中高生とのかかわりを通して見つけた新しい自分―大学生ユースワーカーゆきちゃんにインタビュー
こんにちは、プロボノメンバーの水口です。
ユースのリビングは、中高生をはじめとした10代の若者たち「ユース」のための居場所です。
ユースたちが自由に訪れて、学びや遊び、くつろぎを通じて、安心して自分らしくいられる場をつくっています。
そんなユースのリビングを支えるのが、大学生を中心とするユースワーカーです。
ユースワーカーは、来てくれたユースに寄り添いながら、ユースたちのやりたいことを引き出し、その実現に伴走します。
また、一緒に遊んだり、勉強を教えたり、彼らの悩みを聞いたりと、さまざまな形でユースをサポートしています。
今回は、第3職員室でユースワークに取り組む大学生メンバーにインタビューを実施しました。
あんなに楽しんでいる輪島の子たちを見たことない
――まずは、第3職員室での具体的なかかわり方を教えていただけますか?
ゆきちゃん:
大きく分けて3つのかかわり方をしています。
活動についてnote記事の作成、能登にゆかりのある子どもたちと一緒に企画するイベントのサポート、そしてユースのリビング(以下:リビング)でのユースワークです。
第3職員室ではさまざまなかかわり方ができるので、あまり領域を気にせずに、上の活動以外でも自分がやりたいことにチャレンジしています。
――特に印象に残っているイベントなどはありますか?
ゆきちゃん:
4月に企画した「もぐもぐ同窓会」というイベントが印象に残っています。
もぐもぐ同窓会は、能登にゆかりのあるユースが集まる同窓会のようなイベントです。
「震災以降、避難してしまって友達と直接会えないユースたちがいるのでは」という声から実現しました。
イベント後に、輪島のユースとかかわっている「わじまティーンラボ」の小浦さんからは、「あんなに楽しんでいる輪島の子たちを見たことがなかった」と言っていただけました。
ユースたちが素の自分を出していたことを知って、やってよかったという達成感がありました。
ユースワークでしか出せない、新しい自分がいる
――この活動を通じて自分の変化などを感じることはありますか?
ゆきちゃん:
石川県内の新しいコミュニティに属せたことは、私にとってとても大きいと感じています。
卒業論文では、能登の復興と観光をテーマに研究を進めていますが、その手伝いをNOTORN(ノターン)のメンバーがしてくれています。
地元に還元したいという思いは、学生になって地方創生に興味を持ち始めたころからずっとありました。
また、復興支援以外の文脈でも、石川のために何かできないかと考えていたので、就職は石川県内の地方銀行に決めました。
内定をもらった銀行は石川での存在が大きいですし、最新の動きも取り入れている銀行なので、そこで働くことできっと地域に貢献できると考えました。
それから、ユースワークを通じて、新しい自分に出会えたことも大きいですね。
――新しい自分との出会いというのは、どういったことでしょうか?
ゆきちゃん:
ユースワークは、子どもたち一人ひとりの自分らしさを引き出したり、家や学校とは違う自分を表現できたりすることが大切だといわれます。
でも、私もここでしか出せない自分がいることに気づいたんです。
大学の友達や幼稚園からの幼なじみからは、普段しっかりしているように思われているんですが、気遣いせずにのびのび過ごしてる、と言ってもらえて。
リビングにいる自分は特別演じているわけではないけれども、リビングにいるからこそ出てくる自分があるんだと気づいたんです。
それまで、ユースワークでしか引き出せないその人の一面が存在している、という事実を頭でしか理解していませんでした。
ですが、自分自身がリビングという場所で、自分の新しい一面を見つけることができたことが、うれしかったです。
第3職員室のスタッフには社会人の方も多く関わっていて、私は年下の立場になるので、いい意味でのびのびとやれているのかもしれません。
愛着のある地元、石川のためにできること
――ゆきちゃんは、被災したこども支援全般のイベントの企画や広報、ユースワークまで幅広くかかわってもらっている印象です。
なぜここまで深くかかわり続けているのでしょうか?
ゆきちゃん:
理由はいくつかあります。
まず、ちょっとした事務作業や細々した作業が好きな私の性格に、ここでの仕事が合っているということ。
それから、石川のために必要な施設だと、強く共感できているからです。
たとえば、「能登の子たちがこんなに素でいるのを見たことがない」という場面に立ち会えたとき、その子たちの新しい一面を引き出せることにやりがいを感じます。
――石川への思いが強く感じられますが、地元愛についてはどのように捉えていますか?
ゆきちゃん:
地元愛が強い人は、地元から出て客観的に地元を見直したときに、あらためてそのよさを実感すると思います。
私も、大学進学で東京に行くことになって、最初は「東京に行けてうれしい」と思っていましたし、実際の生活も楽しかった。
でも同時に、地元にできた新しいカフェやお店に行きたくなることが増え、「地元のこういうところがよかった」「こういうところは楽しい」と気づいたんです。
"隣の芝生は青く見える"といいますが、地元から出たことで、逆に地元が"隣の芝生"のように見えてきて。
一度出たことで、改めて地元のいいところに気づけたことも、地元愛につながったのかなと思います。
――それもあって石川で就職活動したのでしょうか。
ゆきちゃん:
はい。
就活が終わるころ、輪島の復興朝市に行ったんです。
そこで見たのが、お店ごとの集客の仕方の違いでした。
クラウドファンディングやSNSでお客さんがたくさん訪れるお店がある一方で、そういうのはなく静かにやっているお店もある。
さらに「いつも来てくれてありがとう」といって常連さんがたくさん来るお店もある。
それぞれのお店のよさがあるなと。
SNSでの発信や集客について「本当にこれでいいのか」「やり方もわからない」という方も多いと思います。
でも、「店のよさを伝えたい」「生活していかないといけない」という人たちに、何か選択肢を提供できる。
そんな人になりたいと思ったんです。
それも、自分の愛着のある地元、石川県で。
できないことが悔しかった。でもその自分も愛せるようになった
――この活動を通じて、成長を感じる瞬間はありましたか?
ゆきちゃん:
「完璧にできない自分も愛せるようになった」ということですね。
私はもともと完璧主義なんです。
たとえば、プレゼンのシートの見た目をきれいにするのに時間をかけすぎてしまっていました。
でもいまは、自分の中では完璧でない状態でもプレゼンできるようになりました。
それは、中高生とのイベントのために毎週行っているミーティングでの経験が大きいと思います。
ミーティングは毎週実施しているので、完全とは言えない状態でも進捗を共有する必要があります。
特に、8月に企画した「とびだせ のとキャン」はイベントの規模も大きかったので、他のタスクもあるときはいっぱいいっぱいになってしまったこともありました。
その後の高山さん(ユースのリビング施設長)とのミーティングでは、「何か進んだことがある?」と聞かれて「進んでないです。でもこういうこと考えてます!」と言えたんです。
この経験をきっかけに、「完璧にできない自分」も愛せるようになったような気がします。
そして、いまの自分でできることは何か、提供できる価値は何か、って考えるようになりました。
私は、とても負けず嫌いなので、うまくできないことに対して悔しく思うこともあります。
でもその悔しさをバネに、自分にしか提供できない価値を出していくことが、活動の原動力になっているのかもしれません。
いかがでしたでしょうか。
いつもパワフルで明るいゆきちゃん。リビングでのユースワークをしながら、広報チームでも活躍してくれる、本当に頼もしい存在です。
これからもさらなる活躍を期待しています!
ユースのリビングでは、私たちと一緒にユースワークに取り組んでくれる大学生メンバーを募集しています。
詳しい活動や募集要項は、こちらのページをご覧ください。
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(取材日:2024年9月29日 ライター:水口)
注)NOTORN:https://notorn.org/
能登出身の若者コミュニティです
注)わじまティーンラボ:https://www.instagram.com/wajima.teen.lab/
輪島市を拠点にユースワークに取り組んでいます
運営団体・NPO法人じっくらあと:https://jikkurato.com/
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