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微分積分とぼく

爪を切りながら、思った。
爪はこの瞬間も着実に伸び続けているはずだけれど、その様子を目にすることはできない。あたかも一時停止ボタンを押したが如く、ぴたっと成長を止め(本当は止めていない)、硬い固まりとして指の先に存在している。非常にゆっくりとした変化の一瞬が、今のぼくの爪の有様なんだ。
そしてその一瞬一瞬をシームレスに積み重ねた結果が、ぱちぱちと切り落とされた爪の面積であり体積。
爪は身体の中でも、ゆっくりとした時を生きているから微分積分を可視化できるんだね。

もっと大きな単位で眺めれば、ぼくという人間だってぴたっと止まって見えるはず。そしてその一瞬のぼくの積み重ねが、結果としてのぼくという人間。

どんなふうに見えるんだろう?

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