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聖母のような優しさ[マヨイガ/羊文学]#3

最近はもう冷え込んできていつ冬服を着出すか悩む毎日。
まだ秋服を堪能しきれてないのに…。もうすぐ今年も終わりますね…。

Yushiです。
今回は羊文学「マヨイガ」を紹介。
羊文学は優しい歌詞とエッジの効いたサウンドが特徴的なオルタナティブロックバンドですが、この曲は個人的に羊文学の曲の中でも特に優しさに溢れるような一曲。
聴いたら「赦された、ありがとうございます…」となる曲です。
今回、歌詞解釈スタイルでやっていこうかなと思うので少々分量多めになります!最後までお付き合い下さい!


1 タイトルの「マヨイガ」とは?

「マヨイガ」というタイトル。どういう意味があるのでしょうか。
Wikipediaを参照したところ、「迷い家」という家なんだとか。
東北・関東地方に伝わる、訪れた者に富貴を授けるという山中の幻の家で、訪れた者は迷い家から何か物品を持ち帰っても良いことになっていたようです。

この曲は、音楽界という世界の中にポツンと佇む「迷い家」ということでしょうか…?

2 リスナーが寄りかかれるような肩を貸す曲

ここからはこの曲の魅力を具体的にご紹介したいのですが、皆さんには今から書くシチュエーションを想像しながら見ていってほしいです!


貴方は今、ベッドに横たわっています。
朝から晩まで働いて、疲れてはいる。
しかし、日頃の悩みやストレス、考え事が頭をグルグルして眠れない。
そんなあなたは、ふとスマホから音楽をシャッフル再生します。
すると、初めて聞く曲が流れてきました…


まずはイントロからご紹介。

この曲は、イントロがまず良い。引き込まれていく。
ギターから始まり、そこからドラム、ハミング、ベースとどんどん音色が追加されていきます。1つずつ増えていく音色に、これから何か始まりそうだと予感させます。約1分の長めのイントロも、長さを忘れてしまう程。

まるで突然現れた迷い家に誘われるかのように、貴方も突然流れてきた「マヨイガ」に誘われてしまうでしょう…。

そして、以下の歌詞でAメロが始まります

おかえり、ずっとまっていたよ
もう大丈夫だから
おやすみ、君の明日はどうしたってやってくる

羊文学 マヨイガ 歌詞 - 歌ネット

自分のことを待っていたかのような口ぶり。
「ここまでよく頑張った、今はここで休んできな」という具合に迎え入れてくれます。最高のもてなし。高級旅館のような安心感。

行け、行け
その明日がきみを苦しめようと
行け、行け
痛み知る優しい人でありなさい

羊文学 マヨイガ 歌詞 - 歌ネット

こちらがBメロ。
「マヨイガ」にて、主人公(貴方)は家主に自らの抱える悩みやストレスを打ち明けたのでしょう。
この歌詞は、それに対しての家主のアンサーだと解釈してます。
人生相談に乗ってくれる歌詞、というのは浅はかな表現かもしれませんが、そう感じるくらいこの曲の歌詞は一曲通してリスナーに寄り添っている曲。
寄り添うどころか、「リスナーが寄りかかれるような肩を貸す曲」っていう感覚です。

3 リスナー、世界に対して祈り願う歌詞

2の続き!
シチュエーションをイメージしながら読み進めてもらうと幸いです!

Aメロ・Bメロはリスナーに対して語りかけるような歌詞でしたが、サビでは世界に対しての祈りが込められます。

言葉よ、どうかいつもそばにあり
これからの奇跡に全部
形を与えてください
そうしてきみは小さな幸せ
宝箱いっぱいに集めて
世界を愛してください

羊文学 マヨイガ 歌詞 - 歌ネット

「マヨイガ」の家主は、<言葉>という概念に対して願っています。
恐らく、「世の中で起きる大小色んな奇跡に全部名前を付けて下さい」という事でしょう。
世の中には、言葉じゃ言い表せない、又は言葉として名づけられていないような奇跡が無数に存在しています。人々は名前が無い故にその奇跡を見逃してしまう。ただ、名前があるような大きな奇跡も、名前がない小さな奇跡も、全てが平等に尊い奇跡だという事を家主は伝えたいのではないでしょうか。

そして、すべての奇跡に名前が付けられた世界で、貴方は小さな幸せ(即ち奇跡)を沢山認識し、集めて、この世界を愛してほしい。この様に願っていると自分は解釈しました。

こう一個ずつ見ていくと、何だか「マヨイガ」という曲が聖母に見えてきます。世界に対して常に平和の祈りを捧げ、その恩恵を貴方が受け取れるように教えを説く。こんな曲に聞こえてきました。

でっかい夢も綱渡りの不安も
話してごらん、未来を今始めよう
萌ゆる草木のように逞しく生きて
傷ついたら泣きなさい
行け、行け
その先が闇に思えようと
行け、行け、
今ここにあなたの信じる場所がある

羊文学 マヨイガ 歌詞 - 歌ネット

2番のAメロ~Bメロも同じように、主人公(貴方)を励ますような歌詞が並びます。

自分が注目したのは、「萌ゆる草木のように逞しく生きて 傷ついたら泣きなさい」という部分。逞しく生きることと傷ついたら泣くことは、一見矛盾しているようにも聞こえます。しかし、自分は「貴方の感情の赴くままに生きなさい」というメッセージなのではないかと思いました。

逞しく強く生きることは確かに大事なことではあるけれど、ずっと気張っていては心も身体も擦り減っていき、いつかは限界が来てしまう。ならば、我慢せずに自分の感情に従って、泣きたい時が来たら泣いても良いんだよという優しさをここでも感じました。

命よ、どうか輝きをやめず
これからの奇跡を全部
僕らに照らしてください
そうしてきみはありあまる夢を
花束いっぱいに抱きしめて
世界を愛してください

羊文学 マヨイガ 歌詞 - 歌ネット

こちらが2番のサビ。
1番では<言葉>だったのに対して2番では<命>に変わっています。
ここで言う<命>とは、全人類だと思います。全人類が輝き続け、各人がそれぞれ奇跡を振り撒き、享受して欲しいという願いではないでしょうか。
そして、奇跡を貰った貴方はたくさんの夢を抱えて、奇跡で溢れた世界を愛して欲しいのでしょう。

祈っている、たとえどんなに遠く離れても
君の今、君のすべてが喜びで溢れますように
おかえり、ずっと待っていたよ
もう大丈夫だから
おやすみ、君の明日はどうしたってやってくる

羊文学 マヨイガ 歌詞 - 歌ネット

こちらが曲の最後の部分。
曲の最後まで優しさたっぷり。トッポみたい(?)
「ずっと貴方の味方、貴方がどこへ行こうとあなたが幸せに過ごせるように私は願っていますよ。」というメッセージですね。
そして、今日はもうお休み、明日を迎えに行きましょう。と言い残してこの曲は終わります。


2-3と歌詞解説をしてきましたがいかがだったでしょうか。
誰もが経験したことがあるであろう、あの眠れない夜から救ってくれるようなそんな一曲です。
心が参った時には、この曲を聴いてみては?


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