アイスランド交換留学:2ヶ月の振り返り
8月5日に入国してから早2か月が経とうとしています。ほぼ折り返し地点にやってきたところで、ここまでの事をざっと振り返り、帰国までの見通しをざくっと立てられたらと思います。
8月何してたん
<主な出来事>
・8月5日ー8日:ホステルに滞在
ーーレイキャビクの中心地を探索。simカードの購入や移民管理局への書類提出などを行いました。
・9日:入寮
ーー9人でキッチンとリビングをシェア。みんな個性強めです。
・10日ー17日:アイスランドを一周するロードトリップ
ーーオランダとデンマーク、それぞれからやってきた留学生とレンタカーを借りて各地を巡りました(写真)。最高だった。飲み込まれそうな自然に圧倒され続けた結果、滝も断層も山も氷河もおなか一杯になりました。
・19日:秋学期スタート。
ーーオリエンテーション行事が終わると講義も本格的に始まりました。
①環境人類学、②環境倫理学、③ジェンダーとサステイナビリティ―、④アイスランドの民話、宗教、現代文化、⑤人間と動物の関係
5つのコースを選択しました。講義が進むにつれ内容も濃くなっていき、たまに(常に?)息切れ気味になっています。
・23日:溶岩を求めて遠出
ーー遠くで真っ赤な溶岩が噴き出しているのを見ました。今の地面も過去には真っ赤な溶岩だったんだと気づいたとき、そこに生きている苔や植物にも感動しました。地球が生きている、と思いました。
・31日:植物交換会@コーパブル
ーーアイスランド園芸協会のイベント。植物マニアがたくさんいて、最高でした。お庭を見せてもいいよ、インタビュー受けてもいいよ、と言ってくださる人が見つかり大興奮でした。
<手続き関係・生活全般>
・携帯番号の取得
・居住許可証の取得
ーー入国前に必要書類を現地に郵送したうえで、入国後に必要な手続きを行いました。行ったことは以下の通りです。
賃貸契約書、指定様式書類を移民管理局に提出→移民管理局での写真撮影(要予約)→居住者カードの受け取り→kennitala(住民番号)の取得→電子IDの取得
・銀行口座の開設
・Housing benefit への応募
長期滞在者向けに家賃の補助がでる制度。長期滞在される方は応募をお勧めします。
・自転車を購入(SORPAというリサイクルセンターで6000ISKでした)
9月何してたん
手続き関係が落ち着き、講義が本格的に始まった9月。言語に関して、講義の内容は8割聞き取れる、といった具合。スピーキングに関しては毎日ジレンマを感じつつ、話しつづけることだけを決めて過ごす日々です。人との交流を大事にしつつ、食事や生活リズムも試行錯誤が続きました。
<主な出来事>
・6日:庭のフィールドワーク。
ーーレイキャビク郊外の庭。温水暖房の余熱で本来咲かないはずの花が咲く話や、防風林のごとく強風から植栽を守るものとして木をとらえているところ、コンポストの話など、大変面白かった。
・7日:遠出の予定が急遽なしになり、市内の森へピクニックに行きました。家に帰るとパーティーが開かれておりびっくりしました(笑)。素面の私はチキってしまい、急遽ひとりで半島の先っぽにあるライトハウスへ向かいました(冒頭の写真はそのライトハウスです)。帰宅してもなお皆が踊り狂うキッチンでバナナをお腹に収めました(笑)
・8日:環境NGO団体 landverndのハイキングへ参加。風力発電所の建設予定地になっている山に登りました。山の小川の水が透き通っていて、他の参加者をまねて飲んでみるととってもおいしい。
そんな豊かな土地に風力発電所の建設計画が持ち上がっているとのこと。計画では4000トン以上のセメントが投入され、苔の大地も草原もはぎとられてしまいます。こういったことも歩きながら説明してくださっていました。実際に現地を歩くことで開発の暴力性に気づくことができる、衝撃と学びのハイキングでした。
・10日:庭のフィールドワーク②。セルフォスというところのお庭。植物の種類が多すぎて目が回りました。挿し木で枝を増やして配っている友人の話、繁殖力の強い草は根を切り離してコンポストに入れる話、旅行の際に種を採取して試験的に植えてみる話、など、、、またまた面白い。
・11日:環境人類学の先生と面談。
ーー研究のことというより、人生のことを教えてもらった気がしています。
アイスランド園芸協会主催の種取説明会
ーー種をどのようにとるのかを説明する会。植物の種類ごとにタイミングの見極め方も異なります。アイスランド語の説明でしたが、ボディランゲージで植物が種を飛ばす様子を再現してくださり、あまりのやさしさに泣きそうでした。現地の人と関わるたびに、アイスランド語を話せるようになりたい、という思いがつのります。アイスランド国内での種の交換の話、シードバンクで種を保存して市民に販売されていることなど(目的は憶測のままなので、またお話を聞きたい…)、学ばせていただきました。
・14日ー15日:遠足
ーーサクギル、という山へ出かけました。強風の中、氷河を間近に見て、美しいと怖い、が同時に迫ってきました(写真)。はじめてオーロラが見えたキャンプの夜も忘れられません。
・16日:レイキャビク植物園でアラスカの写真家と遭遇
ーー写真家の星野道夫さんの友人だった、というアラスカの写真家と遭遇。数時間お話を聞かせていただきました。星野道夫さんは中学時代に出会い、北の自然に漠然とした憧れを抱くようになったきっかけでした。不思議な時間で、家に帰った後もぼうっとしていました。
・17日:庭のフィールドワーク③
ーーレイキャビク郊外の庭へ。温室の中にはたくさんのサボテン、ミニトマト。外には多年草の花が所狭しと植わっていた。プラントハンターの要素が感じられる庭でした。ミツバチの受粉の話も面白かった。
・22日:ガイド遠足
ーー地元の環境保護に務めている方がレイキャビク郊外のカントリーパークを案内してくださいました。自分のいる場所が、かつて1000mの厚さの氷河の下にあった、といわれたときの衝撃たるや。景観を読むことを教わりました。過去は切り離されているものではなく、現在の景色に内包されているのだと実感しました(写真)。
・25日:庭のフィールドワーク④
ーーレイキャビク市内のお庭へ
アパートの一角の庭におじゃましました。もともと沼地だったところに客土しているため、家の基礎以外の部分がだんだん傾いているのだとか。異なるタイミングで咲く花を植えられていて、限られた空間で植物を楽しまれている庭でした。フィールドワークにお邪魔するたびに、自分の勝手な想定に気づかされ、自分がみつめたい問いが何かを考えさせられます。
・9月28日-29日:庭のフィールドワーク⑤
ーーセルフォス郊外のサマーハウスにお邪魔しました。アイスランドの人と話していると、サマーハウス、という郊外の別荘のようなおうちを持っている人が一定数いらっしゃいます。レイキャビクは人が集まり、新しいマンションも増えていくばかりで大きな土地は手に入りにくくなっています。話を聞く限り、サマーハウスは郊外の自然の中で悠々自適に過ごす場所、という印象です。
今回お邪魔したおうちは敷地の外周をアラスカの針葉樹で囲って防風していました。その内側には様々な種類の落葉広葉樹、植栽が植えられていました。冬になろうとしているところなので、花盛り、とはいかなかったものの、紅葉した葉が鮮やかで美しかったです。
<生活全般>
手続き関係はなし、だと思います。レイキャビク内を走り回っていた8月が嘘のよう。生活の事はいろいろ試しているところです。
・ベジタリアンになってみる
ーー肉と魚を食べない生活、というやつです。食べるものを考える中ではじめてみました。肉魚があまりに高額なこと、周囲にベジタリアンやヴィーガンが多いこと、なども手伝って気軽にやっています。自分では買わないというだけなので、出していただいたものはおいしくいただいています。
・毎朝の瞑想
ーー毎朝10分ほど、ベランダや自室で座禅を組んでいます。毎日行うのは初めてです。考えすぎが減ったような気がします。
この二つの習慣は、環境倫理学の個人プロジェクトも関係しています。何でもいいから実験的に実践をするなかで、環境と自分とのことについて思索し、気づきをエッセイにして提出する、という課題。はじめはなんじゃそりゃ、と思いましたが、環境倫理の理論を学ぶ中で、理論と実践の接点が見えそうな気がしています。
何したいん?
残りの2か月半で何がしたいんだろう、と考えて言葉にしてみました。
・講義を全うする
ーーグループプロジェクトなるものが3つ、個人プロジェクトが3つ、そして日々のディスカッションへの参加。せっかく大学に行かせてもらっていて、面白い講義を受けているからには、おなか一杯になるまで勉強したい。
そして講義でちゃんと発言したい。そのために事前に意見をまとめて、授業後には暇そうな人(失礼)に話しかけてあわよくば友達を増やしたい。
・卒論を書く
ーー学部4年なので来年1月10日ごろに提出する論文を執筆中です。先行研究も調査も考察もまだまだ書くことがあります。こうなることは分かっていたけどこちらに来てから全然進んでいない…。
・日々を楽しむ
ーーそこそこに話せる友人もでき、週末の遠出やフィールドワーク先にも恵まれました。10月以降は日照時間も日に日に短くなるため、衣食住を充実させることが日々の潤いになるのではと思っています。温泉に浸かったり、友達とおうちごはんしたり、おしゃべりする時間を作りたいです。誘われるのを待つばかりではなく、自分からやりたいことに向けて行動したい。
長くなってしまいました。本当に個人的なまとめに終始しているものの、書いているうちに思考が整理されていく感覚でした。願わくば、もう少しコンスタントに写真も文章も整理していきたいです。現在地を確認しながら、行く先を考え続けます。