳しく書いていますが、覚えていない人がいましたら、以下の記事を参照ください。

引き算?
引き算?

ま~標準体重よりも15kgは少ないかも…

ガリガリボーイだ~


🎯その46 耳の聞こえがよろしくない僕に、局所麻酔での手術は極めて困難だったけど、一つだけ良いことがあった!

11時ごろから点滴が始まった。(自身2回目の時の悪夢は免れて一発針刺し成功!)

それからは毎度のことながら、ベッドに寝て待機。

13時過ぎに手術室へ呼ばれたんだけど、ベッドに寝たまま行った自身1回目や2回目と違い、車いすを押されて向かった。

(へ~手術室っていうのは何部屋もあるのか~)

いわゆる、「手術室がたくさん集まっている空間」にやってきた僕は、その1室の中へ…

「手術台までの2段ある階段は上れますか?」

補聴器を外す必要があったので、マスク越しに喋りかけてくる女性が何を言っているのかよくわからなかったけど、指差や目線から上記したようなことを言われていたと思う。

何言っているの?
何言っているの?

「無理で〜す」

僕がそう言うと、車いすの高さと同じくらいのストレッチャーが隣に…

(多分これに乗れということやろう)

そう思った僕は、サポートを受けながらストレッチャーへ移乗した。
ストレッチャーは手動?で高さ調節ができ、手術台と並行にすることができたから、後は数人の力を借りながらスライドするようにして何とか手術台に辿り着くことができた!

「人工の皮膚を移植する方法が…」

他のスタッフが手術の準備をする中、執刀医の女医先生が耳元でそんなことを言われる。もちろんしっかり聞こえていない(話を理解できない)僕は会話不成立になったんだけど、移植の時に自身の皮膚を用いるか・人工の皮膚を用いるかで、それぞれのメリットやデメリットがあるんだというような話をされていたような気がする。

「では、今から始めますね」

女医先生の声と共に目の前には飛沫防止?目隠し?の布みたいなのが被せられて手術が始まった。

皮膚癌の手術は局所麻酔だから、痛みは感じないけど声は聞こえてしまうという恐ろしさがある。

その点は、難聴の僕にとって有利な点かな?

手術は予定通り、右太ももの皮膚を移植して40分くらいで完了した。

「今日はお疲れ様でした」

術後に病室でうたた寝をしていたところ、女医先生や男性医師が顔を見せに来てくれた。

「あっ、先生方!今日はありがとうございました」

「手術の結果ですが〜」

「わ〜少しだけ待ってください!補聴器をつけるので…」

これは聞き逃すわけにはいかないと、急いで補聴器を付る僕。

「基底細胞癌は完全に取り除いた上、予定どうり右太ももの皮膚を移植しています」

「わかりました」

すでに、自身1回目の時に太もものグロテスクな光景を目の当たりにしている僕…まだじっくり見ていないんだけど、今の状態はなんとなく予想が付く。それより気になるのは、位置的に車へ車いすを入れたり出したりする時に、タイヤが上を通過しそうだという点。

少し不安だけど、自身1回目の時だって何とかやっていたんだから今回も僕ならクリアできるはず!

タイヤが上を通過しそう…
タイヤが上を通過しそう…

頑張ろう!


🎯その47 退院は、「うれしさ」よりも、前途多難な今後が、どうかスムーズにいってほしいと願う「切なる思い」の方が強かった…

「それでは、ご希望通り明日退院を許可します」

術後翌日、病室に来られた女医先生は僕の状態を見た後にそう言われた。

「やった~良かったです!」

「ただ、手術中にも少し申し上げましたように、おでこ(以下、前額部)の中央にあった瘡蓋は術前の消毒中に採れて中から半透明の液体が出てきました。これは癌ではなさそうですが穴が開いている状態です(潰瘍?)。21年に受けた開頭手術での影響が考えられますので、一度執刀医に診てもったほうがいいです」

「そうですか…」

大仏様みたいだ…
大仏様みたいだ…

女医先生が心配するのは、おそらく「一応解決済みの件」だと思う。
※21年に受けた開頭手術については以下を参照ください

ただ、久しぶりに瘡蓋が取れた前額部の状態(穴が開いている?陥没している?)は以前よりも悪化しているように思えたし、そこを皮膚科医が心配しているのは事実…

(大丈夫だと思って向き合ってきたけど、一度執刀医に診てもらわないと不安になってきたな…)

これは、皮膚癌が落ち着いた後も問題は山積みなのかもしれないな~と肩を落とす僕に、女医先生は続けて以下のようなことを言われた。

「今後は薬や治療もありませんし、食事や行動の制限も必要ありません。それに、まだ頭は洗えませんが、首から下はシャワーを浴びてもよいですから生活がずいぶん楽だと思いますよ」

「確か…カラヤとかいう防水テープを右足の移植に使った部分には貼っているんですよね?」

「よくご存知で」

「以前左足の太ももから皮膚を取った時にも貼っていましたから…」

2017年(自身1回目)の移植痕が左足・今回は右足でカラヤを貼っている
2017年(自身1回目)の移植痕が左足・今回は右足でカラヤを貼っている

「なるほど、記憶力がありますね」

「そうですかね…」

女医先生が褒めてくれるのは嬉しんだけど、お尻のケガが治っていない今はシャワー浴も難しい。

「次回は1週間後、抜糸のために再来をお願いします」

「わかりました」

(ま~色々不安だけど、これまでもやってこれたたんだし…やるしかないか!)

というわけで~

手術が行われた週末に退院が決まった僕は、前途多難な今後に少し不安を感じ乍らリフトタクシーを予約するために通話可能エリア?(病室でも電話していいのかもだけ)へ移動した。

あっ!僕が言う「前途多難な今後」ってやつは、「医療機関との関りがこれまで以上になる」ことから起きそうなんよね…

まず、今後は訪問看護さんに処置をお願いすることが増える。
・お尻のケガ
・頭部の消毒

そして、医療機関を受診する機会も増える。

・頭部と皮膚移植で採った右足太ももの抜糸をここ(大きな病院)で
・おでこの状態を執刀医に診てもらう
・お尻の状態を(大きな病院ではない)女医先生に診てもらう

その上で、これまで通り僕の考える自立した生活をこなす必要がある。

そこには「仕事」や「単身生活」・「車の運転」があるでしょ?

・勤務が休みがちになるため、いづらくなる雰囲気にならないか?
・右太ももの皮膚移植部分は、車へ車いすを入れたり出したりするときの負担にはならないのかな?
・炊事、洗濯など家のことをして、食事もしっかりと摂れるのか?
・補聴器を外した時はもちろんだけど、付けている時も思うように聞こえていないショック…

職場にいづらくなりそうだ…

どうか、今後がスムーズにいきますように…


🎯その48 一件落着なのか?まさかの終診は、一つの区切りであっても課題は山積みかも…

2024年 (令和6年) 7月上旬 47歳  

退院から10日後、大きな病院への再来日がやってきた。

女医先生に言われたように、これまで頭部の消毒は欠かさず行っていて、ガーゼ保護もしてきた。(と言っても僕じゃなくて、訪問看護さんがしてくれたんだけど)

果たして結果は?

「辛島さん、中へどうぞ!」

名前を呼ばれて診察室へ入ると、まずは看護師さんから診察台へ仰向けになって右太もも(移植に使った皮膚部分)がわかるよう衣類を脱いでおくように言われる僕。

「辛島さん、退院後はお変わりありませんか?」

しばらくすると、隣の部屋から女医先生が飛沫を防ぐためなのか?ゴーグルを掛けてやってきた。

「ええ、おかげさまで」

「それは良かったです、それでは確認しますね」

右太もも(移植に使って皮膚部分)に近づいて真剣な表情を浮かべる女医先生。

「うん、良いですね!」

「やった、良かった~」

「それでは抜糸をします」

ほんのわずかな時間で抜糸を済ませ、今度は僕の頭(手術創・移植部分)を確認するため目前にやってきた。

「それでは確認しますね」

右太ももの時と違って、なぜか僕が目視できない位置で確認する女医先生…

果たして結果は?

「うん、良いですね!」

「やった、良かった~」

「それでは抜糸をします。少し時間がかかりますよ」

そう言われたとおり、5分くらいかかったのかもだけど無事に抜糸は終了したみたい。

「足の方も頭の方も状態は非常に良好です。これなら頭からシャワーを浴びても良い(湯船に浸かっても良い)です。ただシャンプーをするときは、手術したところをゴシゴシしないでくださいね」

「わ、わかりましたけど…早すぎません?」

「そうですか~?もう2週間くらいになりますから大丈夫ですよ」

「そうですか…」

お医者さんがそう言われても、小心者のヨワヨワマンにシャワーを浴びる・シャンプーをする勇気なんてないわけで…

こんな日はいつ来るのか…
こんな日はいつ来るのか…

(しばらくは自身1回目の時と同じで清拭で我慢をするだろうな~あっ!以前と違って、今は訪問看護さんが着てくれているから、今後消毒の必要がなくなっても、自信が付くまでは手術創・移植部分周辺の清拭などをお願いしようかな~)

そんなことを思っていると…

「それでは、今日で終診です。今後はかかりつけの皮膚科で経過を診てもらってくださいね」

女医先生がまさかの一言。

「え~~~!ここは全て終わりなんですか?」

「今後は半年の経過観察を行う予定でしたが、すでに辛島さんは毎月定期で皮膚科医に診てもらっていますから、ここに来る必要はないと判断しました」

「そ、そうですか…あっ!お、お世話になりました」

ま~流れからいったら、これまでの3回と同じようなものだけど、移植をした自身1回目と比べるとスピードが段違いに早い気がするのは勘違いなのかな?

「あっ、そうだ。では、これまでのように消毒をしたり、ガーゼで保護する必要は?」

「ないです、今日貼っているガーゼやテープは明日には外して良いです」

「そうですか…では移植部分に髪の毛は生えてきますか?」

「う~ん、元々あった場所が太ももですから、手術前のようにたくさんは生えてこないかもしれません」

「わかりました…(やっぱりか~)」

ま~なにはともあれ、とりあえずは一つの区切りになったということかな…

課題は山積みのような気がするんだけどね…


🎯その49 未だにシャワーを浴びる(湯船に付かる)・シャンプーをする勇気なんてないヨワヨワマンの僕を後押しした「あること」とは?

2024年 (令和6年) 7月中旬 47歳

「あの~しばらくの間は頭を拭いてほしいんですけど…」

帰宅後すぐに訪問看護さんへ連絡をして、頭部(手術創・移植部分周辺)の清拭をお願いした僕。

だってさ~お医者さんは湯船に浸かるのはもちろん、もうゴシゴシしなければシャンプーしたっていいと言われるんだけど、泡がモクモク出ている中でそんな器用なこと?ができるわけがないでしょ…

ま~正直言うと頭を触ること自体まだかなり怖いんよね!

そんな僕を変えたのは、その後に受診したかかりつけの皮膚科で言われた
言葉が一つ…

「怖いのはわかりますが、患部をお湯で洗い流すことは非常に大事ですよ。ゴシゴシするのはもう少し先でも、泡を乗せるような感じでその後に生暖かいお湯をかけてみてください」

(そうだよな~怖い怖いと言って患部を避けて清拭をしていたら、細菌感染だってありうるし…)

そう思った僕は意を決して訪問看護さんに電話。

「お湯をかける必要性を皮膚科医から強く言われたので、次回から頭の清拭はしないで良いです。患部を避けて清拭するのなら(いずれ)僕でもできますから…」

「わかりました。頑張ってみてください」

そこからは電光石火!

まずは首から下にシャワーをかけてみる…

少々チクッと染みるけど何とか大丈夫そうだ!

※湯船にはそもそも浸からないから首から下の問題はクリア!

そして問題の頭部…

心臓がバクンバクン鼓動する中、チョロチョロと生ぬるいお湯をそ~~~~~と…

(お~なんとないぞ!これならシャンプーもいけそう?)

そう思った僕はシャンプーを泡立ててから患部にちょこんと乗せてみる。

(お~なんとないぞ!これならゴシゴシしなければシャンプーも大丈夫そうだ!)

というわけで、首から下はもちろん、頭部のシャンプーもクリアした僕。まだ術後1か月も経過していない。

振り返れば、2017年に皮膚移植した時はまだ寒い12月下旬だった。今回同様に恐怖心があって2~3か月は洗えていなかったような記憶がある。(まちがい?)

それが今回手術を受けたのは6月下旬。7月に突入した今はもう暑い!

そんな気候も、弱気の僕を後押しした一つになったのかもしれないな~

こんな人になれたかも?
こんな人になれたかも?

🎯その50 根比べ

さてさて…

これで、皮膚癌が4回(後頭部3と前頭部1)で、未遂(皮膚癌ではなかった)が3回になった。

後頭部に皮膚癌3か所
後頭部に皮膚癌3か所
前頭部に皮膚癌1か所
前頭部に皮膚癌1か所
皮膚癌ではなかったケースは3か所
皮膚癌ではなかったケースは3か所

頭部に皮膚癌が出てくる原因はよく分からないけど、こんな感じでニョキニョキと出てきているのは事実…

もし、それが放射線を浴びたことであるのなら、すでに浴びてしまったたことは覆すことができないんだから厄介…

ま~原因はどうであれ、皮膚癌の発生を食い止める術がわからない今は、今後も多少のリスク(未遂のこと)は承知の上でタブレット作戦を続けていくつもり!

それが今の僕にとっては最善の策だと思うから…

ただ、これまでと同じチェック方法では、自身4回目の教訓(前頭部に出来てしまったこと)を活かせていない証拠!(二の舞を踏んでしまう)

そこで~

考え方はこれまでと大きく変える必要はないと思うんだけど、後頭部中心に絞って観察してきたタブレット作戦の見直しと、前頭部を含めて短髪にする必要はあると思う。

①理髪店で散髪をするときは、これまで左右と後頭部にある髪の毛だけを、地肌が確認できるくらいまで短くしていたのを、前頭部も対象に加える(なので丸坊主)

それって、最初は恥ずかしかもだけど、慣れてしまえばシャンプーも楽だし悪くないかも(真冬は気絶するんじゃないかってくらい寒いのはネックだけど…)

②丸坊主にした直後は、これまで通り理容師さんにタブレットで撮影をお願いするが、対象を前頭部・頭頂部も加える

撮影場所が多くなるということは、これまでより枚数も多くなる…

③毎週来てくれるヘルバーさんにもこれまで通り撮影をお願いするが、対象を前頭部・頭頂部も加える

ヘルパーさんは毎週利用しているから、特に前頭部・頭頂部は、3週間ほどしたら髪が伸びてきて地肌が確認しづらくなるかもだけど、次回の散髪までモチベーションを維持するためにも必ず撮影をお願いするつもり。

以上の追加事項があれば、出る杭を出さないようにすることは無理かもだけど、出てきた杭をすぐに打ちのめすことは出来ると思いたい!(いわゆる早期発見早期治療!)

あっ、理髪店へ髪を切ってもらいに行く間隔は、これまでと変える予定はないよ。だって、以前も書いたかもだけど、lヶ月程度で皮膚癌は急激に大きくならないからね!

アップグレードしたタブレット作戦は、今後もきっと僕の強力な助っ人になる!

あっと~この作戦なんだけど、忘れちゃいけないことがあるんよ!

それは…

作戦を怠らないで、早期発見に目を光らせる根気があるうちは、僕が終わるときは(たぶん)訪れないってこと!

逆に言えば、作戦を怠けたり目を光らせる根気が失せてしまえば、皮膚癌の発生を見逃してしまい、最悪僕自身のアウトがやってきちゃうかもしれない…

今後どう転ぶかは僕次第なんだよ~ん。

でしょ~~~~?

でもね、何となく大丈夫な気がするんよね!

僕はヨワヨワマンだけど、地味に向き合っていく自信があるから。

これからも、決して皮膚癌には負けないぞ!

根気があればゴールは見える
根気があればゴールは見える

🎯その51 恐れていたことが現実になるかも…

2024年 (令和6年) 7月下旬 47歳

自身4回目の皮膚癌がようやく一区切りついたかなとホッと胸をなでおろしていた矢先の事…

「じゃ~いつものようにお願いします」

そう言いながらヘルパーさんにタブレットを渡す僕。

その理由は毎回お尻の写真を撮ってもらうため!(ケガをしていないかをチェックするため)

(あれって何だろう?)

撮ってもらった写真を早速見ていたところ、たまたま背中の腰あたりが映っていて4回目の皮膚癌より少し大きな(6~7ミリ程度)ホクロのような出来物が…

嫌な予感…
嫌な予感…

以前書いた記事にも書いているんだけど、僕は頭部全体と背中(脊髄?)に放射線を浴びている。

4回目に皮膚癌が前頭部に出来た時、「皮膚癌が発生する有力な原因は放射線量の高低差関係なく、浴びたこと自体なのかもしれない」と思うようにはなっていた。

だからタブレット作戦を後頭部中心ではなくて頭部全体に広げたわけ!

ところが、背中(脊髄?)はまだ作戦に加えていなかった…

(やっぱり背中にも出てくるのか…一体いつからあったんだ?)

そう思った僕は撮りためた画像を見返してみる。

ところが、生憎作戦対象外だった背中の画像がなかなか見つからない…

(やばい…どうたらいいんだ~)

焦る僕に天使が舞い降りた…というのか、2000年(4年前)ごろ車いすに乗っていて誤って背中から転倒した時の写真を見つけた!(所々ケガをしたため看護師さんに撮ってもらっていた)

(な~んだ、今と同じところに映っているやん…けど明らかに小さいぞ!)

ということは数年で成長していることを意味するわけで…

もちろん、それが「イコール皮膚癌」ではないのは前例もあるし分かっているつもり。

(でも素人の僕には決めきれないんだから…)

何か嫌な予感がした僕は急遽かかりつけの皮膚科を受診した。


🎯その52 待ち遠しい気持ちもあり、聞きたくない気持ちもあり

「あの~先生、今日は背中を診てほしいんです。お尻にケガをしていないかをチェックするため、毎週ヘルパーさんに写真を撮ってもらっているんですが、そこにたまたま背中の腰あたりが映っていて頭部に出てきた皮膚癌と似たようなものがあるのがわかって…」

診察室へ呼ばれると、すぐにそんな相談をする僕。

「どこかな?…あっ…これか…う~ん…これは…」

ここからはこれまで通り…

やはり怪しい(皮膚癌疑い)とのことで、再び大きな病院へ紹介状を書いてくれた。

「ところで、今回の件は特に写真を撮ったりチェックしてくれる人がいるからでしょうから、辛島さんは運が良いと思いますよ」

「僕もそう思います、ありがたいです」

みなさんに感謝!
みなさんに感謝!

さて、先生が書いてくれた紹介状を持って大きな病院を受診したのはその翌日。

「ベッドへうつ伏せになれますか?」

「いえ、横向きなら…」

「う~ん怪しいですね~」

ということで、これまで同様に生検を受けてきた。

結果は来月初旬…

待ち遠しい気持ちもあり、聞きたくない気持ちもあり。

ま~今回も皮膚癌の可能性が高いみたいだから覚悟していたほうが無難なのかも!

ただ、ある程度大きいから、皮膚移植になっちゃうのかが気になるな~


🎯その53 これは…今後の厳しい戦いの始まりなのかもしれないな…

2024年 (令和6年) 8月初旬 47歳

「辛島さん、こちらにどうぞ~」

生検結果を聞きに大きな病院を受診して待合室でボ~としていると、診察室隣の処置室から女医先生が出てきてそう言われた。

(あれ、いきなり抜糸なのかな?)

「今から抜糸をしますから、ベッドへ横向きになってもらえますか?」

やっぱり…僕の予想は的中。これまで4回も経験しているからね~

ただ、その後に言われたお言葉は少々辛く…

「生検の結果ですが、今回も基底細胞癌でした」

「そうですか…残念です…でも今回はそんな予感がしていました」

「この機会に背中全体をチェックしますので…」

そう言われてからは女医先生や男性医師の声が飛び交う。

しばらくして…

「今回見つかった基底細胞癌の近くにもう1箇所怪しいものが見つかった」

「えっ?」

「こっちも点点点~としているから手術で一緒に切除しても構いませんか?」

「ええ、もちろん…」

「点点点」という表現が皮膚癌かもしれないと言うことなんだろうけど、生検をせずに皮膚癌と確定するわけじゃないでしょ?

それは自身3回目と同じことになるわけだけど、それだけ背中にも皮膚癌が出来るリスクが高いということが言える証拠だと思う。

「手術ですが、予定が詰まっていてすぐにはできません。早くて10月になります」

「わかりました、それでお願いします。移植は必要になりそうですか?」

「背中の皮膚は頑丈?ですから、おそらくその必要はないでしょう」

「それは良かったです」

「それでは、これまでと同じで事前の検査を受けてほしいのですが、今日やるには早すぎますので9月末ごろお越しください」

「わかりました、今回もよろしくお願いします。」

ということで、自身4回目が一区切りついたなと思っていた矢先に、5・6回目が確定してしまった僕。

自身5・6回目が確定自身…
自身5・6回目が確定自身…

以前、これからは根くらべなんだと書いたけど、まさしくそんな感じになってきたな~


🎯その54

準備中

🎯病歴

※本作終了後に動きがあった場合、続編を書けなくても病歴には随時追加していく予定です

・2017年 (平成29年) 11月上旬 40歳
理髪店で散髪中、後頭部に出来物があることを知る


・2017年 (平成29年) 11月上旬 40歳
「アロハクリニック(かかりつけの皮膚科)」 外来受診
後頭部の出来物を大きな病院で診てもらうよう紹介される


・2017年 (平成29年) 11月上旬 40歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
後頭部の出来物に対して生検を受ける


・2017年 (平成29年) 11月下旬 40歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
生検結果から、後頭部の出来物が皮膚癌(基底細胞癌)だと判明(自身1回目)


・2017年 (平成29年) 12月下旬 40歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 入院
皮膚癌(基底細胞癌)の摘出手術を受ける
※左足太ももの皮膚を移植


・2018年 (平成30年) 1月下旬 40歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
術後の状態は良好だが、5年は経過観察する必要があると告げられる


・2018年 (平成30年) 4月上旬 41歳
「アロハクリニック」 外来受診
自身1回目の手術創周辺に出てきた赤い皮疹が気になり相談。気にするほどではないと言われるも無理言って大きな病院に紹介状を書いてもらう


・2018年 (平成30年) 4月上旬 41歳 
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
皮疹は移植した太ももの皮膚で、そこにあったシミのようなものであるとのこと


・2019年 (令和1年) 1月下旬 41歳 
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
経過観察はかかりつけ医に任せ、ここでの診察は終診と告げられる


・2020年 (令和2年) 2月中旬 43歳
理髪店で散髪中、後頭部に出来ている出来物を医師に診てもらうよう勧められる


・2020年 (令和2年) 2月中旬 43歳
「アロハクリニック」 外来受診
後頭部の出来物を大きな病院で診てもらうよう紹介される


・2020年 (令和2年) 2月中旬 43歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
後頭部の出来物に対して生検を受ける


・2020年 (令和2年) 3月上旬 43歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
生検結果から、後頭部の出来物が皮膚癌(基底細胞癌)だと判明(自身2回目)


・2020年 (令和2年) 3月中旬 43歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 入院
皮膚癌(基底細胞癌)の摘出手術を受ける


・2020年 (令和2年) 4月上旬 43歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
術後の状態は良好であり、経過観察はかかりつけ医に任せ、ここでの診察は終診と告げられる


・2021年 (令和3年) 4月上旬 44歳
後頭部左側の首に近いところにある2つのホクロが気になるようになる。


・2021年 (令和3年) 5月上旬 44歳
「アロハクリニック」 外来受診
後頭部左側の首に近いところにある2つのホクロを大きな病院で診てもらうよう紹介される


・2021年 (令和3年) 5月中旬 44歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍)」 外来受診
後頭部にある2つのホクロに対して、これまでの経過から、皮膚癌であるとして生検をせずに摘出手術(ホクロ除去術?)を外来診察室でしてもらう(摘出した細胞は後程、詳しく調べるとのこと)


・2021年 (令和3年) 5月下旬 44歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
術後の状態は良好であり、経過観察はかかりつけ医に任せ、ここでの診察は終診と告げられる。なお、詳細に調べてみた結果は基底細胞癌(自身3回目)であった


・2022年 (令和4年) 3月上旬 45歳
「アロハクリニック」 外来受診
自身1回目の手術痕周辺に出てきた皮疹(左右2か所)が気になって相談。癌細胞ではなさそうと言われたが、無理言って大きな病院に紹介してもらう


・2022年 (令和4年) 3月中旬 45歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
ここでも癌細胞ではなさそうと言われたが、半ば無理やり生検をお願いする


・2022年 (令和4年) 3月下旬 45歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
生検結果は、2か所とも皮膚癌ではなく、脂漏性角化症と基底細胞癌の手術による色素沈着のような状態だったと告げられる


・2022年 (令和4年) 12月下旬 45歳
(自身1回目の基底細胞癌)手術から丸5年を迎える!…だが、今後もタブレット作戦等で経過観察していくのは変わらない


・2024年 (令和6年) 2月下旬 47歳
「アロハクリニック」 外来受診
後頭部右側の出来物を大きな病院で診てもらうよう紹介される


・2024年 (令和6年) 3月上旬 47歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
今回は何とも言えないので経過を見てはと言われるが、半ば無理やり生検をお願いする


・2024年 (令和6年) 3月下旬 47歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
生検結果は、癌ではなく年齢を重ねることできるイボのようなものだったと告げられる。


・2024年 (令和6年) 5月中旬 47歳
「アロハクリニック」 外来受診
前頭部左側の出来物を大きな病院で診てもらうよう紹介される


・2024年 (令和6年) 5月中旬 47歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
前頭部左側の出来物に対して生検を受ける


・2024年 (令和6年) 5月下旬 47歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
生検結果から、前頭部左側の出来物が皮膚癌(基底細胞癌)だと判明(自身4回目)


・2024年 (令和6年) 6月中旬 47歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 入院
皮膚癌(基底細胞癌)の摘出手術を受ける
※右足太ももの皮膚を移植


・2024年 (令和6年) 47歳 7月初旬
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
経過観察はかかりつけ医に任せ、ここでの診察は終診と告げられる


・2024年 (令和6年) 7月下旬 47歳
「アロハクリニック」 外来受診
背中(腰あたり)の出来物を大きな病院で診てもらうよう紹介される


・2024年 (令和6年) 7月下旬 47歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
背中(腰あたり)の出来物に対して生検を受ける


・2024年 (令和6年) 8月初旬 47歳
「別府医療センター 皮膚腫瘍科」 外来受診
生検結果から、背中(腰あたり)の出来物が皮膚癌(基底細胞癌)だと判明(自身5回目)併せて、その近くにも皮膚癌を疑う出来物があり同時に切除術を受けることが決まる。(自身6回目)


●以降、予定
・2025年 (令和7年) 3月中旬 48歳
(自身2回目の基底細胞癌)手術から丸5年


・2026年 (令和8年) 5月下旬 49歳
(自身3回目の基底細胞癌)手術から丸5年


・2029年 (令和11年) 6月中旬 52歳
(自身4回目の基底細胞癌)手術から丸5年



僕が書くすべての記事(手紙)は、長い時間かけて継続して書いてきた記録や、そうでなかれば得られないであろう考え方や貴重な体験を基にしています。いただいたサポートは、その評価だと捉えさせていただき、それを糧に今後も多くの記事を書いていきますので、どうかよろしくお願いします。